戦争を純粋に楽しむための再教育プログラム。<br>あるいは、菓子袋の中のピーナッツがしゃべるのをやめると<br>なぜ、隣の部屋に住んでいる男が、わたしの部屋の壁を激しく叩くのか?<br>男の代わりに、柿の種と称するおかきが代弁する。(大便ちゃうで〜。)<br>あらゆることに意味があると、あなたは思っていまいまいませんか?<br>しかして、または、しどろもどろに、舌を、したたたたたたた<br>世界が音楽のように美しくなれば<br>音楽のほうが美しくなくなるような気がするんやけど<br>どやろか? まっ、じっさいのところ、わからんけどねえ。笑<br>バリ、行ったことない。中身は、どううでもええ。<br>風景の伝染病、恋人たちはジタバタしたはる。インド人。<br>想像のブラやなんて、いやらしい。いつでも、つけてや。笑。<br>ぶひゃひゃひゃひゃひゃひゃ。<br>      <font size="-1">ロング・ヴァージョン、でえーす。笑)</font>
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戦争を純粋に楽しむための再教育プログラム。
あるいは、菓子袋の中のピーナッツがしゃべるのをやめると
なぜ、隣の部屋に住んでいる男が、わたしの部屋の壁を激しく叩くのか?
男の代わりに、柿の種と称するおかきが代弁する。(大便ちゃうで〜。)
あらゆることに意味があると、あなたは思っていまいまいませんか?
しかして、または、しどろもどろに、舌を、したたたたたたた
世界が音楽のように美しくなれば
音楽のほうが美しくなくなるような気がするんやけど
どやろか? まっ、じっさいのところ、わからんけどねえ。笑
バリ、行ったことない。中身は、どううでもええ。
風景の伝染病、恋人たちはジタバタしたはる。インド人。
想像のブラやなんて、いやらしい。いつでも、つけてや。笑。
ぶひゃひゃひゃひゃひゃひゃ。
      ロング・ヴァージョン、でえーす。笑)



田中宏輔

ぼくの金魚鉢になってくれる?
草原の
上の
ビチグソ。
しかもクリスチャン。笑
それでいいのかもね。
そだね。
行けなさそうな顔をしてる。
道路の上の赤い円錐がジャマだ。
百の赤い円錐。
スイ。
薔薇窓の新しい原稿を、喫茶店の窓側のテーブルの上にひろげて
喫茶店で原稿のチェックをしたりすることがあって
窓側の席に坐って原稿を眺めている姿を見せている自分を
とても素敵だと思う自分がいて、月に何回か
窓の外からいちばん素敵に見える坐り方をすることがある。
きょう、そうしていると
そっくり同じ姿をした男女のカップルが
ぼくのとなりに坐った。
ふたりは手錠で繋がれていて
テーブルの上に手を置くと
店の音楽に混じって
手錠の金属部分がガラスのテーブルの上に置かれる音がした。
ガチャガチャと、ガヂャガヂャと
ふたりは、ブレンド、と声を揃えて注文し
手錠をかけていない方の手で
テーブルの上を叩きながら
モールス信号で話しはじめた。
ぼくの友だちが、自衛隊の潜水艦に乗っていて
諜報部に所属していたから、ぼくもモールス信号を
知っていたから、ふたりが話をしている内容がわかった。
ふたりのリズミカルな会話が進む。
二人、三人
一人、五人
七人、四人
って。
窓の外を通る人間の数を数えては
これは、いま、この街でこころから愛し合っているひとの数。
これは、いま、この街で、介護している老人に熱湯をかけていたぶっている介護士の数。
これは、いま、この街で、まさに自動車に轢かれようとしているひとの数。
だとか、いろんな状況にあるひとたちの数をあげていった。
ふたりの注文したホット・コーヒーが運ばれてきた。
ぼくは、自分の書いている原稿より面白いふたりの会話に
聞き耳を立てた。
取り立ててハンサムでもなく
取り立てて美人でもなく
平凡を絵に描いたようなふたりだったけれど
とにもかくにも幸せそうなふたりだった。
ぼくにも、そんな会話ができる相手がいればなって、思った。
思って、ふたりの手錠を持ち上げると
ガシャンッって
テーブルの上にぶつけてやった。
ふたりはにっこり笑って、ぼくを見送ってくれた。
原稿を抱えて、ドアから出て行くぼくの後ろ姿を。
店員がその後ろから追いかけてくるぼくの後ろ姿を。
理想の相手を求めて顔を上げて歩いてくぼくの後ろ姿を。
マドル。マドラー。マドラスト。子供たちは、頭をマドラーのようにぐるぐる回している。マドラーは、肩の上でぐるぐる回っている。ぐちゃぐちゃと、血と肉と骨をこねくりまわしている。そうして、子供たちは、真っ赤な金魚たちを、首と肩の隙間から、びちゃびちゃと床の上に落としている。子供たちの足がぐちゃぐちゃと踏みつぶした、子供たちの真っ赤な金魚たちの肉片を、病室の窓の外から、ぼくの目が見つめている。学生時代に、三条河原町に、「ビッグ・ボーイ」という名前のジャズ喫茶があった。ぼくは毎日のように通っていた。だいたい、いつも、ホット・コーヒーを飲んでいた。そのホット・コーヒーの入っていたコーヒーカップは、普通の喫茶店で出すホット・コーヒーの量の3倍くらいの量のホット・コーヒーが入るものだったから、とても大きくて重たかった。その白い重たい大きなコーヒーカップでホット・コーヒーを飲みながら、いつものように、友だちの退屈な話を聞いていた。突然、ぼくの身体が立ち上がり、ぼくの手といっしょに、その白い重たい大きなコーヒーカップが、友だちの頭の上に振り下ろされた。友だちの頭が割れて、血まみれのぼくは病院に連れて行かれた。べつにだれでもよかったのだけれど、って言うと、看護婦に頬をぶたれた。窓の外からぼくの目は、首から上のないぼくの身体が病室のベッドの上で本を読んでいるのを見つめていた。ぼくは、17ページと18ページの間に身を潜ませていた神の姿をさがしていた。いったい、自我はどこにあるのだろうか。ページをめくる指の先に自我があると考える。いや、違う。違うな。右の手の人差し指の先にあるに違いない。単に、普段の、普通の、あるがままの、右の手の人差し指の先にあると考える。ママは、人のことを指で差してはだめだよ、って言っていた。と、右の手の人差し指の先が記憶をたぐる。でもさあ、人のことを差すから人差し指って言うんじゃんかよ、って、右の手の人差し指の先は考える。自我は互いに直交する4本の直線でできている。1本の直線からでもなく、互いに直交する2本の直線からでもなく、1点において互いに直交する3本の直線からでもなく、1点において互いに直交する4本の直線からできている。と、右の手の人差し指の先が考える。ぼくの目は、窓の外から、それを見ようとして、ぐるぐる回る。病室のなかで、4本の直線がぐるぐる回る。右の手の人差し指以外のぼくの指がばらばらにちぎれる。子供たちの首と肩の隙間から、真っ赤な金魚たちがびちゃびちゃあふれ出る。子供たちは、頭をマドラーのようにぐるぐる回している。マドラーは、肩の上でぐるぐる回っている。ぐちゃぐちゃと、血と肉と骨をこねくりまわしている。そうして、子供たちは、真っ赤な金魚たちを、首と肩の隙間から、びちゃびちゃと床の上に落としている。それでよいと、右の手の人差し指の先は考えている。45ページと46ページの間に身を潜ませていた神もまた、それでよいと考えている。ああ、どうか、世界中の不幸という不幸が、ぼくの右の手の人差し指の先に集まりますように!
神は文字の上にいるのではない。
文字と文字の間なのね。
だから
神は文字に呪縛されて
ぎゅうぎゅう
もうもう
牛さん、飴さん、たいへん
ぼく。
携帯で神に信号を発する。
携帯を神に向けてはっしん。
って
ぎゃって
投げつけてやる。
ぼくは頭をどんどん壁にぶつけて
神さまは頭が痛いって
ぼくは頭から知を流しつづける
血だ
友だちのフリをする。
あのとき
看護婦はぼくのことを殴った
じゃなく
しばいた。
ぼくの病室は全身で泣いて
ぼくの涙が悔しくて
スリッパを口にくわえて
びゅんびゅん泣いていた。
ああ、神さまは、ぼくがほんとうに悲しんでいるのを見て
夕方になると
金魚の群れが空にいっぱい泳いでた。
神さまはぼくの肩を抱いて
ぼくをあやしてくれた。
ぼくは全身を硬直させて
スリッパで床を叩いて
看護婦がぼくの腕に
ぼくの血中金魚度が低いから
ぼくに金魚注射した。
金魚は自我をもって
ぼくの血液の中を泳ぎ回る。
ていうか、それって
自我注射?
自我注釈。
自我んだ。
違った。
ウガンダ。
どのページも
ぼくの自我にまみれて ぐっちょり。
ちょりちょり。
チョチョリチョリ。
あ、そういえば
店長の激しい音楽。
プッ。
マリゲ。
マリグ。
マルゴ。
ぐる。
マルズン。
ひさげ。
ひさずる。
まるずんず。
ぎゃざずんず。
びいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい
あるいは 神は 徘徊する 金魚の群れ。
きょうは休日だというのに
17ページと18ページの間に(プッ)
学生時代
河原町に
ビッグボーイというジャズ喫茶があって
毎日のように
通ってた。
コノ話って前にしたかな。
ジージャン
ジーンズ
おっきなカップで
ホットばかし飲んでた。
友だちとしゃべってると
憂鬱になって
友だちの頭をその大きなコーヒーカップで割った。
ぼくは救急車で病院に運ばれて
いやだな
だれでもよかったのにって
そういったら、看護婦さんは、ぼくの頬を思い切り叩いて
ぼくの目は、ぼくの学生時代のぼくを見て
ポロポロ
涙が金魚のように落っこちた。
涙が病院のベッドの下を
ぼくが寝ている間も
泳いでいた。
ぼくの目は
金魚と同じ高さにあって
病室の窓を見上げてた空の端に
昼間なのに月が出ていた。
きょとんとしたぼくの息が
病室の隣のひとを
ペラペラとめくっては
どのページに神が潜んでいるのか
探した。
きっと
17ページと18ページの間だな。(プッ)
揃えるところが、バカ
いや、
ぼく。書き出そうとして
一年前からだということに気がついた。
思考は腫瘍である。
わたしの頭脳ができることの一つに
他者の思考の刷り込みがある。
まあ、テレパシーのようなものであるが
わたしの頭に痛みがある。
皮膚に走る電気的な痛みとつながっているようである。
きゅうはとてつもなく痛い。
いままで頭の横のところ
右側だけだったのに
きょうは頭の後ろから頭の頂にかけて
すっかり痛みに
痛みそのものになっているのだ。
さあ、首を折り曲げて
これから金魚注射をしますからね。
あなたの血中金魚濃度が低くて
さあ、はやく首を折り曲げて
はやくしないと、あなたの血管が金魚不足でひからびていきますよ。
あさ、パパ注射したばかりじゃないか。
きのうは、ママ注射したし
ぐれてやる。
はぐれてやる。
かくれてやる。
おがくれる。
あがくれる。
いがくれる。
うがくれる。
えがくれる。
街は金魚に暮れている。
つねに神は徘徊する、わたしの死んだ指たちの間で。
もくもくと読書する姿が見える。
そのときにもまた
ぼくの死んだ指の間で神が徘徊しているのだ。
ぼくはもくもくと読書している。
図書館で
ぼくはひとりで読書する少年だったのだ。
四年生ぐらいだったかな。
ぼくは
なんで地球が自転するのかわからないって本に書かれてあるのにびっくりして
本にもわからないことがあるのだと
不思議に思って
ほかの本の方を向くと
書棚と書棚の間から
死んだパパそっくりの神さまが
ぼくの方を見てるのに気がついた。
すると
ぼくの身体は硬直して
ぼくは気を失っていた。
ぼくが気を失っていたあいだも
ぼくの死んだ指の間を神は徘徊していた。
地球がなんで自転しているのかって
それからも不思議に思っていたけど
だれもわからないのか
ぼくがこの話をしても
神さまが、ぼくの指の間から
ぼくのことを見張っている。
ぼくの死んだ指は神さまに濡れて
血まみれだった。
美しい音楽が
ぼくの気分を盛り上げる。
十歳ぐらいのぼくの
かわいらしい
死んだ指たち。
百の千切れたぼくの指たちよ。
あふれ出る洪水の死んだ指たちが
ぼくのキーボードを叩く。
死んだ指たちの勝利だ。
頭から這い出てくるパパやママたちだ。
苦しみのとげ
死の罠だ。
憎しみの宴が
ぼくの頭のなかで催されている。
きょうは一晩中かもしれない。
額が割れて
死んだ金魚たちがあふれ出てきそうだ。
頭が痛い。
割れて 死んだパパやママがあふれ出てくるのだ。
ぼくは プリン。
彼女は アフタヌーン。
ぼくの脳髄は直線の金魚である。
直線の金魚が、ぼくの自我である。
自我と脳髄は違うと直線の金魚がパクパク。
神経質な鼻がクンクン。
神経質な人特有の山河。
酸が出ている。
鼻がクンクン。
華麗臭じゃないの。
加齢臭ね。
美しいひどい臭いの口がパクパク。
セイオン。
ぼくの星の運命は
百万光年の
光に隠されている。
光に隠されている。
いいフレーズだな。
影で日向ぼく。
ぼっこじゃなくて
ぼくがいいかな。
日向ぼく。
で、
影で日向ぼっこ。
ぼっこって
でも、なんだろ。
ぼくの脳髄は 百のぼくである。
じゃなく、
ぼっこ。
じゃなく、
死ね。
自我の形を想像する。する。すれ。せよ。
自我の形は 直線である。
自我の形は 直交する二つの直線からなっている。
自我の形は 直交する三本の直線からなっている。
自我の形は 直交する四本の直線からなっている。
それらの直線は どれひとつとして 同じものではない。
ぼくの頭がぐるぐるまわる。
ぼくの視線がぐるぐる考える。
四本の直線は無理かも。
どうにかして、四本の直交する直線を考えようとする
ていうか
考えたことにする
ぼくのキーボードがこそこそと逃げ出そうとする。
ぼくの指が こそこそと ぼくから離れようとする。
死ね。
あるいは 自我は 血まみれの カーテンにあると考えたまえ
あるいは
トア・エ・
モア。
ふふん。
オレンジの空に青い風車だったね。
ピンク・フロイドだったね。
わが自我の狂風が
わが廃墟に吹きわたる。
遠いところなど、どこにもない。
空間的配置にさわる。
肩のこりは
一等賞。
むさし
思い出すことはほとんど詩にしてしまったから
あとは、パパやママの記憶を
ぼくの自我から引き出して
ぼくの遺伝の廃墟を語る。
かわいらしい
金魚たちを
踏みつける。
ゴールデンタイムの
テレビ番組で
キャスターが ぼくを指差す。
ああ、指をぼくに向けたらいけないのに。
ママがそういってただろ!
ぼくに指を向けちゃいけないって。
詩ね。
じゃない。
詩ね。
じゃない。
シネ。
じゃない。
市ね。
じゃない。
死ね。
リンゴも赤いし、金魚も赤いわ。
リンゴでできた金魚。
金魚でできたリンゴ。
金ゴとリン魚。
リンゴの切断面が
金魚の直線になっている。
死んでね、ぼくの指たち。
ルイルイ
楽しげに浮かび漂う ぼくの死んだ指たち
神の指は 血まみれの幸運に 浸り
ぼくの頭のキンギョを回す。
トラベル
フンガー
血まみれの指が
ぼくを作り直す。
治してね。
血まみれのプールに静かに
ゴーゴーと
泳ぎ回る  
死んだぼくの金魚たち。
ぼくの頭のなかをぐるぐるまわる
倒壊したパパの死体や
崩れ落ちたママの死体たち。
なかよく踊りまちょ。
神は 死んだパパやママの廃墟を 徘徊する。
リスニン・トゥー・ザ・ミュージック!
ぼくの廃墟で 死んだパパやママが手に手をとって 踊る。
陽の光を遮断していたカーテンが   
森の木々を背景に 踊る。
カーテンのすそでは
死んだパパやママが泳いでる。
血まみれの森だ。
カティン!
手のしびれが金魚の指のはじまりになるまで。
自我が 指の先にあると 想像する。
ぼくの自我が 右の 人差し指の先にあると 想像する。
ぼくは ひだりのゆび 先に 自我が あるとは 思いたくないな。
左手で うんこを ふくから。
あ、うんこをふいた神を ふくから。
右の指
右の人差し指に
自我があると思う。
自我をひとに向けるといけないと ママが言った。
ママは、金魚をぼくの頭に流しているくせに。
重たい頭は  キンギョが パクパク死んでるからだぞ。
指が動きにくいのは
自我が パクパクしてるからだぞ。
存在理由を人差し指が考える。
人を指すから人差し指って言うのに
なんで、人を指したらダメなんだよ。
指の先のぼくの自我が考える。
なんでなんやろね。
世界中の不幸が、ぼくの指先に集まりますように。
さあ、この指、とまれ。
ギリギリ、ぎこちなく動く
ぼくの指たち。
ああ、たくさんの指に群がる、ぼくの自我たち。
もしも、きのうの自我が 今日の人差し指で
きょうの昼に指さしたコンビニの太った店員に
ぼくの自我がうつってたとしたら
ぼくはあの太った店員の指になっていたのだ。
きのうもそのコンビニの太った店員だったのだから
きょうのぼくの指も、その太った店員の指だったに違いない。
ね、ママ
ぼくは、ぼくを指差したのだから
怒らないでね。
メ!
ぼくのママ、出てきちゃ、ダメ。
ダン・シモンズの
「夜更けのエントロピー」をまだ読んでなかったことを思い出した。
「愛死」を読んでたから、いいかなって思って、ほっぽらかしてたんだけど
やっぱ読もうかな。
新しい dionysos
10月8日に印刷できる予定。
ぼくもしっかり働きに行かなければ!
ハヤカワ文庫の 幻想と怪奇 3巻
読み終わってみて、ちと、あれかなって思った。
創元のゾンビのアンソロジーの面白さにくらべたら
ちと、かな。
と。
通勤のときと
部屋で読むのとは別々にしてるんだけど
さっき
鳥が現実感を失う
とメモして
すると
ぼくは、アニメのサザエさんの書割の
塀の横を歩いていた。
マイケル・スワンウィックの「大潮の道」のような作品が読みたい。
「ヒーザーン」読めばいいかな。
これから、耳のクリーニング。
ブラッドベリの『死人使い』というのを読んだ。
いろいろなところに引き合いに出される作品なので
内容は知ってたけれど(内容の一部だろ!)
やっぱりちとエグイ。
耳遺体
耳遺体
事故抹殺
自己抹殺

