編集室/雑記帳(2000.2.10〜2.12)
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編集室/雑記帳(2000.2.10〜2.12)


清水哲男さんのとこの掲示板 投稿者:清水鱗造
 投稿日:02月12日(土)21時52分46秒

博道ちゃん、清水哲男さんのところに掲示板ができましたよ。
増殖雑記帖です。
ザッピングしてみてください。






ただいま。 投稿者:清水鱗造
 投稿日:02月12日(土)21時29分36秒

博道ちゃん、ただいま。ということは、今日も仕事だったわけ。
で、明日は楽しい仕事です。(^^)外に行かないけど仕事ということは、
おウチでやる楽しいことなんです。

博道ちゃんは、まずワープロで文章をまず、書いておいて、それを上の
内容欄にぶち込めばいいのですが、その意味わかる?
そのワープロ専用機?にはWindowsが入ってるわけ?(そんなわけない
よな)

いつか萩原さんとも博道ちゃんとも飲める機会、(かならず訪れると思
います)あると思います。新宿の雰囲気だな。






戯作・みんな何処へ行ったんだ。 投稿者:山本博道
 投稿日:02月12日(土)21時23分22秒

みんな何処へ行ったんだ!? 誰もネットに書き込みをしない。き
っとみんな私の死期を感じているのだ。私は自分が医師であるこ
とに、この時ほど落胆した事はなかった。「先生治して下さい」
今の自分はその縋るような眼の患者たちと変わらないのではな
いのか? 私は蟹が泡を吹いたような塊のある自分の脇腹を摩って
人生の儚さに苛立ちを禁じ得なかった。余命はどう診ても3ケ月
だ。「先生…」看護婦の亜美(名前、大丈夫?萩原さん)が、居た
たまれないといった表情で「見てッ!」と私の前で白衣を広げた。
そうしていつも俺は忘れてきた。だが、もうそんなことではダメ
だ。最近ではモルヒネも効かない。亜美はいい男を見つけて結婚
するだろう。俺の事なんかすぐに忘れられるさ。何も着けていな
い亜美の白衣の下には、私の知人のSが悦びそうな豊饒な果実が
実っていた。「先生!」縋る瞳が此岸への未練を誘う。私はもう
一度、食い入るように影のない燈下でネガフィルムを診た。そし
て封筒に戻しかけて絶句した。それじゃ俺のこの痛みは何なんだ。
「先生早くぅ、私が忘れさせてあげる」私は亜美を見た。そして
片桐亜美と記されたその茶封筒を机の奥深く入れた。








質問コーナー 投稿者:山本博道
 投稿日:02月12日(土)13時23分53秒

>鱗造ちゃん
コピーアンドペーストってなぁに? 食いもん?
ぼくのは1ライン38文字位、目で見えていて入れられるんだけど
それやると、ほら、こないだみたくバーッて1行だけにしか
なんなくなるんだ。で、仕方ないから改行すると、短くしか入らない。
で、少ししか書けないから、どーしても文学的意図を持った記述は
はしょることになっちゃって、サワリの部分しか書けなくなる。
で、全体としては低級に見えちゃうんだな(^^)。エヘッ。
だから不本意なんだ、ホントは。
そりゃぁ、ぼくだって、「その波の彼方に思い出は曳き、曳いた波が
また思い出を連れてくる。」とかサ、心象風景だって書きたいわサ。
「竜次が獣なら、私は一体、いまの私は一体、どんなトムソンガゼル
なんだろう」とかサ(どこが高級だってか!)(^^)。
まぁ、つーことで今日も、またまた、いいお天気だこと!






