清水鱗造さんの小説三冊

このうろこシティの運営者である清水鱗造さんから送っていただいた『なめくじキーホルダー』、『夢夢夢夢夢ーん』、『からくり絵本』を読んだ。どの作品も現実には起こりそうもない物語なのでシュールリアリズムと呼んでもいいのかもしれないが、登場人物の置かれる状況や描かれる事物が緻密に具体的なので、リアリズムの感触も強い。

『なめくじキーホルダー』を読んでいて、日本の温泉地のやや悪趣味(?)な観光名所を思い出した。日本を離れて暮らしていると、あれは強烈な個性なのだと感じる。帰国するたびに温泉を訪れてはいるものの、こういう雰囲気の場所はだいぶ少なくなった。『夢夢夢夢夢ーん』は、人と人との関係の間に、動植物が介在しているのが興味深い。「人と人とのつながり」なんてことが簡単に言われるけれど、元からそんなものはなくて、人間以外の生物が常に仲介しているのかもしれないと思った。『からくり絵本』のヘルメットはわたしも被ってみたくなった。表紙の写真がとてもいい。

余談だが、これらの本を読んでいたときに夫が寄ってきて、どんな内容なのか訊ねてきた。説明するのはかなり難しかったのだけど、一部だけかいつまんで説明すると、夫が「カフカみたいなの?」と訊いた。文学に疎い夫がカフカを読んだことがあるとは! そういえばプラハに二人で旅行したとき、カフカの青い家を訪れたのだった。しかし夫がカフカの作品(たぶん『変身』)を読んだのは、それ以前らしい。

清水鱗造さんの小説三冊」への2件のフィードバック

  1. 小説の感想、ありがとうございます。
    ご主人も表紙の写真が気になったかもしれないところで、成功でした(^^)。
    『なめくじキーホルダー』の続編ももうじき本になりますので、お送りします。

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