劣等意識の織り上げる
耳遺体。
耳痛い
だけれど
耳遺体
の方が美しい。
ブルー・ベルベットや
ぼくの陽の埋葬が思い出される。
花遺体。
じゃない。
鼻遺体は、うつくしくないね。
鼻より耳の方が
部分として美しいということなのかな。
瞳のきれいな死体というのもいいけど
眼球遺体
の方が、音が美しい。
見た目も
顔面が眼球になっていて
身体も眼球になっていて
ただひとつの
眼球遺体。
いや、耳遺体のほうがいいな。
腕遺体。
足遺体。
でん部遺体。
ばらばらの飛蝗が美しいわけは
以前に詩に書いたことがあったけど

理由は書いてないか。
小刻みに震える
耳遺体。
ハチドリのように
ピキピキ
メイク・ユー・シック!
愛は僕らをひきよせる。
と書いたのは
ジョン・ダン
と言っても
高松雄一さんの訳で
わずらわしいバカでも
わかる詩句だけど
愛する対象が人間たちを動かす
って
言ったのは
ヴァレリーね。
って
佐藤昭夫さんの訳だけど。
ぼくの知性は天邪鬼で
いつでも
その反対物を想起させる。
あらゆる非存在が
存在を想起させるように。
通勤電車のなかで思いついた。
昨年の2月8日と書いてある。
詩は思い出す。
かつて、自分が、ひとに必要とされていたことを。
詩は思い出す。
たくさんのひとたちのこころを慰めてきたことを。
詩は思い出す。
そのたくさんのひとたちが
やがて小説や音楽や映画に慰めを見出したことを。
しかし、それでも
詩は思い出す。
ごくわずかなひとだけど
詩に慰めを求めるひとたちがいることを。
って。
うううん。
バカみたいなメモだすなあ。
小説のつづき。
月で発見された異星人の宇宙船のなかから
発見された植物の種子。
2004年4月15日のメモ。
薬。
そういえば、きょうは薬の効き目が朝も持続していて
ふらふらしていたらしい。
ひとに指摘された。
自分ではまっすぐ歩いてるつもりなんだけど。
仕方ないなあ。
歳かな。
たしかに肉体的には
年寄りじゃ。
ふがふが。
ふがあ
河童の姉妹が花火を見上げてる
ひまわりのそば 洗濯物がよく乾く
夏休み 半分ちびけた色鉛筆
どの猿も 胸に手をあて 夏木マリ
鼻水で 縄とびビュンビュン ヒキガエル
子ら帰る プールのにおい着て
まな落ちて 手ぬぐい落ちる 夏の浜   アハッ 漱石ちゃん
わが声と偽る蝉の抜け殻
恋人と氷さく音 並び待つ
ファッ
夏枯れの甕の底には猫の骨
これも漱石じゃ
わがコインも 蝉の亡骸のごと落つ
違った
わが恋も蝉の亡骸のごと落つ
わがコインもなけなしのポケットごと落つ
チッチッチ
俳句の会に出る。
1997年の4月から夏にかけて
ばかばかしい
話にもならない
情けない
って
歳寄りは思わないのね。
会費1000円は
回避したかった。
チッ
蟻ほどの大きさのひと つぶしたし
人ほどの大きさの蟻 つぶしたり
この微妙な感じがわかんないのね。
歳寄り連中には。
なんとなく 蟻ほどに 人 つぶしたし
ヒヒヒ
けり
けれ
けら
けらけらけら
けっ
まなつぶる きみの重たさ ハイ 飛んで
小さきまなに  蟻の   蟻ひく
わが傷は これといいし蟻 蟻をひく
自分と出会って 蟻の顔が迷っている
あれ
前にも書いたかな?
メモ捨てようっと。
ギャピッ
あり地獄 ひとまに あこ  みごもりぬ
蟻地獄一室に吾児身ごもりぬ
キラッ
蟻の顔
ピカル
ちひろちゃん
チュ
Soul Bar で Junior の Mama Used Said
dio の新しい原稿が、ようやくできた。
こんどのも、ぼくの『マールボロ。』に関するものなんだけど
またつぎのつぎの
dio
にまで、つづきそう。
『マールボロ。』については、まだまだ書きつくせなくて
長くつづきそう。
おとつい、えいちゃんのところに、赤ちゃんが生まれた。
えいちゃんそっくりの、かわいい赤ちゃんだった。
つぎの dio は
森鴎外。
ひさびさに日本の作家をもとに書きます。
斉藤茂吉以来かな。
問を待つ答え。
問いかけられもしないのに
答えがぽつんと
たたずんでいる。
はじめに解答ありき。
解答は、問あれ、と言った。
すると、問があった。
彼らが入ったラブホテルの
シャワーの湯のあたたかさが
わたしの肌となり
湯しぶきのきらめきの一粒一粒が
わたしの目となる。
こんどの dio の 『マールボロ。』論からの一節です。
ヴェルレーヌという詩人について
かつて書いたことがありますが
ヴェルレーヌの飲み干した
アブサン酒の、ただのひとしずくも
ぼくの舌は味わったことがなかったのだけれど
ようやく味わえるような気になった。
もちろん、アブサン酒なんて飲んじゃいないけど。

ようやく原稿ができた。
もう一度見直しして脱稿しよう。
そうして
ぼくは、ぼくの恋人に会いに行こう。
ぶさいくオニオン。
風景が振り返る。
あっちゃんブリゲ。
手で払うと
ピシャリ

へなって
父親が
壁によろける。
手を伸ばすと
ぴしゃり

手で払う。
あんまり遠くて
聞こえないではないか。
ヒャッコイ
ヒャッコイ
三千世界の
ニワトリの鳴き声が
わたしの蜂の巣のなかで
コダマする。
時速何百キロだっけ。
ホオオオオオ
って。
キチキチ
キチキチ
ぼくの鳩の巣のなかで
ぼくのハートの素のなかで
ニワトリの足だけが
ヒャッコイ
ヒャッコイ
ニードル
セレゲー
エーナフ。
ああ
ヒャッコイ
ヒャッコイ
ぼくの
声も
指も
耳も
父親たちの死骸たちも
イチジク、ミミズク、三度のおかわり
会いたいね。

合わしたいね。
きっと
カット
ね。
見返りに
よいと
巻け。
やっぱり、声で、聞くノラ
ノーラ
きみが出て行った訳は
訳がわからん。
ぼくは
いつまでたっても
自立できない
カーステレオ。
年季の入ったホーキです。
毎朝
毎朝
いつまでたっても
ぼくは
高校生で
授業中に居眠りしてた
ダイダラボッチ
ひーとりぼっち
そげなこと言われても
訳、わがんねえ
杉の木立の
夕暮れに
ぼくたちの
記憶を埋めて
すれ違っていくのさ。
風と
風のように。
そしたら
記憶は渦巻いて
くるくる回ってるのさ。
ひょろろん
ひょろろん
って
生きてく糧に
アドバルーン
眺めよろし
マジ決め
マジ切れ
も一度
シティの風は
雲より
ケバイ。
そしたら
しっかり生きていけよ、美貌のマロニーよ。
ハッケ
ヨイヨイ
よいと
負け。
すばらしく詩神に満ちた
廃墟の
上で
ぼくは
霧となって
佇んでいる。
ただ
澄んでいる。
色のない
ビニルを
本の表紙に
カヴァーにして

葵。
ボタンダウンが
よく臭う
ぼくの欠けた
左の指の影かな。
年に平均
5,6本かな。
印刷所で
落ちる指は。
ヒロくんはのたまわった。
お父さんが
労災関係の弁護士で
そんなこと言ってた。
アハッ。
なつかしい声が過ぎてく
ぼくの
かわりばんこの
小枝。
腕の
皮膚におしつけて
呪文をとなえる。
ツバキの木だったかなあ。
こするといいにおいがした。
したかな。
たぶん、
こするといいにおいがした。
ヒロくんの定食は
焼肉だった。
チゲだっておいしいよ。
キムチだっておいしいよ。
かわりばんこの
声だ。
ぼくは
ヒロくんの声になって
坐ってる。
十年
むかしの
ゴハン屋さんで。
この腕の
痕。
父親たちの死骸を分け合う、ぼくのたくさんの指たち。
まるで見てきたような嘘を
溜める。
ん?
貯める・
んんん。
矯める?
矯めるじゃ1
はた迷惑な電話に邪魔されて
おまえが、なんで、わたしの指の間に
父親たちの死骸をはさんで
出て行くのか。
ひっきりなしに
ぼくの指の間から
ぼくの父親たちの死骸が生えてくる。
無駄な
手足のように
にょきにょき
ぼくのしなやかな
やさしい
指の間から
不要な
父親たちの死骸が生えてくる。
ぼくの無数の指が
父親たちの悲鳴に
みるみるしぼんでいく。
透明なセロファンだけが
ぼくの指の先に
教えてくれる。
生きているのは
死んだ父親たちだけだと。
ああ、
ぼくは生きているんじゃなかったんだ。
ぼくの指は生きているんじゃなかったんだ。
ときどき、ぼくの指たちは
ぼくの父親たちが死んでいることを忘れるからって
そんなに生えてくることないじゃないか!
ああ、
ぼくの指の間から
死んだ父親たちが生えてくる1
こんなにも
こんなにも
はあ?
ああ!
こんなにも
こんなにも
満ちてくる
ぼくの
指たちも
死んだ
父親たちの
死骸たちも。
思いの
ほかに
さあ、
ここに
おいで、
ぼくの
指たち
死んだ
父親たちの
死骸も
ああ
こんなにも
こんなにも
ぼくは、ぼくに満ちあふれて。
戦線今日今日。
戦線今日今日
あの根、ぬの根
カンポの
木の
根。
五秒だけ待つって言ったろ。
ガチャン。
辺境の詩人たちは考える。
火のついた棒を飲み込んで。
十字架にまつわりついた
花の精たちが
逆さになって
落っこちていく。
つぎつぎと。
まるで
蛾の産卵だ。
(ひゃはっ、見たことねえけどよ。)
うううん、なんでハシダスガコ?
二つ、四つ
ずれてんだよね。
花の精たちのせいではないんだけどね。
万里の頂上の
どこか知らないけど
その壁に
いっしょうけんめい自分の
名前を彫っている
生まれ変わったら
何になりたい?
うううん、
べつに。
花の精でもいいし
産卵する蛾でもいいよ。
あ、
べつに
産卵しない蛾でも。
刷毛。
じゃなくて
吐け!
だれにも見送るのだ。
そんなに離れているわけでもないのに
さびしいフリをするのだ。
さっとマントを翻して
そうして
金田一探偵するのだ。
謀略と
暴力は違うと
涙が
出てきてとまらない。
みんな命を落としていくのだ。
さっと来て
さっと去るのだ。
まるで金田一探偵のように。
ぼくに見えるのは
マントを翻す
歴史の姿だけで
生きている人間は
みんな
マントに巻き込まれていく
風に過ぎない。
だれにも見送るのだ。
あらゆる歴史が
ミリ秒以下で
扇風機。
ごまんと浴びる

大衆浴場。
湯船から
指を突き出して
ヘイ
カモン!
そんなに遠くては
詩人の伝記が好き。
詩人の詩より好きかも。
詩人の出発もいいけど
詩人のお仕舞いの方がいいかな。
不幸には
とりわけ
耳を澄ますのだ。
蜂の巣のなかの声が。
ぼくのなかの
声が
耳を澄ますのだ。
ああ、
聞こえないではないか。
そんなに遠く離れていては。
ぼくのなかの
声が
耳を済ます。
ああ、聞こえないではないか。
ぼくは
ぼくの
右後ろの
頭に
だれかがいるようで
気配がするのだ。
ああ、聞こえないではないか。
ただ
痛みだけを送るのはやめてほしい。
ぼくの
耳が沈黙してるのは
ぼくの
声が
離れているからか。
ああ、
聞こえないではないか。
そんなに遠く離れていては。
ぼくの
頭の
右後ろにいるヤツ
はやく出て来い!
ブーン
と。
ぼくの

痛いの
はやく
出て来い!
って
ぼくの耳は
いつまでも沈黙し
沈黙する
声が
ぼくを聞いている。
ぼくの
頭の
右後ろの
姿を。
ペロリ

むけて
いく
ぼくの
痛い
ぼくの
頭の
痛い
ぼくの
蜂の
巣の
なかの


もう詩を書く人間は、ぼく一人だけだ。笑
ぼくの口の中は、たくさんの母親でいっぱいだ。
抜いても、抜いても生えてくる
ぼくの母親。
ぼくは黄ばんだパンツの
筋道にそって歩く
その夜
黄ばんだパンツは
捨てられた。
若いミイラが
包帯を貸してくれるっていって
自分の包帯をくるくる
くるくる
はずしていった。
若竹刈り
たけのこかい!
木の芽がうまい
ほんまやな、せつないな
ボンドでくっつくけた
クソババアたち
ビルの屋上から
数珠つなぎの
だいぶ
だいぶ
死んだわ
だいぶつさん
合唱

合掌
だす。
舞姫は、ぼくひとり。
ファミリーアルバムを分け合う。
せりふを覚えるのが
一苦労。

バナナの花がきれいだったね。
ふわふわになる
浮き輪に喜んで
走り回ってた
棺のなかに入ったおばあちゃんを
なんで、だれも写真にとらなかったんだろう?
おばあちゃんは、とってもきれいだったのに。
生きてるときより、ずっときれいだったよ。
ぼくのおばあちゃんの手をひっぱって
ぼくのおばあちゃんを棺のなかに入れたのは
ぼくだった。
ばいばい
って、してみたかったから。
いつも、おばあちゃんに
ばいばいって
してたけど、
ほんとのばいばいがしたかったんだ。
ふふわになる
おばあちゃん。
二段か、三段。
土間の上にこぼれた
おかゆの湯気が
ぼくの唇の先に
触れる。
ぼくは口を
ぱくぱく
どうして、舞姫は
ぼくがひとりで
金魚と遊んでたことを知ってるんだろう?
ひゃっこい
ひゃっこい
ピチッ。
ピチッ。
もしも、自分が光だってことを知っていたら、バカだね、ともたん。
まつげの上を
波に
寄せては
返し
返しては
寄せて
ゴッコさせる。
まつげの上に
潮の泡が
ぷかりぷかり
ぼくは
まつげの上の
波の照り返しに
微笑み返し
ポテトチップスばかりたべて
体重が戻ってるじゃん!
せっかく神経衰弱で
10キロ以上やせたのにいいいいい
まつげの上に
波に遊んでもらって
ぼんやり
ぼくは本を読んでる。
いくらページをめくっても
物語は進まない。
寄せては返し
返しては
寄せる
ぼくのまつげの上で
波たちが
泡だらけになって
戯れる。
きっと忘れてるんじゃないかな。
ページはきちんと
めくっていかないと
物語が進まないってこと。
ページをめくってはもとに戻す
ぼくのまつげの上の波たち
いまほど
ぼくが、憂鬱であったためしはない。
足の裏に力が入らない。
波は
まつげの上で
さわさわ
さわさわ
光の数珠が、ああ、おいちかったねえ。まいまいつぶれ!
人間の老いと
光の老いを
食べ始める。
純粋な栄光と
不純な縁故を
食べる。
人間の栄光の及ばない
不純な光が
書き出していくと
東京だった。
幾枚ものスケッチが
食べ始めた。
ごめんね、ともひろ。
きみは、ぼくのおもちゃだった。
幾枚ものスケッチに描かれた
光は
不純な栄光だった。
言葉にしてみれば
それは光に阻害された
たんなる影道の
土の
かたまりにすぎないのだけれど。
ごめんね。
ともちゃん。
声は届かないね。
みんな死んじゃったもん。
もしも、ぼくが
言い出さなかったら