8月の濡れた熱い砂 投稿者:山本博道
 投稿日:02月12日(土)13時09分21秒

まずは萩原様、知らぬこととは言え、それは失礼いたしました。
さて、夫の遼一が夏の鈴鹿でハンドル操作から事故に遭い落命し
た夏、私は気を紛らわせるために鎌倉の実家から程近い由比が浜
の海岸に連日足を運んだ。青い海、白い波眼を閉じていると遼一
との日々が蘇ってくる。使うのはいつも海の家「竜宮」だった。
今日も右手にはクッキリと江ノ島が見えている。昼になって、そ
の竜宮から私用のサンドイッチと飲み物が届けられた。「これは
俺から奥さんに…」と言って竜次が差し出したのは紙幅に限りが
あるというのに、バイオレットフィーズだった。「貴女の色だと
思って」陽に透けたその色の先に夫との思い出が揺れる。私はい
ま世界で一番不幸な女…。「竜ちゃん、ほらッ見て!こんなに灼
けたわ」私は努めて明るく竜次に灼けた肌のFカップの胸の谷間
を少しだけ覗かせて見せた。食い入るように見つめる竜次の瞳が
きれいだ。それを見ている私の中に忘れかけていた女の部分が熱
く燃える。紙幅の関係だろうか? 周囲には全く人影がなかった。
「竜次ッ…」その言葉を待っていたかのように陽焼けして逞しい
竜次の肉体が、私に8月の熱い濡れた砂をもがくように掴ませた。






奈々子、、、 投稿者:萩原健次郎
 投稿日:02月12日(土)12時03分59秒

博道さま、うちの娘は、名を奈々子といいます。
吉野弘の好きな詩から、とりました。
もうひとりの娘は、桃子。
これは、石井桃子から、、、、。
ご参考までに。


http://web.kyoto-inet.or.jp/people/hag02041/





ちよさんのサイトは 投稿者:清水鱗造
 投稿日:02月12日(土)00時14分04秒

絵が可愛いですねー。山岡さんが二人いらっしゃるので、名前で呼ばせてね。
童話では、最近話題になっている、リンドグレーン(ロッタちゃん はじめて
のおつかい…の原作者)が大好きです。エーヴァ・ロッタ。35年ぐらい前から
パン屋さんの可愛い娘です。
それにしても、リンドグレーン(スウェーデン)が18のときに、未婚の母にな
って、あれだけ高名になってからも出版社(新聞社?)に勤めていたとは驚き
です。ロッタはリンドグレーンだったんですね。






海辺…… 投稿者:清水鱗造
 投稿日:02月11日(金)23時56分37秒

博道ちゃん、「海辺」はどうですか? あの8月の濡れた砂。どっかアンニュイで
博道ちゃん向きかも。僕は、いまFAXを待ってまして、(少しまた寝てたけど)
ここに来れませんでした。なんか今日は疲れちゃったので、第3作ができたら、
載せます(^^)。裏ペンは、なんか作品を載せると悪いような気がして。
ここはなんでもかんでも(不真面目奨励)ですよ。

>戯作・15歳の夏

なんか、これ笑えるね。ヒホーカン。行ったことないけど。
紙幅に制限があるって、コピーアンドペーストしてるよね。それで、
ワープロの1ページが、400字ぐらいになってるってこと?

榊原淳子さんはどうしているんでしょうね。瀬尾さんと、ずっと昔
ウチに来たこともあるし。ぜんぜん、作品みないよね。>ちよさん。






↓す、すみません。。。 投稿者:
 投稿日:02月11日(金)23時45分31秒

なぜかURLを入れていたら二重になっちゃいました。。。
どちらでもいいですが見苦しかったら一方削除してくださいませ、管理人様。
それにしてもみなさん風流なタイトルの書き込みなのに、わたしっていつもおまぬけですね。






