英国の詩人Alice Oswald(アリス・オズワルド)の詩の試訳。原文はこちら。
落ちてゆくことの短い物語
それは落ちてゆく雨の物語 葉へと変わり ふたたび落ちてゆく雨の
それは夏のにわか雨の秘密 光を盗み 花のなかに隠すにわか雨の
そして 地面から緑色に つかの間に流れる 小さな支流であるすべての花は
水の望みのひとつだ そしてこの物語は わたしの親指の爪より小さな 種の冠毛に 吊り下がっている
もしも 通行人のわたしが 草の羽毛を 水と同じくらいに澄んで 通り抜けて
昇る雨のしずくのように 種へと変わる先端に隠れた 日の光を見つけることができるなら
わたしは水のように 希望の重みと 忍耐の光の 釣り合いをとる方法を 知ることができるかもしれない
鋳鉄のタンクに潜み 漏れ出る 生のままの 粗野な水は
わたしの舌に向かって 重力で引き寄せられ この歌のパイプを冷やし 満たす
それは落ちてゆく雨の物語 光へと昇り ふたたび落ちる雨の