思うと
バカだね。
ともたん。
もしも
自分が食べてるのが
光だと
知っていたら
あんとき
根が食べ出したら、病気なの根、ぬの根、あの根。ペコッ
自分が食べている羊が
食べている草が
食べている土が
食べている光が
おいちいと感じる
まいまいつぶれ!
ウサギおいしい。カマボコ姫。チュッ
歯科医は
思い切り力を込めて
ぼくの口の中の
母親をひっこぬいた。
父親は
ペンチで砕いてから、ひっこぬいた。
咳をすると
ぼくじゃないと思うんだけど
咳の音が
ぼくの顔の前でした。
咳の音は
実感をもって
ぼくの顔の前でしたんだけど
だんだん、ぼくは怖くなる。
ぼくの瞼の
左目の引き攣りを見たか。
見た者は、見たものそのものになる。
んじゃなかったかな。
引き攣れよ。
おまえも。
左の目が
ぴくぴく。
左の目をおさえて
ぴくぴく。
引き連れよ。
お前も。
ぴくぴく。
ぴりぴり。
ぴくぴく。
ぴりぴり。
ひーっ!
宮古島。
単身赴任。
ひとりでさびしい。
ぼくが欲しているのは
きみの千切れた指の光景だ。
ぼくの窓にかかった
たくさんの指に力がこもる。
アルデバラン。
じっと見つめてる。
おまえの瞼も
引き連れよ。
ただしい死体の運び方
あるいは
妊婦のための
新しい拷問方法。
かつては
チベットでは
夫を裏切った妻たちを拷問して殺したという。
まあ、インドでは
生きたままフライパンで焼いたっていうから
そんなに珍しいことではないのかもしれないけれど。
こうして、ぼくがクーラーのかかった部屋で
友だちがくれたチーズケーキをほおばりながら
音楽を聴きながら
ふにふに書いてる時間に
指を切断されたり
腹を裂かれて
腸を引きずり出されたりして
拷問されて苦しんでる人もいるんだろうけど。
かわいそうだけど
知らないひとのことだから
知らない。
前にNHKの番組で
指が机の上にぽろぽろ
ぽろぽろ
血まみれの指が
指人形。
ぼくの右の人差し指はピーターで
ぼくの左手の人差し指は狼だった。
ソルト
そーると
ソウルの街を
電車で移動。
おまえは東大をすべって
ドロップアウトして
そのまま何年も遊びたおして
ソウルの町を電車で移動。
耳で聴いているのは
ずっと
ジャズ。
ただしい死体の運び方。
あるいは
郵便で死体を送りつける方法について
学習する。
切手で払うのも大きい。
小さい。
デカメロン。
ただしく死体と添い寝する方法。
このほうが、お前にふさわしい。
おいしいチーズケーキだった。
きょう、いちばんの感動だった。
ま・ん・ぞ・くぅ。
わかった。わーかった。わっかっだ。
まーだ、眠れないの。
か。
ぼくの瞼の引き攣りは
少女たちが産み捨てた
老婆たちのせいだった。
ぼくは庭に出て
老婆たちを滅ぼすために
除草剤をまいてやった。
老婆たちは
ぼくの顔面をかざる
引き攣りだった。
ぼくは老婆たちに感謝して過ごさなければならない。
その感謝のしるしに
ときおり
老婆となって
三途の川を渡る。
ときおり
三途の川から戻ってくる。
ぼくの顔面の引き攣りは
老婆たちの盛り場だ。
老婆たちは
川の水をかけあいながら
ピーチクパーチク
ぐしょぐしょだ。
河原町の街角から
老婆たちが
ぴょんぴょん跳ねながらこちらに向かってくる。
お好みのヴァージョンだ。
ぼくの暗殺者たちは狙った獲物をはずさない。
か。
わかった。
いまようやくわかったのだ。
わっかっだ。
少女と老婆をつなぐ
中心軸から文庫本三冊ぶんの距離にいる
ぼくの顔面は蛆蝿のたかる死骸だ。
神は疲れきった身体を持ち上げて
ぼくに手を伸ばした。
ぼくは、その手を振り払うと、神の胸をドンと突いてこういった。
立ち上がれって言われるまで、立ち上がったらダメじゃん。
神さまは、ぼくの手に突かれて、よろよろと
そのまま疲れきった身体を座席にうずめて
のたり、くたり。
か。
標準的なタイプではあった。
座席のシートと比較して
とくべつおいしそうでも、まずそうでもなかった。
ただ、しょっぱい。
やっぱり。
でっぱり。
でずっぱり。
神の顔にも蛆蝿が
老婆たちの卵を産みつける。
老婆たちは、少女となって卵から孵り
雛たちは
クツクツと笑うリンゴだ。
どんな医学百科事典にも載っていないことだけど。
植物事典には載ってる。
気がする。
か。
おいしい。しょっぱい。
か。
ぼくの顔面をゲートにして
たくさんの少女と老婆が出入りする。
ぼくの顔面の引き攣りだ。
キキ、
金魚!
アロハ
おえっ
もうじきたくさんの
少女たちの死体が生まれてくる。
くちびるのうちがわに、びしびし生えたコケモモだ。
目を見開きながら
少女たちの死体が生まれてくる。
口のなかは、死んだ少女たちでいっぱいになって
ぼくは、少女たちの声で
ヒトリデ、ピーチクパーチク。
最初の話はスラッグスの這い跡で
夜の濡れた顔だった。
そういえば、円山公園の公衆トイレで首を吊って死んだ男と
御所で首を吊って死んだ男が同一人物だという話は
事実だった。
男は二度も死ねたのだ。
ぼくの身体の節々が痛いのは、なかなかなくならない。
こんど病院にいくけど
呪術の本も買ってこよう。
痛みをうつす呪術がたしかにあったはずだ。
ぴりぴり。
ぴかーって、光線中で狙い撃ち!
一リットルの冷水を寝る前に飲んだら
ゲリになっちゃった。
ぐわんと。
横になって寝ていても、少女の死体たちが
ぼくの口のなかでピーチクパーチク。
ぴりぴり。
ぴかーっと。
たしか、首を吊った犬の苦しむ顔だった。
紫色の舌を口からたれさせて
白い泡をぶくぶくと
徒然草。
小さいものはかわいらしいと書いてあった。
小さな少女の死はかわいらしい。
ってこと?
ぼくの口のなかの死体たちがピー地区パー地区。
ふふ。
大きな棺に入った大きな死体もかわいらしい。
筆箱くらいの大きさの少女たちの死体がびっしり
ぼくの口のなかに生えそろっているのだ。
ようやく、ぼくにもわかってきたのだ。
ぼくのことが。
今晩も、寝る前に冷水を一リットル。
けっ。
あらまほしっ、きっ
ケルンのよかマンボウ
ふと思いついたんだけど
帽子のしたで
顔だけが回転してるほうが面白い。
アイスクリーム片手にね。
アイスクリームは
やっぱり
じょっぱり
しょうが焼き。
春先に食べた王将のしょうが焼き定食は
おいちかった。
ぼく、マールボロウでしょう?
話の途中で邪魔すんなよ。
ぼく、マールボロウだから
デジカメのまえで
思わずポーズきめちゃった。
クリアクリーン。
歯磨きの仕方が悪くって
死刑!
ガキデカのマンガは、いまなかなか見つからない。
わかんない。
井伊直弼。
って、スペリング、これでいいて?
いいって。
いてて。
ぼく、井伊直弼
ちゃうねん
あつすけだよん。
って。
鋼の月は
ぎらぎら。
リトル・セントバーナード
ショウ
人生は
演劇以上に演劇だ。
って
べつに
言ってるか、どうかなんて
言わない。
ちいいいいいい
てるけどね。
ケッ。
プフッ。
ケルンのよかマンボウ。
ぼーくの
ちって

けー
天空のはげ頭
ナチス鉄かぶと製の
はげカツラが、くるくる回転する。
頭皮にこすれて、血まみれギャーだった。
ふにふに。
空飛ぶ円盤だ!
このあいだ、サインを見た。
登場人物は、みんな霊媒だった。
十年前に賀茂川のほとりで
無数の円盤が空をおおうようにして飛んでるのを
友だちと眺めたことがあった。
友だちは、とても怖がっていたけど
ぼくは怖くなかった。
友だちは、ぼくに
円盤見て、びっくりせいへんの?
って言ってたけど。
ぼくは、
こんど、ふたりで飲みに行きましょうって言われたほうが
びっくりだった。
どうしてるんだろう。
ぼくの口のなかには、少女たちの死んだ声がつまってるっていうのに
ぼくの耳のなかでは、その青年の声が叫びつづけてるんだ。
だから、インテリはいやなんやって
ああ、これは違う声か。
違う声もうれしい。
ぼくの瞼の引き攣りは
ヒヒ
うつしてあげるね。
神経ぴりぴり。
血まみれ
ゲー

うつしてあげるね。

しゅてるん。
知ってるん?
ユダヤの黄色い星。
麻酔なしの生体解剖だって。
写真だったけど
思い出しただけで
ピリピリ
ケラケラ
ケセラセラー。
あい・うぉん・ちゅー
あらまほしぃ、きいいいいいい
ぼくの詩を読んで死ねます。
ぼくの詩を読んで死ねます。
か。
ひねもす、のたりくたり。
ぼくの詩を読んで死ねます。
か。
ひねもすいすい
水兵さんが根っこ買って
寝ッ転がって
ぐでんぐでん。
中心軸から、およそ文庫本3冊程度ぶんの幅で
拡張しています。
か。
ホルモンのバランスだと思う。
か。
まだ睡眠薬が効かない。
か。
相変らず役に立たない神さまは
電車の
なかで
ひねもす、のたりくたり。
か。
ぼくは、疲れきった手を
吊革のわっかに通して
くたくたの神を
見下ろしていた。
か。
おろもい。
か。
飽きた。
か。
腰が痛くなって
言いたくなって
神は
あっくんの手を
わっかからはずして
レールの上に置きました。
キュルルルルルルって
手首の上を
電車が通りすぎていくと
わっかのなかから
無数の歓声が上がりました。
日が変わり
気が変わり
神は
新しいろうそくを
あっくんの頭の上に置いて
火をつけました。
なんべん死ぬねん!
か。
なんべんもだっち。
(ひつこい、轍。)
顔面の中央が
お風呂場の水になっていて
動かないでいると
ぼくの詩を読んで死ねます。
か。
死ね!
痩せた手で
つかんだ
コーヒーカップは
劫火だった。
十年前の手紙のなかで
突き刺さった言葉に
立ち止まる。
文字の上にしゃがみこんで
そいつの息の根を
掘り返す。
銃の沈黙は
違った
十の沈黙は
うるさいとか

沈黙の三乗は
もう沈黙とは単位が違うから
沈黙じゃないとか

なんとかかんとか
ヤリタさんと
荒木くんと
くっちゃべり。
ええ
ええ
それなら
ドン・タコス。
おいちかったね。
いや、タコスは食べなかった。
タコライス食べたね。
おいちかったね。
ハイシーン。
だっけ。
おいちかった。
サーモンも
おいちかった。
火の説教。
痩せた手のなかの
コーヒーカップは
劫火。
生のサーモンもカルパッチオ!
みゃぐろかなって言って
ドン・タコス。
ぱりぱりの
ジャコ・サラダは
ぐんばつだった。笑
40過ぎたおっさんは
ぐしょぐしょだった。
いや、くしゃくしゃかな。
これから
ささやかな
葬儀がある。
目のひきつり。
だんだん。
欲しいものは手に入れた。
押し殺した悲鳴と
残忍な悦び。
庭に植えた少女たちが
つぎつぎと死んでいく。
除草剤をまいた
痩せた手のなかの
あたたかいコーヒーカップは
順番が違うっちぃっぃいいいいいい
あっくんの頭の上のろうそくが燃えている。
死んだ魚のように
顔面の筋肉は硬直して
無数の蛆蝿が
卵を産みつけていく。
膿をひねり出すようにして
あっくんは卵を産んだ。
大統領夫人が突然マイクを向けられて
こけた。
こけたら、財布が出てきた。
財布はマイケルの顔に当たって
砕けた。
マイケルの顔が、笑。
笑えよ。
ブフッ。
あっくんの頭の上で燃えているろうそくの火は
しょっぱい。
そろそろ眠る頃だ。
睡眠薬を飲んで寝る。
噛み砕け!
顔面に産みつけられた
蛆蝿たちの卵を孵す。
あっくんの頭の上で燃えているろうそくの火は
しょっぱい。
(ひつこい、しょっぱさだ。笑)
前の職場で親しかったドイツ語の先生は
バーテンダーをしていたことがあると言ってた。
バーテンダーは、昼間は
玉突きのバイトをしていた
青年がいた。
ぼくが下鴨にいたころだ。
といっても、ぼくが26、7才のころだ。
九州から来たという
青年は二十歳だった。
こんど、ふたりっきりで飲みましょうって言われて
顔面から微笑みが這い出してきて
ぽろぽろとこぼれ堕ちていった。
まるで
蛆蝿の糞のように。
笑えよ。

とうもろこし頭の
彼は
ぼくのなかで
一つの声となって
迸り出ちゃったってこと。
詩ね。
へへ、
死ね!
さあ、気ちがいになりなさい・異色作家短篇集7
いま、いちばんほしい本かな。
フレデリック・ブラウン。
ね。
で、
けふは、人間がいつぱい。

299ページに
ぜんぶ食べちゃっちゃだめよ
って
あって
ちゃっちゃっ

て。
ママ。
ママ。
ママ。
と打つ。
あるいは、
だめよ
だめよ
だめよ

何ページにもわたって
だんだん
文字を
大きくしていって

乾燥した
お母さんが
出てきたところで
とめる。
釘抜きなんて
生まれて
まだ10回も使ったことがないな。
お母さんは
縮んで
釘のように
柱の真ん中に突き刺さってたから
釘抜きで抜く。
可能性の問題ではない。
現実の厚さは
薄さは、と言ってもよいが
ぼろぼろになった
筆の勢いだ。
美しい直線が
わたしの顔面を貫くようになでていく。
滅んでもいい。
あらゆる大きさの直線でできた
コヒ。
塑形は
でき
バケツで
頭から血を流した
話を書こうと思うんだけど
実話だから
話っていっても
ただ
バケツって
言われたから
バケツをほっただけなんだけど
手がすべって
パパは頭から血を流した。
うううん。
なんで
蟹、われと戯れて。
ひさびさに
鞍馬口のオフによる。
ジュール・ベルヌ・コレクションの
海底二万哩があった。
きれいな絵。
500円。
だけど、背が少し破けてるので、惜しみながらも
買わず。
ブヒッ。
そのかわり
河出書房の日本文学全集3冊買った。
一冊105円。
重たかった。
河出新刊ニュースがすごい。
もう何十年も前の女優の
若いころの写真がすごい。
これがほしくて買ったとも言える。笑
でも、何冊持ってるんだろう。
全集の詩のアンソロジー。
このあいだの連休は
詩を書くつもりだったけど、書けなかった。
蟹と戯れる
啄木
ではなく
ぼく
でもなく
ママ。

思ふ。
ママは
蟹の
巨大なハサミにまたがって
ビビー
シャキシャキと
おいしいご飯だよ。
ったく、ぼく。
カンニングの竹山みたいな
怒鳴り声で
帰り道
信号を待ってると
いや、信号が近づいてくるわけじゃなく
信号が変わる
じゃなく
信号の色が
じゃなく
電灯のつく場所がかわるのを待ってたんだけど
信号機が
カンカンなってた
きのうのことじゃなく
きょうね。
啄木が
ぼくの死体と戯れる。
さわさわとざらつく
たくさんのぼくの死体を
啄木が
波のように
足の甲に
さわっていくのだ。
啄木は
ぼくの死後硬直で
カンカンになった
カンカン鳴ってたのは
きのうの夜更けだ。
二倍の大きさにふくらんだ
ぼくの腐乱死体だ。
だから行った。
波のように
啄木の足元に
ゴロンゴロン横たわる
ぼくの死体たち。
蟹、われと戯れる。
いたく、静かな
いけにえの食卓。
ぽくぽく。
ったく、ぼく。

啄木。
ふがあ
子供のとき、足の甲を車にひかれたことがあるけど、ぜんぜん大丈夫だった。
白浜で生きているタコを捕まえたら、手にからみついてきて、手がタコの毒にしびれた。
部員が誰も来ないので机に水滴を落として水滴に映る理科教室を見つめていた。
カナブンを捕まえて糸をつけて振り回して飛ばしていたら、首が千切れてしまった。
これチョコレートだよって弟に言われて、チョコフレークみたいな犬の糞を手渡されたことがある。
教科書に田植えって出てきたから、植田くんのいる方をちらっと見やった。
親と海に行って、溺れたフリをしても来てくれなかったので、溺れたフリをやめた。
週に何回くらいオナニーするのってきかれたら、必ず少な目に答えていた。
バスケで、友だちの顔にボールをあてたら、前歯がぜんぶ落ちた、さし歯だった。
裏庭でおばあちゃんがニワトリの首を手斧でぶった切っていた、めちゃくちゃ怖かった。
高校へは、よく曲がる電車で通った。90度がいちばん楽しい。その中で一度、手紙を手渡されたことがある。
親友のタカヒロ君は消防車の模型を持ってオナニーすることをやめなかった。
おばあちゃんが来てくれなかったので、弁当袋で同級生の頭を殴った後、
手のひらを合わせて半分に切られたクラスメートと砂浜に行った。
先生に言われた通りに親を動かすと、食パン、バナナ、ジュース、チョコレートが見える。
硬貨もだ。幼稚園の頃、丸ごと母親を賭けてのゲームが流行った。
友だちの顔にボールをあてたら、生きている長い長い教頭先生が出てきた。
手にからみついてきて、噛まれたけど、ぜんぜん大丈夫だった。
前歯がぜんぶ落ちた小林秀雄みたいなフィリピン・ハーフのその人は、溺れたフリをして朝礼台に立っていた。
車にひかれた四歳の子供がボルトの入った曲がらない脚に糸をつけてタコを飛ばしていたら、
48地区の陶器の犬の首が割れてしまった。
お絵かきの時間に剃刀で眉毛を剃られた植田くんのいる方をちらっと見やった。
カラフルに塗られたクゲヌマ君が他界する二週間前、めちゃくちゃ怖かった。
五年から六年になる。バスケで、部員が誰も来ないので、春に転校した。
ちょっとしたギャグのつもりで井上君を振り回したら、ホクロだらけのスプーンが入っていた。
二人で海に行って、チョコフレークみたいな運ちゃん同士はたまに共食いをした。
オートン軍団の来襲!
この世から、わたしがいなくなることを考えるのは、それほど困難なことでも怖ろしいことでもないのだけれど
なぜ愛するひとが、この世からいなくなることが怖ろしいことなのか?
一つ一つの事物・形象が、他のさまざまな事物や形象を引き連れてやってくるからだろう。
無数の切り子面を見せるのだ。
まことに
人生は
一行の
ボードレールである。
ぼくの腕 目をつむるきみの重たさよ
狒狒、非存在たることに気づく、わっしゃあなあ
木歩のことは以前に
書いたことがある。
木歩の写真を見ると思い出す。
関東大震災の日に
えいじくんが
火炎のなかで、教授に怒鳴られて
ぼくの部屋で
雪合戦。
手袋わざと忘れて。
もう来いひんからな。
ストレンジネス。
バタンッ!
大鴉がくるりと振り向き
アッチャキチャキー
愛するものたちの間でもっともよく見られる衝動に
愛するものを滅ぼしたいという気持ちがある。
関東大震災の日に
えいじくんが
ぼくと雪合戦。
ヘッセなら
存在の秘密というだろう。
2001年1月10日の日記から抜粋。
夜、ヤリタさんから電話。
靴下のこと。
わたしの地方では、たんたんていうの思い出したの。
靴下をプレゼントしたときには気づかなかったのだけど。
とのこと。
客観的偶然ですね。

ぼく。
いま考えると
客観的偶然ではなかったけど、
たんたん。
ね。
ぼくのちっぽけな思い出だな。
ちっぽけなぼくの思い出ね。笑
金魚が残らず金魚だなんて
だれが言った!
原文に当たれ
I loved the picture.
べるで・くるってん
世界は一枚の絵だけ残して滅んだ。
どのような言葉を耳にしても
目にしても
詩であるように感じるのは
ぼくのこころが、そう聞こえる
そう見える準備をしているからだ。
それは、どんな言葉の背景にも
その言葉が連想させる
さまざまな情景を
たくさん、もうたくさん
ぼくのこころが重ね合わせるからだ。
詩とはなにか?
そういったさまざまな情景を
(目に見えるものだけではない)
重ね合わそうとするこころの働きだ。
部長!