はろー♪ 投稿者:
 投稿日:02月11日(金)23時43分24秒

こんにちは♪

田中宏輔さん、戻られたのかな、過去ログにいらしたから、
ちょっとだけ安心しました。
心配していたのさっ。


>荒川・瀬尾・榊原さんのイベント、京都でやったのは、1985年でしたでしょうか。

わー。なつかしいですね。
わたし、それのビラ配りに走り回って受け付け担当していた少女でしたの。

むかしはちっちゃな童話集出してくれてありがとう、松崎さん。感謝しています。


http://web.kyoto-inet.or.jp/people/mipon/poem/


http://web.kyoto-inet.or.jp/people/mipon/

(清水註:バックアップ時に、重複した内容の文章を削除しました。)



如月の反省頻りの夜なりき 投稿者:山本博道
 投稿日:02月11日(金)23時15分12秒

私は反省しているのである(^-^)。
この「編集室/雑記帳」が、いくら「雑記帳」とは言え
私なんぞが来るまでは、もちっと高尚ではなかったのではないか
と。私の詩は生真面目だが、詩以外では不真面目なのである。
どっちが本当の私なのかは、言うまでもないことだ。
どうも私は難しい話は嫌いだ。勉強嫌いだし、努力も嫌いだ。
そんでもいい?鱗造ちゃん。や? 「や」と言われても急に利口には
なれっこないのである。無理だよ、そ、そ、そんな(^o^;)。
それともこんな私にひとはショーペンハウアーについて述べよと
垂れるだろうか? それは得意だゾ。いやぁ、今日もよく遊んだ。
もう帰れッ!って言わないでよネ?鱗造ちゃん(^^)。






戯作・15歳の夏 投稿者:山本博道
 投稿日:02月11日(金)22時54分06秒

私の場合、紙幅に制限があって修辞の多様は適わない。さて、父
の遠縁に当たる34歳の冴子が嫁ぎ先を追い出されて私の家に来た
のは私が15歳の夏だった。「修ちゃん、今度私のお勤めしている
熱海に遊びに来ない?」熱海は当時私の住んでいた小田原からは
そう遠くない。「私ね、秘宝館に勤めてるの」 「ヒホーカン?」
私は思わず聞き返した。ヒホーカンって何だろう。分からなかっ
たが、その言葉は、どことなく淫靡で秘密めいたものを私に連想
させた。そしてその翌日、私は冴子とそのヒホーカンにいた。少
年の私には直視できない羞恥と大人の世界の汚らわしさとともに
自分とは違う世界にいるような冴子に悲しみのような感情も湧い
た。「どうしたの?驚いた?」冴子は笑うと右の頬に笑窪が出る。
「いまに、修ちゃんにもきっとわかるわ」 私はわかりたくない
と思った。「ほらッ!修ちゃん、ちゃんと」冴子がそう言ったの
は、とてもここでは書けないような場所に私たちが行ってからだ
った。あの暑かった15歳の夏さえなかったら…。私は学者になる
夢を捨て、40歳になったいまも、こうして売文稼業で生計を立て
ている。側で60歳を迎える冴子の寝息が聞こえる。






愉しみにしてるネ! 投稿者:山本博道
 投稿日:02月11日(金)21時02分22秒

>鱗造ちゃん
おかえんなさい。
忙しそうだネ。いま、地震あったネ。
ぼくは地震嫌いだ。怖い。
これから風呂入って、ケーバ検討。
<題>決まったらおせぇてね。
ぼくも同じの書きたい。面白そうだ。
うん、うん(^o^)。






次の題 投稿者:清水鱗造
 投稿日:02月11日(金)20時45分18秒

博道ちゃん、ただいま。【自己分析】2作目は、小さな命と、豊満な胸のイメージを
なんとか……(以下略)
ちょっと、題を考えていたんですが、まだ思い浮かびません。地下鉄で本読んでた
んで。今日の夜中あたりまでに、考えときます。
家族が鳩飼ったことあるけど、集団で病気になっちゃったんだよね。昔の話。

>田中庸介さんの詩、そのデザイン、その帯、その作り方、プロモーションもさること
>ながら、組立式ポップは、実はとっても優れていて、あるイメージの世界を作り出し
>ていました。
>何かわくわくしました。

松崎さん、どうも。かっこいいレーベルができるといいですね。
松崎さんのお噂(そのバイタリティで新風舎を作り上げたこと)、どなたか
から伺ったことがありました。
なかなか、レーベルができた後も、たっぷり暇がある方が少ないので、その
後が大変だと予想されますけど。実現したらおもしろいですね。
「TILL」も来週火曜あたりに買ってこようと思っています。それまでに渋谷
に立ち寄る機会があったら、買いますけど。月曜までやることがちょっとあ
って。






所感 投稿者:山本博道
 投稿日:02月11日(金)17時36分50秒

ホントはネ、あと一枚位の長さが欲しいんだけど、
ぼくのでは入らないんだ、そんなに長くは。
だから、2枚続けてINできるように、二枚目に話の最初を
持ってくればいいのかしんないけど、それだと、
ストーリーをメモっといて、清書する形じゃないと不能。
ははははッ!清書してまで発表するようなもんでもないしネ。
それに勢いってあるじゃない。だけど、どーしても一枚じゃ
纏めらんないな。あーあ、今日もまた日が暮れてきた。
鱗造ちゃん、まだお仕事やってんのかなぁ?大変だネ。
ぼくは鳩のエサとケーバ新聞買って来た。
これから風呂でも洗うかな。またさぁ、夜、遊ぼうネ。
ほかの人も書くといいのに。ショートショート。
ん?そんなばかばかしいことやるの、二人くらいか?
だな。だ(^^;)






大器晩成デビュー! 投稿者:山本博道
 投稿日:02月11日(金)17時26分08秒

>萩原健次郎様
せび機会を作って一杯やりましょう。今後はぼくの掌篇小説の
ファンになってくださいネ。書き下ろし第一弾!バラの花。
花屋の前のバケツに刺さった赤いバラに手を伸ばすと、同時に
白い手が伸びてきた。「あッ」声を出したのは私の方だった。
「貴女がどうぞ」と言いかけて引っ込めようとしたその私の手を
別の若い女が握ってきた。「そ、そんな」と言いかけた私の口を
花屋の中かバラの花束を持って出てきた、やはり若くて美しい女
が何も言わずに塞いだ。そ、そ、そんなバカな。「どうしたの?
夢でも見た?」気がつくと私はバラの花に包まれた病室のベッド
にいた。声は私を担当しているナースの奈々子だった。「いや、
べつに」 「さぁ、ガーゼ交換しましょうね」奈々子は躊躇する私の
下穿きに手を伸ばして下げた。「あッ」声を出したのは私の方だっ
た。「何ニヤニヤしてんのよォ」肩を小突かれて、目を開けると私は
新幹線の中にいて、隣の有香が如何にもつまらないといった表情
で私を見ていた。「いや、べつに」 「そろそろ東京よ」 網棚から荷物
を取ろうとした私の手に後ろの席にいて、やはり荷物を取ろうと
した若い女の手が触れてきた。[未完]






期待大。 投稿者:萩原健次郎
 投稿日:02月11日(金)13時40分07秒

「山が見える日に、」は、ギャグ的な異本性の伝達(高速伝達)が
プロモーションの要なのだから、
思潮社のこの、まったりとした、低速趣味は、失敗です。
だれがなんと言おうと、駄目です。
100点満点で、マイナス20点です。
だって、詩質の水準を少し、低下させている。
高速ギャグといったのは、例えば、かつて中江俊夫が詩集の表紙に
極、粗いサンドペーパーを使ったのですが、
(これは、書店の棚で、隣の書を傷つけるというコンセプト)
そのような、仕立ての必要性を強く感じました。
沢野ひとしの、低速のギャグ、特にカクハンにトリミングしてしまったのが
大きな罪です。