人生は一行の
ボードレールにしか過ぎない。

そうだったら、すごいことだと思う。

ひまわりのそばでは、洗濯物がよく乾く。
鼻水で縄跳びするヒキガエルたち。
仲のよい姉妹たちが
金魚の花火を見上げている。
夜空に浮かび上がる
光り輝く、真っ赤な金魚たち。
金魚が回転すると冷たくなるというのはほんとうだ。
どの金魚も
空集合。
Φ。
2002年1月14日の日記から抜粋。
(ああ、てっちゃんのことね。)
いままで見た景色で、いちばんきれいだと思ったのはなに?
カナダで見たオーロラ。
カナダでも見れるの?
うん。北欧でも見れるけど。
どれぐらい?
40分くらいつづくけど
20分くらいしか見られへん。
どうして?
寒くて
寒くて?
冷下30度以下なんやで。
ギョギー、目が凍っっちゃうんじゃない?
それはないけど。
海なら、どこ?
パラオ。
うううん、だけど、沖縄の海がいちばんきれいやったかな。
まことに
人生は
一行のボードレールである。
快楽から引き出せるのは快楽だけだ。苦痛からは、あらゆるものが引き出せる。笑
この世から、わたしがいなくなることを考えるのは、それほど困難なことでも怖ろしいことでもないのだけれど
なぜ、わたしの愛するひとが、この世からいなくなることを考えると、怖ろしいのか。
しゃべる新聞がある。
手から放そうとすると
「まだまだあるのよ、記事が。」
という。
1999年12月30日の日記から抜粋したもの。
あらゆる存在が非存在を想起せしめる。
ぼくは天邪鬼だから
いつも。
「いつも」は天邪鬼じゃないけれど。
詩というものは
結局のところ
星よ!
光よ!
太陽よ!
と叫べば
それでよし
というところがあると思う。
星よ!
光よ!
太陽よ!
キキ
金魚!
悲しみをたたえた瞳を持って牛たちが歩みくる。
金魚が回転すると
冷たくなるというのは、ほんとうですか?
仮面をつける。
絵の具の仮面。
筆の仮面。
印鑑入れの仮面。
掃除機の仮面。
ベランダの手すりの仮面。
ハサミの仮面。
扇風機の仮面。
金魚鉢の仮面。
輪投げの仮面。
潮騒の仮面。
夕暮れの仮面。
朝の仮面。
仕事の仮面。
お風呂の仮面。
寝ているときの仮面。
子供のときの仮面。
死んだあとの仮面。
夕暮れがなにをもたらすか?
日光をよわめて
ちょうど良い具合に
見えるとき
見えるようになるとき
ぼくは考えた。
事物を見ているのではない。
光を見ているのだ、と。
夕暮れがなにをもたらすか?
それは本来、ぼくの悲しみだった。
ぼくは出来たら、新しい悲しい気持ちになりたかった。
新しくなければならないのだ。
それには、わたし自身が新しい言葉となって考えるしかあるまい。
いや、でも、しかしでちゅね。
それは言葉のなかにはないものだから
言葉と言葉のあいだにあるものなのかもしれないけれどん。笑
2004年の4月1日の日記から抜粋する。
4,5人の知人たちとしゃべるのは苦痛なのに
もっと多いか、一人か二人なら大丈夫なのはなぜだろう?
自分を出すがしんどいからか?
(ある自分というのは
他者とのなかで決定するので
一対一のときの自分は
相手一人に対して一人だから
相手の人数がたくさんだと
特定のペルソナを持つ必要がない
特定の一人に対するペルソナを持つ必要がない)
つぎつぎと人格を交代させるのは
ほんとに疲れる。
ひとりになることを恐れるな。
ひとりより少なくなることはないのだし
ひとりよりさびしくなることもないだろう。
キキ
金魚
それは本来、ぼくの悲しみだった。
できたら、ぼくは新しい悲しい気持ちになりたかった。
夕暮れがなにをもたらすか?
仮面をつける。
悲しみをたたえた瞳を持って牛たちが歩みくる。
それは言葉のなかにないのだから
言葉と言葉のあいだにあるものだから
から
か。
わが傷はこれと言いし蟻 蟻をひく
Soul-Barで
Juniorの
Mama Used Said
はやりの金魚をつけて、お出かけする。
あるいは、はやりの金魚となって、お出かけする。
石には奇形はない。
記憶のすべてとは?
記憶とは、想起されるものだけ?
想起されないものは?
一生の間、想起されずに
でも、それが他の記憶に棹さして
想起せしめることもあるかもしれない。
どこかに書いたことがあるけど
いつか想起されるかもしれないというのは
いつまでも想起されないこととは違うのかな?
習慣的な思考に、とはすでに単なる想起にしかすぎない。
金魚のために
ぼくは、ぼくの振りをやめる。
矢メール。
とがらした鉛筆を喉に突きつけて
両頬で締め付ける。
ぼくだけの愛のために。
ストラップは干し首。
ぼくの恋人の金魚のために
夜毎本を手にして
人間狩りに出かける。
声が
そんなこととは、とうてい思え!
夜毎、レイモンド・ラブロックは
壁にかかった
恋人の金魚に
声が
知っている。
きのう、フランク・シナトラのことを思い出していた。
新しい詩が書けそうだ、ということ。
うれしいかなしい。
金魚、調子ぶっこいて、バビロン。
タスマニアの少年のペニスは、ユリの花のようだったと
金魚、調子ぶっこいて、バビロン。
枯山水の金魚が浮遊する。
いたるところ
金魚接続で
ぴきぴき。
いっぴきぴき。
にぴきぴき。
さんぴきぴき。
ぴきぴき。
いっぴきき。
にぴきぴき。
さんぴきぴき。
ス来る。
とラン座
匹ー。
XXX
二rtgh89rtygんv98yんvy89g絵ウhg9ウ8fgyh8rtgyr8h地hj地jh地jfvgtdfctwdフェygr7ウ4h地5j地54ウy854ウ7ryg6ydsgfれjんf4klmgl;5、yhp6jl^77kじぇ^yjhw9thjg78れtygf348yrtcvth54ウtyんv5746yんv3574ytんcー498つcvん498tんv498yんt374y37tyん948yんrt6x74rv23c47ty579h8695m9rつbヴァ有為ftyb67くぇ4r2345vjちょjkdypjkl:h;lj、帆印b湯fttrゑytfでtfryt3フェty3れ76t83ウrgj9pyh汁9kjtyj彫る8yg76r54cw46w6tv876g643エgbhdゲう7h9pm8位0ー『mygbfy5れうhhんg日htgyん;ぃm:drs6ゑs364s3s34cty日おじjklj不khjkcmヴィfhfgtwfdtwfれswyツェdぎぃウェってqqsnzkajxsaoudha78絵rゑ絵bkqwjでyrg3絵rgj家f本rbfgcぬ4いthbwやえあfxkうぇrjみうryんxqw
ざ、が抜けてるわ。   金魚、訂正する。
性格に言えば、提供する。
時計の針で串刺しの干し首に
なまで鯛焼き。
目ゾット・ふい。
赤い色が好きだわ。
と、金魚が行った。
ぼくも好きだよ。
とジャムジャムが答える。
あなたはもっと金魚だわ。
きみだって、もう金魚だよ。
ふたりはぜんぜん金魚だった。
大分県の宿屋の主人が振り返った。
も一度死んでごらん。
ああ、やっぱりパロディはいいね。
書いてて、気持ちいい。
打っててかな。
注射は打ったことないけど。
あ、打たれたことあるけど。
病院で。
暴れる金魚にブスっと。
あのひとの頬は、とてもきれいな金魚だった。
聖書には、割れたざくろのように美しいという表現があるけど
あのひとの身体は
割れた金魚のように美しいとは
言え。
まるまると太った金魚よ、わたしを産みなさい。
ピュチュピュチュッと。
まるまると太った金魚よ、わたしを産みなさい。
オーティス・レディングがドッグ・オブ・ベイを
ぼくに歌ってくれていたとき
ぼくの金魚もいっしょに聞きほれていた。
ニャーニャー闇ってる。
ひどい闇だ。
新しい詩は、形がすばらしい。
ぼくはきのう
おとついかもしれない。
最近、記憶がぐちゃぐちゃで
きのうと、おとついが
ぼくのなかでは、そうとう金魚で
出かかってる。
つまずいて
喉の奥から
携帯を吐き出す。
突然鳴り出すぼくの喉。
無痛の音楽が
ぼくの携帯から流れ出す。
無痛の友だちや恋人たちの声が
ぼくの喉から流れ出す。
ポン!
こんなん出ましたけど。
ジョニー・デイルの右手に握られた
単行本は、十分に狂気だった。
狂気ね。
凶器じゃないのかしらん? 笑
まるまると太った金魚よ、わたしを産みなさい。
ピュチュピュチュッと。
金魚、日にちを間違える。
もう一度。
ね。
moumou と sousou の
金魚。
moumou と sousou の
金魚。
金魚が、ぼくを救うことについて
父子のコンタクトは、了解。
これらのミスは、重大事件に間違い。
バッカじゃないの?
わかった。
歴史のいっぱい詰まった金魚が禁止される。
金魚大統領はたいへんだ。
もう砂漠を冒険することもできやしない。
してないけど。笑
冒険は、金魚になった
広大な砂漠だった。
モニターしてね。笑
こういうと、二千年もの永きにわたって繁栄してきた
わが金魚テイク・オフの
過去へのロ
金魚学派のパパ・ドミヌスは
ぼくに、そうっと教えてくれた。
金魚大統領の棺の
肛門の
栓をひねって
酔うと、
ぼくは金魚に生まれ変わった扇風機になる。
冷たい涼しい。
金魚のような
墓地。
ぼくの
moumou と sousou の
金魚たち。
いつのまにか、複製。
なんということもなく
ぼくを吐き出す
金魚の黄色いワイシャツの汚れについて
おぼろげながら
思い出されてきた。
二十分かそこらしたら
扇風機が、金魚のぼくを産む。
びぃよるん、
ぱっぱっと。
ぼくを有無。
ふむ。
ムム。
ぷちぷちと
ぼくに生まれ変わった黄色いワイシャツの汚れが
砂漠をかついで
魔法瓶と会談の約束をする。
階段は、意識を失った幽霊でいっぱいだ。
ぼくの指は、死んだ
金魚の群れだ。
ビニール製の針金細工の金魚が
ぼくの喉の奥で窒息する。
苦しみはない。
金魚は
鳴かないから。
金魚のいっぱい詰まった扇風機。
金魚でできた金属の橋梁。
冷たい涼しい。
の 
デス。 
ぼくの部屋の艶かしい
金魚の振りをする扇風機。
冷たい涼しい。
墓地のような。
風に。
あたりにきませんか?
キキ
きませんか?
キキ
金魚は、あたりにきませんか?
車で走っていると
車が走っていると
突然、金魚の振りをした扇風機。
あたりにきませんか?
キキ
金魚。
キキ
金魚迷惑。
注射イヤン。
キキ
金魚。
扇風機、突然、憂鬱な金魚の振りをする。
あたりにきませんか?
キキ
金魚。
車で走って
車は走って
あたりにいきませんか?
金魚のような
墓地の
冷たい涼しい
車に。
キキ
金魚。
キキ
金魚。
キキ
キィイイイイイイイイイイイイイイイイイ
ツルンッ。 
よしこちゃん
こんな名前の知り合いは、いいひんかった。
そやけど、よしこちゃん。
キキ
金魚。
しおりの
かわりに
金魚をはさむ。
よしこちゃんは
ごはんのかわりに
金魚をコピーする。
きき
金魚。
よしこちゃん。
晩ご飯のかわりに
キキ
きのうも、ヘンな癖がでた。
金魚の隣でグースカ寝ていると
ぼくの瞼の隙を見つけて
ぼくのコピーが金魚の振りをして
扇風機は、墓地の冷たい涼しい
金魚にあたりにきませんか?
きのうは金魚の癖がでた。
石の上に
扇風機を抱いて寝ていると
グースカピー
ぼくの寝言が
金魚をコピーする。
吐き出される金魚たち。
憂鬱な夜明けは、ぼくの金魚のコピーでいっぱいだ。
はみ出した金魚を本にはさんで
よしこちゃん。
ぼくを扇風機で
金魚をコピーする。
スルスルー。
ピー、コッ。
スルスルー。
ピー、コッ。
スルスルー。
いひひ。笑
ぼくは金魚でコピーする。
真っ赤に染まった
ぼくの白目を。
金魚のコピーが
ぼくの寝ている墓地の
あいだをスルスルー
と。
扇風機、よしこちゃん。
おいたっ!
チチ
タタ
無傷なぼくは
金魚ちゃん。
チチ
マエストロ。
金魚は置きなさい。
電話にプチチ
おいたは、あかん。
フチ。
魔法瓶を抱えて
金魚が砂漠を冒険する。
そんな話を書くことにする。
ぼくは二十年くらい数学をおしえてきて
けっきょく、数について、あまりにも無恥な自分がいるのに
飽きた。
秋田。
あ、きた。
背もたれも金魚。
キッチンも金魚。
憂鬱な金魚でできたカーペット。
ぼくをコピーする金魚たち。
ぼくはカーペットの上に、つぎつぎと吐き出される。
まるで
金魚すくいの名人のようだ。
見せたいものもないけれど
まるで金魚すくいの名人みたいだ。
二世帯住宅じゃないけれど
お父さんじゃない。
ぼくのよしこちゃんは
良妻賢母で
にきびをつぶしては
金魚をひねり出す。
じゃなくて
金魚をひねる。
知らん。
メタ金魚というものを考える。
メタ金魚は言語革命を推進する。。
スルスルー
っと。
メタ金魚が、魔法瓶を抱えて砂漠を
冒険するのをやめる。
ぼくのことは
金魚にして。
悩み多い青年金魚たち。
フランク・シナトラは
自分の別荘のひとつに
その別荘の部屋のひとつに
金魚の剥製をいっぱい。
ぼくの憂鬱な金魚は
ぼくのコピーを吐き出して
ぼくをカーペットの上に
たくさん
ぴちゃん、ぴちゃん。
ぴちゃん。
て、
キキ。
金魚。
扇風機といっしょに
車に飛び込む。
振りをする。
キキ
金魚
ぴちゃん。
ぴちゃん。
ププ。
ああ
結ばれる
幸せな
憂鬱な
金魚たち
ぼくは、だんだん金魚になる。
なっていくぼくがうれしい。
し、
死ね!

moumou と sousou の
金魚。
moumou と sousou の
金魚。
金魚が、ぼくを救うことについて
父子のコンタクトは、了解。
これらのミスは、重大事件に間違い。
バッカじゃないの?
わかった。
歴史のいっぱい詰まった金魚が禁止される。
金魚大統領はたいへんだ。
もう砂漠を冒険することもできやしない。
してないけど。笑
冒険は、金魚になった
広大な砂漠だった。
モニターしてね。笑
こういうと、二千年もの永きにわたって繁栄してきた
わが金魚テイク・オフの
過去へのロッテリア。
金魚学派のパパ・ドミヌスは
ぼくに、そうっと教えてくれた。
金魚大統領の棺の
肛門の
栓をひねって
酔うと、
ぼくは金魚に生まれ変わった扇風機になる。
冷たい涼しい。
金魚のような
墓地。
ぼくの
moumou と sousou の
金魚たち。
いつのまにか、複製。
なんということもなく
ぼくを吐き出す
金魚の黄色いワイシャツの汚れについて
おぼろげながら
思い出されてきた。
二十分かそこらしたら
扇風機が、金魚のぼくを産む。
びぃよるん、
ぱっぱっと。
ぼくを有無。
ふむ。
ムム。ッテリア。
ぷちぷちと
ぼくに生まれ変わった黄色いワイシャツの汚れが
砂漠をかついて
魔法瓶と会談の約束をする。
階段は、意識を失った幽霊でいっぱいだ。
ぼくの指は、死んだ
金魚の群れだ。
ビニール製の針金細工の金魚が
ぼくの喉の奥で窒息する。
苦しみはない。
鳴かないから。
一夜の妻に
金魚のぼくを吐き出していく
ぼくの黄色いワイシャツの汚れについて
金魚大統領と面会の約束をする。
当地の慣習として
それは論議の的になること間違い。
笑。
FUxx You
これは
ふうう よう
と読んでね。

当地の慣習として
眼帯をした金魚の幽霊が
創造と現実とは大違いか?
想像と堅実は大違いか?
sousou
意識不明の幽霊が
金魚の扇風機を
手でまわす。
四つ足の金魚が、ぼくのカーペットの上に
無数の足をのばす。
カーペットは、ときどき、ぼくの振りをして
金魚を口から吐き出す。
ぷつん、ぷつん、と。
ぼくの白目は真っ赤になって
からから鳴かなかった。
金魚に鳴いてみよと
よしこちゃんがさびしそうにつぶやいた。
完全密封の立方体金魚は
無音で回転している。
とってもきれいな
憂鬱。
完全ヒップなぼくの扇風機は
金魚の羽の顧問だ。
カモン!
ぼくは、冷蔵庫に、お父さんの金魚を隠してる。
金魚のお父さんかな。
どっちでも、おなじだけど。笑
ときどき、墓地になる
金魚
じゃなかった
ぼくの喉の地下室には
フランク・シナトラ。
目や耳も
呼吸している。
息と同じように
目や
耳も
呼吸している。
呼吸しているから
窒息することもある。
目や耳も、呼吸している。
白木みのる
白木みのるってあだ名の先生がいた。
ぼくと一番仲のよかった友だちがいた研究室の先生だったけど
とても高い声で
キキ、キキ
って鳴く
白木みのるに似た先生だった。
ある日、その先生の助手が
(こちらは顔の大きなフランケンシュタインって感じね。)
学生実験の準備で、何か不手際をしたらしくって
その先生に、ものすごいケンマクでしかられてたんだって
「キキ、キミ、その出来そこないの頭を
 壁にぶち当てて、反省しなさい。」
って言われて。
で、
その助手もヘンな人で
言われたとおりに
その出来そこないの頭を
ゴツン、ゴツン
って、何度も壁にぶちあてて
「ボボ、ボク、反省します。
 反省します。」
って言ってたんだって。
友だちにそう聞いて
理系の人間って、ほんとにイビツなんだなって
思った。
知らないがゆえに
愛を知らずに
感じられないがために
愛がどんなものか、こっけいともいえる過大な期待をもっていた。
詩人や作家が愛について語るのは
じつは知らないがゆえに、ではないだろうか。
知らないがゆえに、それほど言葉を尽くして語るのである。
2002年3月2日、電話。
なんだかぼくたち、唾が合うんだよねえ。
だって。
うまじゃなくて。
2001年7月25日。
小さな動物が死んでいるのを見てかわいそうと思う。
もしも巨大な動物が目の前で死骸として横たわっていたら
ただ気持ちが悪くなるだけだろう。
2001年12月30日。
田中さんといると、いつも軽い頭痛がする、と言われたことがある。
ウの目、タカの目。
方法序説のように長々とした前戯。
サラダバー食べすぎてゲロゲロ。
世界。
人間は言葉を発明して、初めて世界を創り出すことができた。
言葉。
言葉は、自我とわたしを結ぶ唯一の媒体である。
言葉がそのような媒体であるのは
言葉自体が自我でもなく
わたしでもないからであるが
媒体という言葉をほかの言葉にして
言葉は自我であると同時にわたしであるからだと
思っているわたしがいる。
愛。
わたしは愛に近づかなかった。
愛の方では、わたしに近づこうとしていたのに。
しかし、愛が近づくと
わたしはそれから逃げたのだ。
いつも。
理解を超えるものはない。
理解を超えるものはない。
いつも理解が及ばないだけだ。
お母さんを吐き出す。
お父さんを吐き出す
うっと、とつぜんえずく。
立命館の学生と
タコジャズでチューハイを飲んでたとき
いっしょに寝れば
同じ布団のなかで寝れば
敵にも愛情が芽生えるんじゃないかなって言った。
敵といっしょに寝る。
箴言に、(だったかな)
狼と羊がいっしょにいる
とか
狼と赤ん坊がいっしょに遊んでるみたいなことが書かれていたような気がする。
いっしょに眠る?
だったかな。
内臓を吐き出して
太陽の光にあてる。
浜辺で寝そべるぼく

イメージ。
たくさんの窓。
たくさんの窓にぶら下がる
たくさんのぼく

抜け殻。
ぼくの姿をしたさなぎ。
紺のスーツ姿で、ぼうっと突っ立っているぼく。
ぼくのさなぎの背中が割れる。
スーツ姿のぼくが
ぼくのスーツ姿のさなぎから
さなぎの背中から
ぬーっと出てくる。
死んだまま。
アドルニーエン。
アドルノする。
難解にするという意味のドイツ語
だという。
調べてないけど、橋本くんに教えてもらった。
2002年2月20日のメモは
愛撫とは繰り返すことだ。
アドルニーエン。
アドルノする。
難解にするという意味のドイツ語
だという。
調べてないけど、橋本くんに教えてもらった。
2002年2月20日のメモは
愛撫とは繰り返すことだ。
四面憂鬱。
誌面憂鬱。
氏名憂鬱。
四迷憂鬱。
4名湯打つ。
湯を打つ?
意味はわからないけど、なんだか意味ありげ。
湯をまねる。
曲がった湯につかった賢治は
硫黄との混血児だった。
湯を打つと
たくさん賢治が生えてくるのだった。
たとえば官房長官のひざの上にも
スポーツキャスターの方の上にも
壁にかかったポスターの上にも
きのう踏みつけた道端の紙くずの上にも
賢治の首がにょきにょき生えてくるのだった。
身体はちぢこまって
まるで昆虫のさなぎみたいに
ぶら下がって
生えてくるのだった。
窓を覗くたくさんの賢治たち。
さなぎのようにぶら下がって
窓の外から、わたしたちを覗いているのだ。
「湯を打つ」の意味を、こうして考えて見ると
よくわかるよね。
自分で引っかいた皮膚の上で
て、するほうがいいかな。
だね。
キュルルルルル。
パンナコッタ、どんなこった。
宝塚。
18、9のとき。
ひとりで見に行ってた。
目のグリーンの子供と母親。
外国人だった。
子供は12、3かな。
きれいな髪の男の子だった。
母親は栗色の髪の毛の、34、5歳かな。
宝塚大劇場に、ひとりで行ってたとき
ときどき行ってたんだよ
ななめ前の席に坐ってた。
子供が、自分に近い方。
宝塚の街のことは、隅から隅まで知っていた。
いろんなところ、ぶらぶらしていた。
あれから何十年経ったろう。
もしいま、宝塚の街を歩いてみたら
わたしの傍らをすれちがっていく
笑い声に出会うだろう。
それはたぶん
きっと
宝塚の街を通りすぎていく
風だったかもしれない。
さつき。
22、3のときのことだった。
わたしの住んでいた長屋の斜め向かいの家の
女の子。
11才。
(男の子3人と、女の子1人なので、あずかっていた。寝泊りしていた。)
この子と、向かいのスナックのママの娘。
12才。
この二人を連れて
あるさつきの季節に
夕方
東山の霊山観音のぐるり
前いっぱいにライトアップされていた。
さつきが咲き乱れていた。
この光景は、一生忘れないでおこうと、こころに誓った。
靴。
27のとき。
忍び逢い
という名前のスナックを経営していた。
そのとき
京都女子大学の女学生と知り合った。
その女子学生は
店に聖書を売りにきたのだ。
気のいい女の子で、ふたりで食事をしたり、喫茶店で話をしたり
デートした。
この子が、自分の近所の17の女の子を
ある日、連れてきた。
その娘も、めちゃくちゃかわいい女の子だった。
名前はたしか優ちゃんだった。
芦屋に住んでいるのだが、きょうは京都に遊びに来たの、っていう。
3人で南禅寺に行った。
南禅寺の山門をくぐりぬけて
50メートルほど行くと
お滝に上がる山道がある。
山門の入り口に第二疎水のコンクリートの土台があって
(グリーンのレンガ貼り)
ハイヒールの中に入っていた小石をとるのに
片手を、その土台において
立ったまま
ぱっぱっと
その小石を落とした。
片方の靴のかかとから。
わたしが見つめているのに気づくと
とても恥ずかしそうな顔をして見せた
あの娘の表情も
そうだ
けっして忘れはしないと
こころに誓ったのだ。
優ちゃん。
真っ赤な麦藁帽子と
白い薔薇模様のワンピース。
だけど、あのときの靴の色は忘れてしまった。
真っ赤な麦藁帽子と
白い薔薇模様のワンピース。
これは覚えているのに。
あの娘の恥ずかしげな顔とともに。
だけど、あのときの靴の色は忘れてしまった。

あらゆる皮膚についた言葉を引き剥がそう。
詩人に要請されることは、何もない。
皮膚についた言葉を引き剥がすこと以外に。
こころみに、ぼくの皮膚についた言葉を引き剥がす。
十歳のときの記憶の一つが、雲を映す影となって地面を這っている。
こころもち、雨が降った日の水溜りに似ていないともいえない。
風景は成熟を拒否する。
ローリング・ストーンズのダイスをころがせを聞いたのは
中学一年生の時のことだった。
かな。
かなかな。
同級生の女の子がストーンズが好きで
その子の家に遊びに行ったとき
ダイスをころがせ、がかかってた。
ぼくと同じ苗字の女の子だった。
名前は、かなちゃんって呼んでたかな。
忘れた。
たぶん、かなちゃん。
で、ストーンズの歌は、ぼくには、へたな歌に聞こえた。
だって、ビートルズやカーペンターズや
ザ・ピーナッツとか
つなき&みどりだとか
ロス・アラモスだとか
マロだとか
ミッシェル・ポルナレフだとか
シルビー・バルタンだとか
そんなんばっかかかってたんだもん。
親の趣味のせいにするのは、子供の癖です。
パンナコッタ、どんなこった。
チチ。
マルコはもう迷わないだろう。
あらゆる皮膚についた言葉を引き剥がそう。
ダイスをころがせは、いまでも、ぼくのマイ・フェバリット・ソングだす。
大学のときは、リンダ・ロンシュタットが(ドかな)歌ってた。
デスパレイドも歌ってたなあ。
ピッ。
パンナコッタ、どんなこった。
どんなん起こった?
チチ。
もうマルコは迷うことはないだろう。
迷ってた?
パンナコッタ、どんなこった。
どんなん起こった?
チチ。
もうマルコは迷うことはないだろう。
迷ってた。
三脚台。
ガスバーナー。
窓ガラス。
水滴。
水滴に映った教室の風景。
窓ガラス。
光。
マルコはもう迷うことはないだろう。
迷ってたのは、自分のつくった地図の上だ。
自分のまわりに木切れで引っかいた傷のような地図の上だ。
三脚台。
トリポッド。
かわいい表紙なので、ついつい買っちまったよ。
で、こんなこと考えた。
ある日、博士が
(うううん、M博士ってすると、星さんだね。)
軽金属でできた三本の棒の端っこを同時に指でつまんだら
それがひょいと持ち上がって
三角錐の形になったんだって。
で、博士が指でさわると、その瞬間に歩き出したんだって。
さわると、っていうか、さわろうとして手を近づけただけっていうんだけど。
で、その三角錐のべき線の形になった三本の棒についていろいろ調べると
その三本の棒の太さと長さの比率がいっしょなら
どんな材質の棒でも、三本あれば、そんな三角錐ができるんだって。
て、いうか、もうそれは過去の話です。笑。
いまでは、荷物運びに、その三本の棒が大活躍してますし
その三本の棒の上にトレイをのっけると
テーブルの上で
ひょこひょこ動くんです。
お肉を上にのっけると
さわろうとするだけで
テーブルの上のホットプレートの上に
お肉を運んで
ジュ。
頭を下げて
ジュ。
かわいい。
ジュ。
ペットの代わりに、三本の棒をひょこひょこさせるのが大流行。
町中、三本の棒が、たくさんの人のうしろからひょこひょこついてっちゃう。
で、ジュ。
で、ジュ。
パンナコッタ、どんなこった。
チチ。
マルコはもう迷わないだろう。
迷ってた?
迷ってたかも。
パンナコッタ、どんなこった。
ううぷ。
ちゃあってた。
Aじゃない。
Eだ。
リルケは。
ちゃはっ。
視点を変える。
視点を変えるために、目の位置を変えた。
肩の位置に下ろした。
はじめは、像を結ぶのに時間がかかったが
そのうち、目は、自然と焦点を結ぶらしく
(あたりまえか。  うん?   あたりまえかな?)
像を結ぶのに、それほど時間がかからなくなった。
移動しているときの風景の変化は
顔に目があったときには気がつかなかったのだが
ただ歩くことが、とてもスリリングなのである。
身体を回転させたときの景色の動くさまなど
子供の時に乗ったジェットコースターが思い出された。
ただ階段を下りていくだけでも、そうとう危険で
まあ、壁との距離がそう思わせるのだろうけれども
顔に目があったときとは比べられない面白さだ。
左右の目を、チカチカとつぶったり、あけたり。
風景が著しく異なるのである。
顔にあったときの目と目の距離と、
肩にあるときの目と目の距離の差なんて
そんなにたいしたもんじゃないけど、目に入る風景の違いは著しい。
寝る前に、ちかちかと目をつぶったり、あけたり。
ひとつの部屋にいるのに、異なる二つの部屋にいるような気分になる。
目の離れている人のことを「目目はなれ」と言うことがあるけど
そういえば、志賀直哉、じゃなかった、ああ、石川啄木じゃなくて
漱石の知り合いの、ええと、あれは、あれは、だれだっけ?
啄木じゃなくて、ええと
あ、正岡子規だ!
正岡子規がすぐれていたのは、もしかしたら
目と目の間が、あんなに離れていたからかもしれない。
人間の顔の限界ぎりぎりに目が離れていたような気がする。
すごいことだと思う。
こんど、胸と背中に目をつけようと思うんだけど、
どんな感じになるかな。
あ、それより、三つも四つも
いんや、いっそ、百くらいの目だまをつけたらどうなるだろう。
百もの異なる目で眺める。
あ、この文章って、プルーストだったね。
The Wasteless Land.
で、引用してたけど
じっさい、百の異なる目を持ってたら
いろいろなものが違って見えるだろうね。
百もの異なる目。
違う意味だけどね。
生態学的に(で、いいのかな?)百もの目を持ってたら?
って考えたら、ひゃー、って思っちゃうね。
あ、妖怪で、百目ってのがいたような気がする。
いたね。
水木しげるのマンガに出てたなあ。
でも、百も目があったら、花粉症のぼくは
いまより50倍も嫌な目にあうの?
50倍ってのが単純計算なんだけどね。
あ、
プチッ。
プチ。
プチ、プチ。
あの包装用の、透明のプチプチ。
指でよくつぶすあのプチプチ。
プチプチのところに目をつけるのね。
で、指でつぶすの。
プチプチ。
プチプチって。
ブ。
ブブ。
ブクブホッ。
いつのまにか、ぼくは自分の身体にある目を
プチプチ。
プチプチって。
ブ。
ブブ。
ブクブホ。
って。
で、
宇宙の構成について考える。
物質がなぜあるのかは、考えない。
あるのだ。
ほとんどが虚無の宇宙。
空間的に。
で、
地球について考える。
何十億年か昔と、今現在について考える。
まあ、何十億年かまえなんて、じっさいのところは知らんけど。
まあ、本やテレビで知った限りはってことで。
複雑化。
結びついてる。
いろいろ。
変化している。
いろいろ。
で、
意識について考える。
ひとりの人間の意識について考える。
その人間が思考するときのことを考える。
その人間がはじめて思考したときのことを考える。
ポオがユリイカで発見したことは
いや、ユリイカが発見だったのだけれど
ほとんどあたってると思う。
意識が対象とするものを物質に
対象を結びつける力を引力や電磁気力なんかに
意識の変化を物質の変化や状態の変化にたとえてみる。
ポオがしたように。
宇宙について考える。
宇宙のほとんどが虚無であることについて考える。
物質はある。
なぜ物質があるのだろうか。
と考えたことはあっても
なぜ虚無があるのだろうかと考えたことはなかった。
物質があるからだろうか。
虚無が存在するためには、物質が必要だからだろうか。
ちゃうね。
言葉で、また遊んでる。
ま、いつだって、言葉で遊んでるんだけど。
ひとりひとりが別の宇宙を持っているって書いてたのは
ディックだったかな。
リルケだったかな。
ふたりとも
kの音で終わってる。
あつすけ。

e だね。
笑。
おそまつ。
笑。
彼が笑うのを見ると、いつもわたしは不安だった。
わたしの話が面白くて笑ったのではなく
わたしを笑ったのではないかと
わたしには思われて。
表情のない顔に引っ込む。
この言葉はまだ、わたしのものではない。
わたしのものとなるにつれて、物質感を持つようになる。
触れることのできるものに。
そうすれば変形できる。
切断し、結び合わせることができる
せっ、


戦争を純粋に楽しむための再教育プログラム。
あるいは、菓子袋の中のピーナッツがしゃべるのをやめると
なぜ、隣の部屋に住んでいる男が、わたしの部屋の壁を激しく叩くのか?
男の代わりに、柿の種と称するおかきが代弁する。(大便ちゃうで~。)
あらゆることに意味があると、あなたは思っていまいまいませんか?
人間は、ひとりひとり自分の好みの地獄に住んでいる。
これは、『『鴨川─THE GATES OF DELIRIUM°』のための注釈。』のための注釈か?