で、松崎さんの新しい、プロモーション戦略、大いに期待できます。
いわゆるカセットMDのような、
書店に、POPツールごと、ワンカセットで納入するわけですね。
角川のミニ文庫は、そうした方法だったような。
ぜひ、新しい展開、また、書店で拝ませてください。

博道さま、、、、、
とても楽しげで、にたりとしながら
文面、拝見しています。
お会いしたら、すぐにうちとけそうな
そんな親近感、感じています。
いつか、しみりんさんと、みんなと一杯やりたいですな。


http://web.kyoto-inet.or.jp/people/hag02041/





2作目、読んだヨ! 投稿者:山本博道
 投稿日:02月11日(金)12時36分38秒

なーんだ、祭日なのに仕事けぇ。つまんねぇの。
せっかく遊ぼっかなって思ってたのにぃ(`_´;)。あはははっ。
んで?こいで終わりか。ふ〜ん。一杯書けンね、こいじゃぁ。
それで僕、清水は、その小鳥を見て一篇の詩を書いたのだった。
空から小鳥が堕ちてくる/誰もいない所で射殺された一羽の
小鳥のために/野はある(おーいッ!盗作だぞーッ;田村隆一)。
>僕は泣いていたが、すぐ目を逸らし、急いだ。
だけど僕は何処へ急ごうとしているんだ? 何を思ったのか女が
その露な身体のまま僕を追ってくる。僕は足が竦んだ。
やおら女は口を開いた。「ねぇ、あんたが捕った鳥、あたし
だったのよ」 空に白いシュールな巻雲が西に流れて浮いていた。
ねぇねぇ、ねぇってばぁ。もっとあそぼッ。
次は何? <題>頂戴ッ。休みの日に仕事の人もいるんだ。
いいお天気なのに! もったいないこと。
おれも散歩でも行くかな。夜さぁ、また続きやろーネ。
指きったッ!






萩原 健次郎様 投稿者: 松崎義行
 投稿日:02月11日(金)12時24分04秒

TILLをみてくださって、ありがとうございます。
荒川・瀬尾・榊原さんのイベント、京都でやったのは、1985年でしたでしょうか。
ずいぶんと時が経過してしまったという気がします。
現在の混沌とした僕を取り巻く環境から、なにが生まれるのか、
いままでにない訳のわからなさのなか、こうしろ!という声に背中を押されて、
出版社をやっているような気分です。
なんか、ここに、立ち寄り所のような、清水さんの頁があることに
ほっとしています。
かっこいい、詩のレーベルが作りたいです。
田中庸介さんの詩、そのデザイン、その帯、その作り方、プロモーションもさることながら、
組立式ポップは、実はとっても優れていて、あるイメージの世界を作り出していました。
何かわくわくしました。
田中さんが考案されたのでしょうが、そのイメージを借りて、
レーベルを作ってみたら、と考えています。
ポップな立体ポップ、ご覧になった方、いらっしゃいますか。



いちおう、2つ目完成(推敲しますが) 投稿者:清水鱗造
 投稿日:02月11日(金)11時36分22秒

葉篇小説
「女のコのいる部屋」第2葉
湯気のこもる部屋

 かすみ網というのは本当に残酷な道具だ、というのがわかったのは、早朝に初めて
小鳥の通り道に仕掛けて、獲物がかかったときだった。
 まだ温かい小鳥は、僕の手のひらで死んでいた。僕はもうけっして、かすみ網を使
わないだろうし、小鳥を追わないだろう。