□本来ならばシェイクスピアがいるべきところに、地球座の舞台の上に、立方体の海を配置する。□その立方体の一辺の長さは、五十センチメートルとする。□この海は、どの面も大気に触れることがなく、どの面も波が岸辺に打ち寄せることのないものとする。□もしも、大気に触れる面があったとしても、波が打ち寄せる岸辺があったとしても、立方体のどの面からも、どの辺からも、どの頂点からも、音が漏れ出ることはない構造をしている。□海は、いっさいの音を観客たちに聞かせることはない。□空中に浮かんだ立方体の海が、舞台の上で耀いている灯明の光をきらきらと反射しながら、回転している。□回転する方向をつぎつぎに変えながら。□他の俳優たちも、シェイクスピアと同じように、立方体の海に置き換えてみる。□観客たちも、みな同じように、立方体の海に置き換えていく。□劇場は静止させたまま、すべての俳優と観客たちを立方体の海に置き換えて、回転させる。□その光景を眺めているのは、ぼくひとりで、ぼくの頭の中の劇場だ。□しかし、その光景を眺めているぼく自身を、立方体の海に置き換えてみる。□ぼくは、打ちつけていたキーボードから離れて、部屋のなかで、くるくると回転する。□頭を振りながら、くるくると回転する。□息をついて、床に坐り込む。□キーボードが勝手に動作する。□文字が画面に現われる。□海のかわりに、地面や空の立方体が舞台の上で回転する。□立方体に刳り抜かれた空。□立方体に刳り抜かれた地面。□立方体に刳り抜かれた海。□立方体に刳り抜かれた風。□立方体に刳り抜かれた光。□立方体に刳り抜かれた闇。□立方体に刳り抜かれた円。□立方体に刳り抜かれた憂鬱。□立方体に刳り抜かれたシェイクスピア。あらゆることに意味があると、あなたは思っていまいまいませんか? 「ぼくらはめいめい自分のなかに天国と地獄をもってるんだ」(ワイルド『ドリアン・グレイの画像』第十三章、西村孝次訳)「ぼくだけじゃない、みんなだ」(グレッグ・ベア『天空の劫火』下・第四部・59・岡部宏之訳)人間は、ひとりひとり自分の好みの地獄に住んでいる。そうかなあ。そうなんかなあ。わからへん。でも、そんな気もするなあ。きょうの昼間の記憶が、そんなことを言いながら、驚くほどなめらかな手つきで、ぼくのことを分解したり組み立てたりしている。ほんのちょっとしたこと、ささいなことが、すべてのはじまりであったことに突然気づく。「ふだん、存在は隠れている。」(サルトル『嘔吐』白井浩司訳)「そこに、すぐそのそばに」(ジイド『ジイドの日記』第二巻・一九一〇、カヴァリエール、八月、新庄嘉章訳)きのうの夜と、おとついの夜が、知っていることをあらいざらい話すように脅迫し合う。愛ではないものからつくられた愛。それとも、それは愛があらかじめ違うものに擬装していたものであったのか。いずれにしても、愛が二度と自分に訪れることがないと思われることには、なにかこころ穏やかにさせるところがある。びっくりした。またわたしは、わたし自身に話しかけていた。吉田くんだと思って話してたら、スラトミンっていう栄養ドリンクのラベルの裏の説明文だったから。人工涙液マイティアも、ぷつぷつ言っていた。「すべてが現実になる。」(フレデリック・ポール&C・M・コーンブルース『クエーカー砲』井上一夫訳)「あらゆるものが現実だ。」(フィリップ・K・ディック『ユービック:スクリーンプレイ』34、浅倉久志訳)音が動力になる機械が発明された。もし、出演者のみんなが黙ってしまっても、ぼくが話しつづけたら、テレビが見つづけられる。どうして、ぼくは恋をしたがるんだろう? その必要がないときにでも。一度失えば十分じゃないか、とりわけ、恋なんて。電車に乗っていると、隣の席にいた高校生ぐらいの男の子が英語の書き換え問題をしていた。I’m sure she is Keiko’s sister.= She must be Keiko’s sister. これを見て、ふと思った。どのように客観的な記述を試みても、書き手の主観を拭い去ることはできないのではないか、と。死の味が味わえる装置が開発された。人間だけではなく、動物のも、植物のも、鉱物のも。なぜなら、もともと、人間が、他の動物や植物や鉱物であったからである。では、水は? もっとも必要とされるものが、もっともありふれたものであるのは、なぜか。水、空気、地面、重力。人間は砂によって移動する。人間は砂の中をゆっくりと移動する。人間は直立したままで、砂に身をまかせれば、砂が好きなところに運んでくれる。砂で埋もれた街の道路。二階の部屋にも、五階の部屋にも行ける。砂で埋もれた都会の街。しかし、砂以外の街もある。(といって、チョコレートや納豆やミートボールなんて食べ物は陳腐だし、ミミズや蟻や蟹なんて生き物もありふれてるし、靴下や扇風機や鍵束なんて物も平凡だけどね。)「同類の人に会うといつも慰められます」(エリカ・ジョング『あなた自身の生を救うには』柳瀬尚紀訳)まったくいっしょ。笑。ニーチェは、自分の魂を自ら創り出した深淵に幽閉する前に、道行くひとに、よくこう訊ねたという。わたしが神であることを知っているか、と。ぼくは、このエピソードを思い出すたびに涙する。たとえ、それが、そのときのぼくにできる最善のことではなかったとしても、それがぼくにできる最善のことだと、そのときのぼくには思われたのであった。「無用の存在なのだ。どうして死んでしまわないのだろう?」(フィリップ・K・ディック『アルファ系衛星の氏族たち』1、友枝康子訳)父親をおぶって階段を上る。わざと足を滑らせる。むかし、父親がしたことを仕返しただけだけど。博物館に新参者がやってきた。古株たちが、あれは偽物だと言って、いじめるように、みんなにけしかける。ところで、みんなは、古株たちも偽物だということを知っている。もちろん、自分たちのことも。階段を引きずって下りていくのは、父ではない。母でもない。自分の死体でもない。読んできた書物たちでもない。「思うに、われわれは、眼に見えている世界とは異なった別の世界に住んでいるのではないだろうか。」(フィリップ・K・ディック『時は乱れて』11、山田和子訳)と、踊り場に坐り込んで考える。隣に置いたものから目をそらせて。「人間は、まったく関連のない二つの世界に生きている」(トマス・M・ディッシュ『歌の翼に』4、友枝靖子訳)発掘して掘り出されるのはごめんだな。親は子供の死ぬことを願った。子供は死んだ。子供は親が死ぬことを願った。親は死んだ。どちらの願いも、簡単に実現する。毎日、繰り返し。恋人が吊革だったらうれしい。もちろん、自分も吊革で。隣に並んで、ぶらぶらするって楽しそうだから。でも、首をつられて、ぶらぶらする恋人同士ってのはヤだな。会話の中で、ぜんぜん関係ないのに、むかし見た映画のワン・シーンや、音楽が思い出されることがある。いや、違うな。ぼくが思い出したというより、それらが、ぼくに思い出させたといっていいような感じがする。強くする。賀茂川、高野川、鴨川の、別々の河川敷に同時に立つぼく。同じ一つの河川敷に立つ、年齢の異なる複数のぼく。川面に川の景色が映っているというのは、きみの姿がぼくの瞳に映っているとき、ぼくがきみを見ているのと同様に、川が川のそばの景色や空を見つめているのだよ。雨の日には、雨にぬれた店の床のくぼみに溜まった汚れた水が見つめている。雨の日の軒下にぶら下がった電灯の光。汚れた水が憧れのまなざしで、にじんだ光を見上げていたのだ。動物のまねばかりする子供たち。じつは、人間はとうの昔に滅んだので、神さまか宇宙人が、生き残った動物たちを人間に作り変えていたのだ。じゃあ、ぼくが海のことを思い出しているのではなく、海がぼくのことを思い出してるっていうことだ。「世界はいちどきには一つにしたほうがいい、ちがうかね?」(ブルース・スターリング『スキズマトリックス』第三部、小川隆訳)「きみがいま生きているのは現実の世界だ。」(サミュエル・R・ディレイニー『アインシュタイン交点』伊藤典夫訳)「精神もひとつの現実ですよ」(ガデンヌ『スヘヴェニンゲンの浜辺』16、菅野昭正訳)呼吸をするために、喫茶店の外に出る。店の外の道路は、市松模様に舗装されている。□四角く切り取られた海。□四角く切り取られた空。□四角く切り取られた川。□四角く切り取られた地面。□四角く切り取られた風。□四角く切り取られた虎。□四角く切り取られた円。□四角く切り取られた昨日。□四角く切り取られた憂鬱。□四角く切り取られたシェイクスピア。見ていると、それらは、数字並べのプラスティックのおもちゃのように、つぎつぎと場所を替えていく。シュコシュコ、シュコシュコ、っと。シュコシュコ、シュコシュコ、っと。なんだミン? 


世界が音楽のように美しくなれば、
音楽のほうが美しくなくなるような気がするんやけど、
どやろか? まっ、じっさいのところ、わからんけどねえ。笑。
バリ行ったことない。中身は、どうでもええ。
風景の伝染病。恋人たちはジタバタしたはる。インド人。
想像のブラやなんて、いやらしい。いつでも、つけてや。笑。
ぶひゃひゃひゃひゃひゃひゃ。


ゴホン、ゴホン。
ある日、風景が咳をひとつ、ふたつ。
ゴホン、ゴホン。
そしたら、そばの風景も
ゴホン、ゴホン。
咳をしだした。
そしたら、そのそばにある風景が
最初に咳をした風景に似てきて
ゴホン、ゴホン。
咳がひどくなって
とうとうそっくり
瓜二つになって
同じ風景がふたつ。
みっつ。
ゴホン、ゴホンとするたびに
同じ風景がよっつ、いつつ。
ゴホン、ゴホン。
むっつ、ななつ、と。
風景の伝染病が広がって
とうとう、すべての風景が
たったひとつの風景になりましたとさ。
(あれっ、たくさんの同じ風景じゃないの?)
細かいことは言わんでよろしい。(プフッ。)
ゴホン、ゴホン。
ある日、吉田くんが咳をひとつ、ふたつ。
ゴホン、ゴホン。
そしたら、そばの山本くんも
ゴホン、ゴホン。
咳をしだした。
そしたらまた、そのそばにいた阿部くんまで
最初に咳をした吉田くんに似てきて
ゴホン、ゴホン。
咳がひどくなって
とうとうそっくり
瓜二つになって
吉田くんが二人。
三人。
ゴホン、ゴホンとするたびに
吉田くんが四人、五人。
ゴホン、ゴホン。
六人、七人、と。
吉田くんの伝染病が広がって
とうとう、すべての人が
たったひとりの吉田くんになりましたとさ。
(あれえ、おおぜいの同じ吉田くんじゃないの?)
細かいことは言わんでよろしい。(プフッ。)
ゴホン、ゴホン。
ある日、納豆が咳をひとつ、ふたつ。
ゴホン、ゴホン。
そしたら、そばのマーガリンも
ゴホン、ゴホン。
咳をしだした。
そしたらまた、そのそばにあった活性炭入り脱臭剤のキムコまで
最初に咳をした納豆に似てきて
ゴホン、ゴホン。
咳がひどくなって
とうとうそっくり
瓜二つになって
納豆がふたつ。
みっつ。
ゴホン、ゴホンとするたびに
納豆がよっつ、いつつ。
ゴホン、ゴホン。
むっつ、ななつ、と。
納豆の伝染病が広がって
とうとう、すべての食べ物が
たったひとつの納豆になりましたとさ。
(あれ、たくさんの同じ納豆じゃないの? それにキムコは食べ物じゃないでしょ?)
細かいことは言わんでよろしい。(プフッ。)
ぷくぷくちゃかぱ。
ぷくちゃかぱ。
ふくとくぷぷぷ。
ふくぷぷぷ。
ごごんがてるりん。
てるてるりん。
ごごんがてるりん。
てるりんりん。
てるてるりんたら。
てるりんりん。
ふにふにふがが。
ふにふがが。
ふにんがふがが。
ふにふがが。
んがんがんがが。
んがんがが。
ふにふに、ふにゃら。
ふにふにゃら。
ふにふに、ふにゃら。
ふにふにゃら。
ぷくぷくちゃかぱ。
ぷくちゃかぱ。
ぷくぷくちゃかぱ。
ぷくちゃかぱ。
ぷくちゃくぷぷぷ。
ぷくぷぷぷ。
ぷくちゃかぷぷぷ。
ぷくぷぷぷ。
ぷぷぷぷ、ぷぷぷ。
ぷぷ、ぷぷぷ。
ぷぷぷぷ、ぷぷぷ。
ぷぷ、ぷぷぷ。
ぷぷぷぷ、ぷぷぷ。
ぷぷ。
ぷぷぷ。
ぷぷ。
ぷへ。
ぺっ。
ぺへっ。
ぺへー。
ぷー。
ぷぷう。
ぺっ。
ぷふう。
ぺっ。
ぺへ。
ぷぷ。
ぷへ。
ぺへ。
へえ。
ゴホン、ゴホン。
ある日、実際には起こらなかった事が咳をひとつ、ふたつ。
ゴホン、ゴホン。
そしたら、そのそばのもしかしたら起こったかもしれない事も
ゴホン、ゴホン。
咳をしだした。
そしたらまた、少し離れたところにあった本当に起こった事まで
最初に咳をした実際には起こらなかった事に似てきて
ゴホン、ゴホン。
咳がひどくなって
とうとうそっくり
瓜二つになって
実際には起こらなかった事がふたつ。
みっつ。
ゴホン、ゴホンとするたびに
実際には起こらなかった事がよっつ、いつつ。
ゴホン、ゴホン。
むっつ、ななつ、と。
実際には起こらなかった事の伝染病が広がって
とうとう、あらゆる事柄が
たったひとつの実際には起こらなかった事になりましたとさ。
(それって、どうやって見分けんのよ? つーか、一体全体、どういうこと?)
細かいことは言わんでよろしい。(プフッ。)
ゴホン、ゴホン。
ある日、ひとつの*が咳をひとつ、ふたつ。
ゴホン、ゴホン。
そしたら、そばの@も
ゴホン、ゴホン。
咳をしだした。
そしたらまた、そのそばにあった[まで
最初に咳をした*に似てきて
ゴホン、ゴホン。
咳がひどくなって
とうとうそっくり
瓜二つになって
同じ*がふたつ。
みっつ。
ゴホン、ゴホンとするたびに
同じ*がよっつ、いつつ。
ゴホン、ゴホン。
むっつ、ななつ、と。
*の伝染病が広がって
とうとう、すべての記号・文字・数字・アルファベットなどが
たったひとつの*になりましたとさ。
(あれっ、たくさんの同じ*じゃないの? それに、などって何よ、何か他にあるの?)
細かいことは言わんでよろしい。(プフッ。)
ゴホン、ゴホン。
ある日、ぼくが咳をひとつ、ふたつ。
ゴホン、ゴホン。
そしたら、そばにいたぼくも
ゴホン、ゴホン。
咳をしだした。
そしたらまた、そのそばにいたぼくまで
最初に咳をしたぼくに似てきて
ゴホン、ゴホン。
咳がひどくなって
とうとうそっくり
瓜二つになって
同じぼくが二人。
三人。
ゴホン、ゴホンとするたびに
同じぼくが四人、五人。
ゴホン、ゴホン。
六人、七人、と。
ぼくの伝染病が広がって
とうとう、すべてのぼくが
たったひとりのぼくになりましたとさ。
(あれ、おおぜいの同じぼくじゃないの? それに、そもそもみんなぼくじゃない?)
細かいことは言わんでよろしい。(プフッ。)
ゴホン、ゴホン。
ある日、ひとつの風景が咳をひとつ、ふたつ。
ゴホン、ゴホン。
そしたら、そばにいた人も
ゴホン、ゴホン。
咳をしだした。
そしたら、そばにいた人が
最初に咳をした風景に似てきて
ゴホン、ゴホン。
咳がひどくなって
とうとうそっくり
瓜二つになって
同じ風景がふたつできた。
でもそのうち、
もとは風景じゃなかった方の風景が
ゴホン、ゴホン。
咳をすると、
もとの人の姿に戻っちゃって
そしたら、
もとは風景だった方の風景も
もとは風景じゃなかった方のもとは人だった方の人の姿に似てきて
ゴホン、ゴホンと咳をするたびに
もとは風景じゃなかった方のもとは人だった方の人の姿に似てきて
ゴホン、ゴホン。
咳をするたびに、
ふたつの風景は二人の人になったり
二人の人はふたつの風景になったりして
ゴホン、ゴホン。
そのうち、咳をするたびに
風景が人になったり、人が風景になったりして
とうとう、どちらがどちらか、わからなくなりましたとさ。
(あれれー、これじゃ、同じフレーズの繰り返しじゃないじゃないの?)
細かいことは言わんでよろしい。(プフッ。)
ゴホン、ゴホン。
ある日、うれしいが咳をひとつ、ふたつ。
ゴホン、ゴホン。
そしたら、そばの楽しいも
ゴホン、ゴホン。
咳をしだした。
そしたらまた、別のところにあった悲しいまで
最初に咳をしたうれしいに似てきて
ゴホン、ゴホン。
咳がひどくなって
とうとうそっくり
瓜二つになって
うれしいがふたつ。
みっつ。
ゴホン、ゴホンとするたびに
うれしいがよっつ、いつつ。
ゴホン、ゴホン。
むっつ、ななつ、と。
うれしいの伝染病が広がって
とうとう、すべてのこころの状態が
たったひとつのうれしいになりましたとさ。
(あれ、たくさんの同じうれしいじゃないの?)
細かいことは言わんでよろしい。(プフッ。)
ゴホン、ゴホン。
ある日、ひとつが咳をひとつ、ふたつ。
ゴホン、ゴホン。
そしたら、そばのふたつも
ゴホン、ゴホン。
咳をしだした。
そしたらまた、そのそばにあったみっつまで
最初に咳をしたひとつに似てきて
ゴホン、ゴホン。
咳がひどくなって
とうとうそっくり
瓜二つになって
ひとつがふたつ。
みっつ。
ゴホン、ゴホンとするたびに
ひとつがよっつ、いつつ。
ゴホン、ゴホン。
むっつ、ななつ、と。
ひとつの伝染病が広がって
とうとう、すべての|つが
たったひとつのひとつになりましたとさ。
(あれ、たくさんの同じひとつじゃないの? それに|つじゃないのもあるでしょ?)
細かいことは言わんでよろしい。(プフッ。)
仕事帰りにミスド行って
ドーナッツ買って
はああ
くだらない。
ドーナッツの輪っかと、ミスドのウェイトレスの顔を交換する。
運んだトレイと、聞こえてくる50年代ポップスを交換する。
はああ
くだらない。
コーヒーは
なんだか薄いしぃ。
そのコーヒーカップのシンボルマークと、パパの記憶を交換する。
バレンチノ。
なんで。
はああ
くだらない。
違うカフェに寄ろうかな。
チチチチチチチ。
なんだ、これ。
ミルフィー。
ムフッ。
フフ。
ファレル。
ねえ、
ぼくのこと、愛してる?
きょうは、もうほとんど寝てた。
きれいになる病気がはやってた。
ぼくは何年も前にかかって
ラジオで聞いて
知ってたけど
みんなは
あ、
ただ、ぼくたちは、くすくす笑って
みんなは
あ、
ただ、ぼくたちは、くすくす笑って
まだたすかる。
まだたすかる。
そのしぼんだ花びらは、わたしのおばだった。
淑女の成れの果てだ。
アニーホール。
腐りしぼんだ花びら。
(しぼみ腐った花びら、かしら?)
日曜日にかけた電話が土曜日につながる。
ボン・ボアージュ!
ディア。
きみの瞳が写した、ぼくの叫び声は
まだたすかる。
まだたすかる。
まだたすかる。
タチケテー!
イヤン、途中で切れちゃったわ。
ファレル。
ぼくたちの間では
どんなことでも
起こったわけじゃない。
信じられないようなことしか起こらなかった。
いまでは信じられないような
すてきなことしか。(プフッ。)
モア・ザン・ディス。
パパやママは
ばらばらになったり
またひとつになったりしながら
航海する。
後悔する。
公開する。
こう解する。
こう理解する。
愛しているふりをすることは大切だ。
とりわけ、まったく愛していないときには。
おお、ジプシー!
あらゆるものが愛だ。
愛だ。
間。
思うに、きみは愛しているふりをしながらでしか
愛することができないのだね。
おお、ジプシー!
きみは、こう理解する。
本当のことを言っているはずなのに
しゃべっているうちに
なんだか嘘をまじえてしゃべっているような気がするのだね。
嘘を言っていると
ほんとうのことを言っているような気に
木に
きみになってしまうような気に
木に
きみに
なってしまうような
きみに
なるのだろう。
それはなぜだろう?
交換する。
転移させることに意味はない。
交換する。
転移させることに意味はない。
少なくとも、わたしは意味を与えない。
イメージさえも。
あるものとしたら
その転移が、わたしの感性を微弱に変化させるだけだろう。
わたしの感性にどう影響するか。
それを自覚することはきわめて難しいだろう。
交換する。
転移ではない。
時間が超スピードで過ぎていく箱がある。
ぼくはそこに、ハインリヒの夢のなかに現われた青い花を置いてみる。(プッ。)
時間が超スピードで過ぎていく箱がある。
ぼくはそこに、これまでぼくが書いてきたたくさんのぼくを置いてみる。(プッ。)
時間が超スピードで過ぎていく箱がある。
ぼくはそこに、等比級数的に増加していくうんこを置いてみる。(ププッ、ププッ。)
時間が超スピードで過ぎていく箱がある。
ぼくはそこに、さっきテレビで見たベネチアの美しい街並みを置いてみる。(フウム。)
時間が超スピードで過ぎていく箱がある。
ぼくはそこに、人間を置いてみる。(もちろん、あらゆるすべての人間を、プフッ。)
時間が超スピードで過ぎていく箱がある。
ぼくはそこに、時間を置いてみる。(時間というものそのものを、ね。ブッフッフ。)
時間が超スピードで過ぎていく箱がある。
ぼくはそこに、ひとつの波を置いてみる。(これって、リリカルでしょ? フニッ。)
時間が超スピードで過ぎていく箱がある。
ぼくはそこに、かつてぼくを傷つけたひとつの言葉を置いてみる。(フフンッ、ダー。)
道を歩いていて
通りの向こうからやってくる人を
(女性だった。)
車道をはさんだ、向こう側の道に置いてみる。
目のなかで、そうなってることをイメージする。
うっすらだが、反対側の道から、その人がやってくるのが見える。
しかし、こちら側の道でも、
向こうの方から歩いてくるその人の姿が目に見える。
そこで、今度は、その二人を交換する。
二人の映像は、多少濃淡の違いがあったのだけれど
交換すると、その違いが少なくなった。
そこでさらに、二人の姿を交換する。
二人が近づいてくる。
交換する。
二人が近づいてくる。
こちらの人をあちらに
あちらの人をこちらに
交換する。
スピードをあげて
交換する。
二人は、ぼくにどんどん近づいてくる。
ぼくは二人にすれ違った。
ぼくも二人いたのだ。(ブフッ。)
二人は近づいてくる。
どんどん、ぼくに近づいてくる。
反対側の道にいる人をこちらに置いて
こちらの側にいる人を反対側に置こうとしたら
反対側にいて、ぼくがこちら側に置いた人の方が
消えてしまった。
二人は近づいてくる。
近づいてくる。
どんどん近づいてくる。
すると、ぼくの傍らを二人が通りすぎた。
通り過ぎていった。
ぼくとすれ違って。
道はひとつじゃなかったけど
二つに分かれて
また一つになって
二人に分かれて
またひとりになって
ぼくたちはすれ違ってしまった。
反対側の道の向こうには、ぼくの後姿が見えた。
振り返ると、その人は二人いて
前を見ると
反対側の道とこちら側の道の上に
ぼくから遠ざかるぼくの後姿があって
ぼくは、ぼくとすれ違う
たくさんの人たちのことを思った。
時間が超スピードで過ぎていく箱がある。
ぼくは、ぼくとすれ違う
たくさんの人たちのことを考えた。
記憶が
蝶の翅のように
ひらいたり。
とじたりする。
そのスピードはゆっくり。
蝶は
記憶を
ひらいたり、とじたり。
違った。
いや、違わない。
わたしは
翅をひらいたり、とじたりして
記憶を呼び覚ます。
アー・ユー・クレイジー・ナウ?