 父が商売をしていたので、僕たちは別棟に住んでいた。別棟に行く途中、右側には
三本、花桃が植わっていて、その先には雪柳とカラタチがある。またその先には芍薬
があり、夏みかんがあった。
 ある夏の朝、僕はそっと起き出して、本家の縁の下に新聞紙にくるんで置かれてい
たかすみ網を持って、山のほうに行ったのだった。左のマキの木の生垣の向こうには、
かなり接近して温泉旅館の風呂場の脱衣場の窓が見えた。それはすりガラスで、よく
こもったようなのんびりした声が夕方から聞こえていた。
 朝もやがかかっていて、コジュケイは山の森から、裾野である家の庭にまで下りて
きて姦しい声をあげている。それは、足に感じる朝露のように大きいけれど、とても
さわやかな声だ。コジュケイは僕の姿を見ると、急いで森のほうへ、仔を連れて戻っ
ていく。仔はあわてて潅木のところでひっくり返ったりする。
 でも、その日の僕は、内緒で小鳥を捕ることに心が奪われていた。山への上り坂、
広い大きな馬酔木の枝が垂れ下がるアーチがある。このアーチをくぐって、小鳥は下
の木に移動する。僕は小鳥が滑空するあたりに、かすみ網を掛けた。
 木陰から見ていると、十分、二十分、小鳥はかすみ網を避けて、「チョッチョッ」
と鳴きながら滑空していった。ダメか、とあきらめたとき、一羽のシジュウカラが網
にかかってもがいた。

小鳥はふんわりと
罠を知らずに
細い脚を内側にまるめて
光のあいだを飛ぶ

 僕は急いで、網のところまで走り、網の上から小鳥を包んだ。でも、小鳥はすでに
ぐったりしていた。たぶん、瞬時に頭の骨を折ったのかもしれない。茫然として、ま
だあたたかい小鳥を手のひらにのせた。
 それから僕は、少し泣きながら、小鳥を持ち、かすみ網を片付けて本家のほうに歩
いた。
 そのとき、生垣の向こうでガラガラッと音がしたので、ふと見ると、ひとりの女が
胸を隠そうともせず、歩く僕を見ている。大きな二つの乳房だった。
 僕は泣いていたが、すぐ目を逸らし、急いだ。

 かすみ網にはもうけっして僕は触らないだろう。小鳥は華奢で、ほんとうに哀れに
死んでしまうものだ。
                (おわり)






博道ちゃん、僕のはね(^^) 投稿者:清水鱗造
 投稿日:02月11日(金)10時49分48秒

どうも10個も、甘酸っぱいのがないような気がしてきた。でも
ちょっとだけ色っぽいの、僕のハードディスクに溜めようと思い
ます。
次のが書き出し。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
葉篇小説
「女のコのいる部屋」第2葉


 かすみ網というのは本当に残酷な道具だ、というのに気づいたのは、早朝に初めて小
鳥の通り道に仕掛けて、獲物がかかったときだった。
 まだ温かい小鳥は、僕の手のひらで死んでいた。僕はもうけっして、かすみ網を使わ
ないだろうし、小鳥を追わないだろう。

 父が商売をしていたので、僕たちは別棟に住んでいた。別棟に行く途中、右側には三
本、花桃が植わっていて、その先には雪柳とカラタチがある。またその先には芍薬があ
り、夏みかんがあった。
 ある夏の朝、僕はそっと起き出して、本家の縁の下に新聞紙にくるんで置かれていた
かすみ網を持って、山のほうに行ったのだった。左のマキの木の生垣の向こうには、か
なり接近して温泉旅館の風呂場の脱衣場の窓が見えた。それはすりガラスで、よくこも
ったようなのんびりした声が夕方から聞こえていた。
            (つづく)