ぼくは救急車になりたかった。
あ、違う。
救急隊員に。(プフッ。)
あ、違わくない?
うん?
まっ、どっちでもいいや。
プフッ。
交換する。
交歓する。
交感する。
こう感ずる。
こう感ずる。
パパがママを食卓で食べてる光景。
ファレル。
ぼくはきみを傷つけたりなんかしないよ。
たとえきみが、ぼくに傷つけられたいと望んでも。
ただ一つの言葉、たった一つの単語が
長い文章に、複雑で遠大な意味を与える。
海に落とされた一滴のぶどう酒と同じように。(ってか、プフッ。)
パパとママの首を交換する。
60歳になったら選べるの。
そのまま人間の姿で、あと1年過ごすか
犬の姿となって3年生きるか。
だったら、どうする?
パパとママが戻ってきた。
戻ってきたパパとママは
ぼくがミルクを入れておいたミルク皿に顔を突っ込むようにして
ミルクを飲んだ。
ひとつのミルク皿にはいったミルクを
パパとママは同時に飲もうとして
頭と頭をゴッツンコ。
わわんわんわん、わわんわん
だって。(プフッ。)
朝霧をこぶしに集め
樹は、わたしの顔の上にしずくをもたらす。
水滴は、わたしの顔面ではね、地面にこぼたれた。
雨は、と父は言った。
地面に吸われ
地面はまた太陽に温められ
水蒸気を吐き出す。
こころとは地面のようなものであり、
思いとは、雨のようなものだ。
と。
わたしが死んでも、その場所はあり
その場所に雨は降るのだ、と。
フォロー・ミー。
ファレル。
イフ・ユ・ワナ・ビ・ゼア・・・
水蒸気は塵や埃を核として凝集して水滴となる。
水滴は水滴と合わさって
雨となる。
思いもまた、なにかを核として
(それは感覚器官がもたらすものであったり
無意識の領域で息をひそめていたなにものかであろう。)
はっきりとした形を取ったものであろう。
そのはっきりとした形にさせるもの
法則のようなものがロゴスであり
そして、そのはっきりとした形を取らせる前のものも
そのはっきりとした形にあらわれたものも
ロゴスに寄与するのだから、区別が難しい。
ゆえに、それらのものも、ロゴスと言わざるを得ない。
わたしが死んでも、その場所はあり
その場所に雨は降るのだ。
と。
パパ。
絵になる病気がはやってた。
最初はやせていくので喜んでいた人もいた。
どんなポーズで絵になるか考えた人たちもいた。
どんな格好で絵になるか気にしない人もいた。
しかし、突然、絵になるので、どんなにポーズをとっても
その望んだポーズで絵になることは難しかった。
あとから、他の人の絵に加わる人もいた。
自分の親や子供の絵のそばで
恋人たちの絵のそばにいて
彼らの傍らでやせていく自分の姿を見ながら
自分の傍らで絵になった彼らの親や子供や恋人たちの絵を見つめながら
絵になっていく人もいたし
憎んでいる者のそばで
じっと絵になるのを待っている者もいた。
ものすごい形相をして。
しかし、あとから加わっても
もとの絵にしっくりくるものは少なかった。
絵のタッチがどれも異なるものだから
あとから加わるのは、あまりおすすめじゃなかった。
絵になる病気。
これって、これまで画家たちが
多くの人間を絵のなかに閉じ込めてきた
絵の復讐?
絵のなかの人物たちの生身の人間に対する復讐なのかしら?
ぼくもとうとう絵になるらしかった。
最初は、ぼくもおなかがへっこんでよろこんでたんだけど。
ううううん。
ファーザー?
ぼくは、どんなポーズをとろう?
とったらいい?
ま、どんなポーズでもいいけどね。
ああ、あとどれぐらいしたら、絵は、ぼくになるんだろう?
てか。
あっ、
ファーザー。
ぷくぷくちゃかぱ。
てか。
あっ、
ファーザー。
ぷくぷくちゃかぱ。
てか。
あっ、
あっ、
あっ、
あっ、きたわ。
きたわー。
ひさしぶりに、きたわあ。
頭にきたのよお。
なんで、わたしが謝らなきゃなんないわけ?
それに、なによ。
あのやり方。
直接言いなさい。
直接!
投稿者の詩を使って
わたしのことを貶めるなんて、そうとう陰険な手口だわ。
どうせ、するんだったら、もっと陰湿にしなさい。
陰湿に。
まあ、もとがもとなんだから
あんまりたくさん要求しないけどね。
あんたたち、
自分たちより才能のある書き手を選べば
自分たちの才能のなさが世間に知られるからって
自分たちより才能のない書き手ばっか選ぶのは
もういい加減になさい!
バレバレなのよ。
あんたたちのつまんない詩よりつまんないんだから
そうとうつまんないでしょ?(プフッ。)
そんなわけで、もう耐えられません。
いつも被害を受けるのは、わたしの方ばかり。このまま
やってきたことに対して、たいした評価もあるわけではないのですが、
これもオリンピック開催国の事情によると思います。
テロの予告も日増しに
苦情の多くが役所に寄せられて困っています。
人工肛門・マダガスカルの夜は
苦情の多くが役所に寄せられて困っています。
人工肛門・マダガスカルの夜は
苦情の多くが役所に寄せられて困っています。
おとつい。
おっと、つい。
お。
違う派。
あ、違うわ。
ちょっと前ね。
おとつい、って言葉が好きなの。
ううううん。
考えごとをしながら歩いてると
車に轢かれそうになって
この感じ、この感じ、この感
書けないわ。
ひとりでは。
にっこりしぼんで、しぼって、しおれて、しおって、
でも、運転手がバカだから
ぼくを轢かないで
(ワードでなかったら、こんな字、ぜったいに書かないわ。ブヒッ。)
この感じ、この感じ、この感じよおおおおおおおお!
前を歩いてた男の子を
轢いちゃった の
よおおおおおおおおおおおおお!
この感じ、この感じ、この感じよおおおおおお!
ぼくの目の外では
その子は、ヘンな音を立てて
道路に、べちゃ。
ぼくの目の中では
その子は脚のない木のいすのように立ちすくんで
ギコギコ音を立てて
バタン。
苦情の多くが役所に寄せられて困っています。
人工肛門の夜・マダガスカルの夜は
木になって
気になって
木になって
しかたがなかった。
人工肛門・マダガスカルの夜は
ピン札。
言葉は言葉の上に
言葉をつくり
言葉は言葉の下に
言葉をつくる。
ゆきちちゃん、ありがとう。
いつまでも。
ぼくといっしょにいてね。
(プッ)
もう二十年近く、数学を教えてるの
って、ぼくが言うと
たいていの詩人は
へえ、って言うけど
数学って、へえ、って言われる科目なのか?
あるいは、わたしも昔は数学が得意だったんですよって、
いかにも、嘘ついてますって、ふふん、ぼくにはわかるよん。
(ぷっ。)
まあ、得意でも苦手でもいいんだけど
それにしても
みんな、得意か、苦手か
どちらかしかなくって
どちらかしかないのか、おまえら。
興味深い。
わたしの苦い舌が、わたしの悲しみにまばたきするとき
その悲しみの味わいに、下半身・不完全勃起、死ね、死ね、死ね!
スターシップとハイキング。
(読んだことある?)
ぼくのなれそめ。
宇宙船片手に
ホームステイ。
人工肛門・マダガスカルの夜は
苦情の多くが役所に寄せられて困っています。
精神とは
精神の働きを意味する。
あるものに精神があるというのは
対象とするものがあって、
それを知覚し、
そこからなにものかを統合する作用が起こるということであって
そこからなにものかを統合する作用が起こらない場合
それには精神の働きがない
精神がない。














人工肛門・マダガスカルの夜は
苦情の多くが役所に寄せられて困っています。
ベイベエ。
それより面白いのは
ぼくは、数学は感覚的なものだと思っているので
しかもそれは、音を感性的に捉える力とつながりのあるものだとも思っているので
そう。
数学に対する感覚的なものと、音に対する感性的なものとの間には
なにか、ああ、密接なつながりがあると思っているので
あー