博道ちゃん、書きなおしておきます。 投稿者:清水鱗造
 投稿日:02月11日(金)10時40分25秒

米英軍と戦闘状態に入れり−その大本営発表の号外を大人たちは小躍りして奪い合って
いた。ああ、戦争になるんだ。忘れもしない昭和16年12月8日、私は18歳だった。本来
ならわが日本国の軍人として前線に赴かなければならない身だったが、徴兵検査を受け
るまでもなく私はやっと肺病が治りかけた身体で、出征した兄の家で居候をしていた。
もし、あの夜、あの冬の雷と驟雨さえなかったら…(この手記が横長でレーアウトがヘ
ンだったら→で読んで欲しいのだが)。いま77歳の死の床で私は言い残して置きたいの
だ。あの雷と驟雨さえなかったらと。ラヂオからは軍艦マーチと共に臨時ニュースが流
れていた。「お義姉さん、お先にお風呂使わせて戴きます」 私は水で埋めた木の浴槽
に浸かりながら、兄はいまどこの前線でこの冬を迎えているだろうと思った。「ねぇ、
英樹さん、李香蘭って奇麗な人ネ」 突然、義姉の声がした。見ると磨り硝子の脱衣場
で衣服を脱ぎかけている義姉の影が揺れている。あの戦争さえなかったら。翌年冬、シ
ンガポール総攻撃の日にその第25軍の一兵士として兄は戦死した。それからは頻繁に、
私が義姉に脱衣場に呼ばれる地獄の日々が義姉の死ぬ日まで続いたのである。

-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

「内容」の画面に張りつけたら、適当に改行をいれれば大丈夫です。
ただし、博道ちゃんの1行で全部のでも張りつけていい場合の掲示板
もあります。
おはようございます。僕は祝日なのに仕事に出かけて、夜帰ってき
ます。






何でかな? 投稿者:山本博道
 投稿日:02月11日(金)10時35分55秒

いま、折角大作書き下ろしたのに、
見てみると1ラインしか読めない(ぼくの機械では)
もーいいや。また書くの面倒。
やっぱ字詰とか関係あんのかな?
またこんど鱗造ちゃんが次のタイトル前発表したら
それ先取りして書こッと。(^o^)
こうゆーのって、詩の習練になんのかな?
さぁて、花に水でもやるとすっか。






早刷り『脱衣場』異聞 投稿者:山本博道
 投稿日:02月11日(金)10時26分36秒

米英軍と戦闘状態に入れり−その大本営発表の号外を大人たちは小躍りして奪い合っていた。ああ、戦争になるんだ。忘れもしない昭和16年12月8日、私は18歳だった。本来ならわが日本国の軍人として前線に赴かなければならない身だったが、徴兵検査を受けるまでもなく私はやっと肺病が治りかけた身体で、出征した兄の家で居候をしていた。もし、あの夜、あの冬の雷と驟雨さえなかったら…(この手記が横長でレーアウトがヘンだったら→で読んで欲しいのだが)。いま77歳の死の床で私は言い残して置きたいのだ。あの雷と驟雨さえなかったらと。ラヂオからは軍艦マーチと共に臨時ニュースが流れていた。「お義姉さん、お先にお風呂使わせて戴きます」 私は水で埋めた木の浴槽に浸かりながら、兄はいまどこの前線でこの冬を迎えているだろうと思った。「ねぇ、英樹さん、李香蘭って奇麗な人ネ」 突然、義姉の声がした。見ると磨り硝子の脱衣場で衣服を脱ぎかけている義姉の影が揺れている。あの戦争さえなかったら。翌年冬、シンガポール総攻撃の日にその第25軍の一兵士として兄は戦死した。それからは頻繁に、私が義姉に脱衣場に呼ばれる地獄の日々が義姉の死ぬ日まで続いたのである。






いつもお礼をいいそびれるけど、 投稿者:田中庸介
 投稿日:02月11日(金)02時11分35秒

萩原健次郎さん、ありがとう。

まさにその「アフリカ」の朗読が、西荻窪のハートランドで
今晩、赤刎泰子さんによって、6回も繰り返し行われていました。
自分の声を二倍に増やすユニークな方法で、とてもそれは素晴しかったです。
中ザワヒデキさんや松本和彦さん、来てくれてありがとうございます。
12日土曜日13-17時にもあるので、東京近郊の方はお出かけください。
「東京音図2」は入場無料、出入り自由。お問い合わせはハートランド5310-2520。