あ、
そう。
陶酔間。
間?
缶。
巻。
観。
冠。
感。
ね。
陶酔感。
イッパツで出ろっちゅうねん。
あ。
あの子は、どうしてるだろ。
ヘンな音立てた
あの子。
ベスト。
ぼくがいままで見た子のなかで
いちばんかわいい後ろ姿してた
あの子。
太い太ももが(細い太ももって、書くとヘンね。書いてないけど。)
おっきなお尻と
いい音楽が流れてた。
詩には音楽があって
あ。
言葉には、音楽があって、
でも、きっと
数学が苦手なひとって、音楽もわかんないんだろうな。
詩の音の構造に対して言及されることはほとんどない。
音ではない。
音の構造である。
短い詩行のではない。
詩句のではない。
四行や
六行や
八行や
十二行や
十四行なんかの構造ではない。
数ページにわたる音の構造に対するものだ。
十数ページにわたる音の構造に対するものだ。
数十ページにわたる音の構造に対するものだ。
(あとの二行は、メンドくさいから、コピーして貼っつけてつくったのよん。
もちろん、コピーして貼っつけてつくったのは、ここだけじゃないわ。
わたしのこの詩は、コピー貼っつけまくって、つくってんのよ。プフッ。)
なんで、おんちなヤツが数学をしてるんよ。
あ、違った。(もちろん、ワザとよおん。)
なんで、数学のできひんもんが詩を書いてるんよ。(もちろん、ワザとよおん。)
できひんもんはできひんのよ。(もちろん、ワザとよおん。)
嘘ついてもわかるかんね。(もちろん、ワザとよおん。)
詩の音の構造に対してきわめて敏感なぼくの耳は(もちろん、ワザとよおん。)
意味の構造に対しても、きわめて敏感でね。(もちろん、ワザとよおん。)
嘘ついても、すぐわかんだぞ。(もちろん、ワザとよおん。)
意味の構造に対して敏感だと思ってる詩人のなかに
音の構造に対して敏感な者がどれぐらいの割合でいるのか。
たぶん、ほとんどいない。
情けないわ。
情けないわ。
(ここは、コピーじゃないのよおん。)
情けないわあ。
ああ、
なんで。
なんで。
なんで。
いつも
苦情の多くが役所に寄せられて困っています。
人工肛門・マダガスカルの夜は
ぼくのほほに
燃えるくちづけ。
なぜ、産むものより
生まれるものの方が先に生まれてきたのか?
ぼくのために
ただひとりきり
ぼくひとりきりのためだけに
ヘンな音立てた
あの子。
風景の伝染病。
ゴホン、ゴホン。
ある日、風景が咳をひとつ、ふたつ。
ゴホン、ゴホン。
そしたら、そばの風景も
ゴホン、ゴホン。
咳をしだした。
そしたら、そばにある風景が
最初に咳をした風景に似てきて
ゴホン、ゴホン。
咳がひどくなって
とうとうそっくり
瓜二つになって
同じ風景がふたつ。
みっつ。
ゴホン、ゴホンとするたびに
同じ風景がよっつ、いつつ。
ゴホン、ゴホン。
むっつ、ななつ、と。
風景の伝染病が広がって
とうとう、すべての風景が
たったひとつの風景になりましたとさ。
(あれ、たくさんの同じ風景じゃないの?)
細かいことは言わんでよろしい。(プフッ。)
ゴホン、ゴホン。
ある日、ひとりの人が咳をひとつ、ふたつ。
ゴホン、ゴホン。
そしたら、そばの人も
ゴホン、ゴホン。
咳をしだした。
そしたら、そばにいる人が
最初に咳をした人に似てきて
ゴホン、ゴホン。
咳がひどくなって
とうとうそっくり
瓜二つになって
同じ人が二人。
三人。
ゴホン、ゴホンとするたびに
同じ人が四人、五人。
ゴホン、ゴホン。
六人、七人、と。
ある人の伝染病が広がって
とうとう、すべての人が
たったひとりの人になりましたとさ。
(あれ、たくさんの同じ人じゃないの?)
細かいことは言わんでよろしい。(プフッ。)
ゴホン、ゴホン。
ある日、ひとつの音が咳をひとつ、ふたつ。
ゴホン、ゴホン
そしたら、そばの音も
ゴホン、ゴホン。
咳をしだした。
そしたら、そばにあった音が
最初に咳をした音に似てきて
ゴホン、ゴホン。
咳がひどくなって
とうとうそっくり
瓜二つになって
同じ音がふたつ。
みっつ。
ゴホン、ゴホンとするたびに
同じ音がよっつ、いつつ。
ゴホン、ゴホン。
むっつ、ななつ、と。
ある音の伝染病が広がって
とうとう、すべての音が
たったひとつの音になりましたとさ。
(あれ、たくさんの同じ音じゃないの?)
細かいことは言わんでよろしい。(プフッ。)
ぷくぷくちゃかぱ。
ぷくぷくちゃかぱ。
ふくとくぷくく。
ふくとくふぷぷ。
こごんがてるりん。
てるてるりんりん。
ふにんふにんぺっぺ。
ふにんふにんぺっぺ。
ぷくぷくちゃかぱ。
ぷくちゃかぷぷぷ。
ぷくちゃか。
ぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷ。
ぷ。
ぺへ。
ぷぷぷぷぷぷぷ。
ぷー。
ぷ。
ゴホン、ゴホン。
ある日、ひとつの言葉が咳をひとつ、ふたつ。
ゴホン、ゴホン。
そしたら、そばの言葉も
ゴホン、ゴホン。
咳をしだした。
そしたら、そばにあった言葉が
最初に咳をした言葉に似てきて
ゴホン、ゴホン。
咳がひどくなって
とうとうそっくり
瓜二つになって
同じ言葉がふたつ。
みっつ。
ゴホン、ゴホンとするたびに
同じ言葉がよっつ、いつつ。
ゴホン、ゴホン。
むっつ、ななつ、と。
ある言葉の伝染病が広がって
とうとう、すべての言葉が
たったひとつの言葉になりましたとさ。
(あれ、たくさんの同じ言葉じゃないの?)
細かいことは言わんでよろしい。(プフッ。)
ゴホン、ゴホン。
ある日、ひとつの意味が咳をひとつ、ふたつ。
ゴホン、ゴホン。
そしたら、そばの意味も
ゴホン、ゴホン。
咳をしだした。
そしたら、そばにあった意味が
最初に咳をした意味に似てきて
ゴホン、ゴホン。
咳がひどくなって
とうとうそっくり
瓜二つになって
同じ意味がふたつ。
みっつ。
ゴホン、ゴホンとするたびに
同じ意味がよっつ、いつつ。
ゴホン、ゴホン。
むっつ、ななつ、と。
ある意味の伝染病が広がって
とうとう、すべての意味が
たったひとつの意味になりましたとさ。
(あれ、たくさんの同じ意味じゃないの?)
細かいことは言わんでよろしい。(プフッ。)
ゴホン、ゴホン。
ある日、ぼくが咳をひとつ、ふたつ。
ゴホン、ゴホン。
そしたら、そばにいた人も
ゴホン、ゴホン。
咳をしだした。
そしたら、そばにいた人が
最初に咳をしたぼくに似てきて
ゴホン、ゴホン。
咳がひどくなって
とうとうそっくり
瓜二つになって
同じぼくが二人。
三人。
ゴホン、ゴホンとするたびに
同じぼくが四人、五人。
ゴホン、ゴホン。
六人、七人、と。
ぼくの伝染病が広がって
とうとう、すべての人が
たったひとりのぼくになりましたとさ。
(あれ、たくさんの同じぼくじゃないの?)
細かいことは言わんでよろしい。(プフッ。)
ゴホン、ゴホン。
ある日、ひとつの風景が咳をひとつ、ふたつ。
ゴホン、ゴホン。
そしたら、そばにいた人も
ゴホン、ゴホン。
咳をしだした。
そしたら、そばにあった音が
最初に咳をした風景に似てきて
ゴホン、ゴホン。
咳がひどくなって
とうとうそっくり
瓜二つになって
同じ言葉がふたつ。
みっつ。
ゴホン、ゴホンとするたびに
同じ言葉がよっつ、いつつ。
ゴホン、ゴホン。
むっつ、ななつ、と。
ある風景の伝染病が広がって
とうとう、すべての人が
たったひとつの音になりましたとさ。
(あれ、たくさんの同じぼくじゃないの?)
細かいことは言わんでよろしい。(プフッ。)
ある日、ひとつの咳が咳をひとつ、ふたつ。
ゴホン、ゴホン。
そしたら、そばの咳も
ゴホン、ゴホン。
咳をしだした。
そしたら、そばにあった咳が
最初に咳をした咳に似てきて
ゴホン、ゴホン。
咳がひどくなって
とうとうそっくり
瓜二つになって
同じ咳がふたつ。
みっつ。
ゴホン、ゴホンとするたびに
同じ咳がよっつ、いつつ。
ゴホン、ゴホン。
むっつ、ななつ、と。
ある咳の伝染病が広がって
とうとう、すべての咳が
たったひとつの咳になりましたとさ。
(あれ、たくさんの同じ咳じゃないの?)
細かいことは言わんでよろしい。(プフッ。)
きょうは、もうほとんど寝てた。
仕事帰りにミスド行って
ドーナッツ買って
はああ
くだらない。
ドーナッツの輪っかと、ミスドのウェイトレスの顔を交換する。
運んだトレイと、聞こえてくる50年代ポップスを交換する。
はああ
くだらない。
コーヒーは
なんだか薄いしぃ。
そのコーヒーカップのシンボルマークと、パパの記憶を交換する。
バレンチノ。
なんで。
はああ
くだらない。
違うカファに寄ろうかな。
チチチチチチチ。
なんだ、これ。
ミルフィー。
ムフッ。
フフ。
ファレル。
ねえ、
ぼくのこと、愛してる?
ただ、ぼくたちは、クスクス笑って
きれいになる病気がはやってた。
ぼくは何年も前にかかって
ラジオで聞いて
知ってたけど
みんなは
ただ、ぼくたちは、くすくす笑って
まだたすかる。
まだたすかる。
そのしぼんだ花びらは、わたしのおばだった。
淑女の成れの果てだ。
アニーホール。
腐りしぼんだ、花びら。
日曜日にかけた電話が土曜日につながる。
ボン・ボアージュ!
ディア。
きみの瞳が写した、ぼくの叫び声は
まだたすかる。
まだたすかる。
タチケテー!
イヤン、途中で切れちゃったわ。
ファレル。
ぼくたちの間では
どんなことでも
起こったわけじゃない。
信じられないことしか起こらなかった。
いまでは信じられないような
すてきなことしか。
モア・ザン・ディス。
パパやママは
ばらばらになったり
またひとつになったりしながら
航海する。
後悔する。
公開する。
こう解する。
こう理解する。
愛しているふりをすることは大切だ。
とりわけ、まったく愛してはいないときには。
おお、ジプシー!
あらゆるものが愛だ。
愛だ。
間。
思うに、きみは愛しているふりをしながらしか
愛することができないのだね。
おお、ジプシー!
きみは、こう理解する。
本当のことを言っているのに
しゃべっているうちに
嘘をまじえてしゃべっているように感じるのだね。
嘘を言っていると
ほんとうのことを言ってるような気に
木に
きみになってしまうような気に
木に
きみに
なってしまうような気がするだろう。
それはなぜだろう?
交換する。
転移させることに意味はない。
交換する。
転移することに意味はない。
少なくとも、わたしは意味を与えない。
イメージさえも。
あるものとしたら
その転移が、わたしの感性を微弱に変化させるだけだろう。
わたしの感性にどう影響するか。
それを自覚することはきわめて難しいだろう。
交換する。
転移ではない。
時間が超スピードで過ぎていく箱がある。
ぼくはそこに、一輪の花を置いてみる。(プッ。)
時間が超スピードで過ぎていく箱がある。
ぼくはそこに、ひとりのぼくを置いてみる。(プッ。)
時間が超スピードで過ぎていく箱がある。
ぼくはそこに、パパやママを置いてみる。(ププッ、ププッ。)
時間が超スピードで過ぎていく箱がある。
ぼくはそこに、ひとつの風景をおいてみる。(フウム。)
時間が超スピードで過ぎていく箱がある。
ぼくはそこに、人間を置いてみる。(だれでもない人間を、プフッ。)
時間が超スピードで過ぎていく箱がある。
ぼくはそこに、ひとつの音を置いてみる。(フニッ。)
時間が超スピードで過ぎていく箱がある。
ぼくはそこに、一つの言葉を置いてみる。(フニフニフニャーラ。)
道を歩いていて
とおりの向こうからやってくる人を
(女性だった。)
車道をはさんだ、向こう側の道に置いてみる。
目のなかで、そうなってることをイメージする。
うっすらだが、反対側の道から、その人がやってくるのが見える。
しかし、こちら側の道でも、向こうの方から歩いてくるその人の姿が目に見える。
そこで、今度は、その二人を交換する。
二人の映像は、多少濃淡の違いがあったのだけれど
交換すると、その違いが少なくなった。
そこでさらに、二人の姿を交換する。
二人が近づいてくる。
交換する。
二人が近づいてくる。
こちらの人をあちらに
あちらの人をこちらに
交換する。
スピードをあげて
交換する。
二人は、ぼくにどんどん近づいてくる。
ぼくは二人にすれ違った。
ぼくも二人いたのだ。(ブフッ。)
二人は近づいてくる。
どんどん、ぼくに近づいてくる。
反対側の道にいる人をこちらに置いて
こちらの側にいる人を反対側に置こうとしたら
反対側にいて、ぼくがこちら側に置いた人の方が
消えてしまった。
二人は近づいてくる。
近づいてくる。
どんどん近づいてくる。
すると、ぼくの傍らを二人が通りすぎた。
通り過ぎていった。
ぼくとすれ違って。
道はひとつじゃなかったけど
二つに分かれて
また一つになって
二人に分かれて
またひとりになって
ぼくたちはすれ違ってしまった。
反対側の道の向こうには、ぼくの後姿が見えた。
振り返ると、その人は二人いて
前を見ると
反対側の道とこちら側の道の上に
ぼくから遠ざかるぼくの後姿があって
ぼくは、ぼくとすれ違う
たくさんの人たちのことを思った。
時間が超スピードで過ぎていく箱がある。
ぼくは、ぼくとすれ違う
たくさんの人たちのことを考えた。
記憶が
蝶の翅のように
ひらいたり
とじたりする。
そのスピードはゆっくり。
蝶は
記憶を
ひらいたり、とじたり。
違った。
いや、違わない。
わたしは
翅をひらいたり、とじたりして
記憶を呼び覚ます。
アー・ユー・クレイジー・ナウ?
ぼくは救急車になりたかった。
あ、違う。
救急隊員に。(プフッ。)
あ、違わくない?
うん?
まっ、どっちでもいいや。
プフッ。
交換する。
交歓する。
交感する。
こう感ずる。
こう感ずる?
パパがママを食卓で食べてる光景。
ファレル。
ぼくはきみを傷つけたりなんかしないよ。
たとえきみが傷つけられたいと望んでも。
ひとつの単語、ただ一つの言葉が
長い文章に、複雑で遠大な意味を与える。
海に落とされた一滴のぶどう酒とは違って?
パパとママの首を交換する。
60歳になったら選べるの。
そのまま人間の姿で、あと一年過ごすか
犬の姿となって3年生きるか。
だったら、どうする?
パパとママが戻ってきた。
戻ってきたパパとママは
ぼくがミルクを入れておいたミルク皿に顔を突っ込むようにして
ミルクを飲んだ。
ひとつのミルク皿にはいったミルクを
パパとママは同時に飲もうとして
頭と頭をゴッツンコ。
わわんわん、わわんわん
だって。(プフッ。)
朝霧をこぶしに集め
樹は、わたしの顔の上にしずくをもたらす。
水滴は、わたしの顔面ではね、地面にこぼたれた。
雨は、と父は言った。
地面に吸われ
地面はまた太陽に温められ
水蒸気を吐き出す。
こころとは地面のようなものであり、
思いとは、雨のようなものだ。
と。
わたしが死んでも、その場所はあり
その場所に雨は降るのだ、と。
フォロー・ミー。
ファレル。
イフ・ユ・ワナ・ビ・ゼア・・・
水蒸気は塵や埃を核として凝集して水滴となる。
水滴は水滴と合わさって
雨となる。
思いもまた、なにかを核として(それは感覚器官がもたらすものであったり
無意識の領域で息をひそめていたなにものかであろう。)
はっきりとした形を取ったものであろう。
そのはっきりとした形にさせるもの
法則のようなものがロゴスであり
そして、そのはっきりとした形を取らせる前のものも
そのはっきりとした形にあらわれたものも
ロゴスに寄与するのだから、区別が難しい。
ゆえに、それらのものも、ロゴスといわざるを得ない。
わたしが死んでも、その場所はあり
その場所に雨は降るのだ。
と。
パパ。
絵になる病気がはやってた。
最初はやせていくので喜んでいた人もいた。
どんなポーズで絵になるか考えた人たちもいた。
どんな格好で絵になるか気にしない人もいた。
しかし、突然、絵になるので、どんなにポーズをとっても
その望んだポーズで絵になることは難しかった。
あとから、他の人の絵に加わる人もいた。
自分の親や子供の絵のそばで
恋人たちの絵のそばにいて
彼らの傍らでやせていく自分の姿を見ながら
自分の傍らで絵になった彼らの親や子供や恋人たちの絵を見つめながら
絵になっていく人もいたし
憎んでいる者のそばで
じっと絵になるのを待っている者もいた。
ものすごい形相をして。
しかし、あとから加わっても
もとの絵にしっくりくるものは少なかった。
絵のタッチがどれも異なるものだから
あとから加わるのは、あまりおすすめじゃなかった。
絵になる病気。
これって、これまで画家たちが
多くの人間を絵のなかに閉じ込めてきた
絵の復讐?
絵のなかの人物たちの生身の人間に対する復讐なのかしら?
ぼくもとうとう絵になるらしかった。
最初は、ぼくもおなかがへっこんでよろこんでたんだけど。
ううううん。
ファーザー?
ぼくは、どんなポーズをとろう?
とったらいい?
ま、どんな
ポーズでもいいけどね。
あとどれぐらいで、ぼくも絵になるんだろう?

ファーザー。
ぷくぷくちゃかぱ。
人工肛門・マダガスカルの夜は
きたわ。
きたわ。
ひさしぶりに、きたわ。
頭にきたのよ。
なんで、わたしが謝らなきゃなんないわけ?
それに、なによ。
あのやり方。
直接言いなさい。
直接!(プッ、バカね。)
そんなわけで、もう耐えられません。
いつも被害を受けるのは、わたしの方ばかり。このまま
やってきたことに対して、たいした評価もあるわけではないのですが、
これもオリンピック開催国の事情によると思います。
テロの予告も日増しに
苦情の多くが役所に寄せられて困っています。
人工肛門・マダガスカルの夜は
苦情の多くが役所に寄せられて困っています。
人工肛門・マダガスカルの夜は
苦情の多くが役所に寄せられて困っています。
おとつい。
おっと、つい。
お。
違う派。
あ、違うわ。
ちょっと前ね。
おとつい、って言葉が好きなの。
ううううん。
考えごとをしながら歩いてると
車に轢かれそうになって
この感じ、この感じ、この感じ
書けないわ。
ひとりでは。
にっこりしぼんで、しぼって、しおれて、しおって
でも、運転手がバカだから
ぼくを轢かないで
この感じ、この感じ、この感じよおおおおおおおお!
前を歩いてた男の子を
轢いちゃったのよ。
よおおおおおおおおおおおおお!
この感じ、この感じ、この感じよおおおおおお!
ぼくの目の外では
その子は、へんな音を立てて
道路に、べちゃ。
ぼくの目の中では
その子は脚のない木のいすのように立ちすくんで
ギコギコ音を立てて
バタン。
苦情の多くが役所に寄せられて困っています。
人工肛門の夜・マダガスカルの夜は
木になって
木になって
気になって
しかたがなかった。
人工肛門・マダガスカルの夜は
ピン札。
言葉は言葉の上に
言葉をつくり
言葉は言葉の下に
言葉をつくる。
ゆきちちゃん、ありがとう。
いつまでも。
ぼくといっしょにいてね。
(プッ)
もう二十年近く、数学を教えてるの
って、ぼくが言うと
たいていの詩人は
へえ、って言うけど
数学って、へえ、って言われる科目なのか?
あるいは、わたしも昔は数学が得意だったんですよって、
いかにも、嘘ついてますって、ぼくにはわかるよん。
(ぷっ。)
まあ、得意でも苦手でもいいんだけど
それにしても
みんな、得意か、苦手か
どちらかしかなくって
どとらかしかないのか、おまえら。
興味深い。
わたしの苦い舌が悲しみにまばたきするとき
あの悲しみの味わいに、下半身・完全隆起。
スターシップと悲しみ。
ぼくのなれそめ。
宇宙船片手に
ホームステイ。
人工肛門・マダガスカルの夜は
苦情の多くが役所に寄せられて困っています。
精神とは
精神の働きを意味する。
あるものに精神があるとは
対象とするものがあっても、
それを知覚し、
そこからなにごとかを統合する作用が起こらなければ
それには精神が働いてるとは見做せないのであって
それには精神の働きがない
精神がない。












人工肛門・マダガスカルの夜は
苦情の多くが役所に寄せられて困っています。
ベイベエ。
それより面白いのは
ぼくは、数学は感覚的なものだと思っているので
そかも、それは、音とつながりのあるものだと思っているので
そう。
数学に対する感覚名ものと、音に対する感覚的なものには
なにか、密接なつながりがあると思っているので
そう。
陶酔間。
間?
缶。
巻。
観。
冠。
感。
ね。
陶酔感。
イッパツで出ろっちゅうねん。
あ。
あの子は、どうしてるだろ。
へんな音立てた
あの子。
ベスト。
ぼくがいままで見た子のなかで
いちばんかわいい後ろ姿してた。
あの子。
太い太ももが(細い太ももって、書くとヘンね。書いてないけど。)
おっきなお尻と
いい音楽が流れてた。
詩には音楽があって
あ。
言葉には、音楽があって、
でも、きっと
数学が苦手なひとって、音楽もわかんないんだろうな。
詩の音の構造に対して言及されることはほとんどない。
音ではない。
音の構造である。
短い詩行のではない。
詩句のではない。
四行や
六行や
八行や
十二行なんかの構造ではない。
数ページにわたる音の構造に対するものだ。
なんで、おんちなヤツが吸うがあくをしてるんよ。
あ、違った。
なんで、数学のできんもんが詩を書いてるんよ。
できんもんはできんのよ。
嘘ついてもわかるからね。
詩の音の構造に対してきわめて敏感なぼくの耳は
意味の構造に対してもきわめて鋭敏な頭脳とも仲がよくってね。
嘘ついても、すぐわかんだぞ。
意味の構造に対して敏感だと思ってる詩人に
音の構造に敏感なものがどれぐらいの割合でいるのか。
たぶん、ほとんどいない。
情けないわ。
なんで。
なんで。
なんで。
いつも
苦情の多くが役所に寄せられて困っています。
人工肛門・マダガスカル駆るの夜は
ぼくのほほに
燃えるくちづけ。
なぜ、産むものより
生まれるものの方が先に生まれてきたのか?
ぼくのための
ぼくのために
ヘンな音立てた
あの子。


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