ぜひ。

>萩原さん
『絵桜』(彼方社1998)、言葉がやわらかくてすてきでした。前作からの3年間に
萩原さんの中でいったい何があったのでしょうか。


http://kiss.to/kisaki





博道ちゃんもああいうの書いてみて! 投稿者:清水鱗造
 投稿日:02月10日(木)23時54分40秒

> お、お邪魔しましたッ。そう言って僕はそそくさとアパートの階段を転げるように降りて
>行った。「あッ、待ってSクン」 振り向くといい匂いのするHさんの顔が息を切らしてそこ
>にあった。
>「こんな形でお別れするのイヤよ」。ねぇ、ねぇ、鱗造ちゃん

わはは。でも初対面で、そこまでなりますかねー。






ベッド 投稿者:清水鱗造
 投稿日:02月10日(木)23時40分07秒

>りんぞうさんをベッドに導いたのは詩人のTさんと聞いています。

あ、あれは単に座るところがなかっただけじゃなかったかな。
あるいは、記憶にベッドカバーの色が焼きついている、という
こともあるし。堅い話をしただけですよ、僕はゲイのケがない
んです。美少年については、女性が美少女を見るとドキドキす
るだろうというのと同じぐらいには、惹きつけられるけど。
でも美少年って最近あまり見ない(^^)。






女のコのいる部屋 投稿者:清水鱗造
 投稿日:02月10日(木)23時31分59秒

あ、また、うたた寝しちゃったです。関さん、あの裏ペンの話は実話に近くて
女性です。でもあれだけだからねー(^^)。甘酸っぱいような(そうでもないよ
うな)。
ああいう、「女のコの部屋」の主題の掌編小説を10篇書こうかな、と思ってい
たのでした。広幸さんも出てきたし、話題になったから、ちゃんと書こうかな。
博道ちゃん。次は「脱衣場」という題なんですが(きついかな)。でも、すべ
て、甘酸っぱい段階のを書こうとしています。






こんばんは。 投稿者:山岡広幸
 投稿日:02月10日(木)23時20分46秒

裏ぺん、読みましたヨー。
あの続きはあるんですか?
あったら読みたいです。
ほんと、色々言われてますねぇ(ニヤニヤ)。
フリーペーパー準備中です↓。


http://members.tripod.co.jp/catwalker/

おーい!鱗造ちゃーん! 投稿者:山本博道
 投稿日:02月10日(木)22時53分53秒

何か色々言われてるよ。
何とか言って頂戴ッ。
掌篇小説の続きはぁ? 寝てんのかなぁ。
もしもーし!もーし。






あっ 投稿者:関ofuji
 投稿日:02月10日(木)22時47分15秒

Tさんとはあつすけさんのことではありません。念のため。どうでもいいか。






ええと。 投稿者:関ofuji
 投稿日:02月10日(木)22時31分53秒

りんぞうさんをベッドに導いたのは詩人のTさんと聞いています。
その方は男です。カンケイはないでしょう。
もっともいろんな人に導かれているかも。






鱗造ちゃん、ぼくも戯作やりたい 投稿者:山本博道
 投稿日:02月10日(木)22時13分19秒

>鱗造ちゃん
ちっとも遊んでくれないと思ったら、<裏ぺんてか>行ってたね?
読んだよ。掌篇小説。タクーッ。「私、疲れちゃった」(だったかな?)のHさんは、要するに男であれば、ということもないだろー
けど、ふ〜ん。そっか。ほんのり甘い想い出ってわけネ。(^-^)
セーター(か、どーか知ンないけど、胸のラインにツンときた訳ネ)
が揺らいで、Sクンはドキンとしたんだ。うん、うん。
DEKAVITA飲んでいい? もー風呂から出たから。3連休。
何か、続き、おれ書きたい気分。
 お、お邪魔しましたッ。そう言って僕はそそくさとアパートの階段を転げるように降りて行った。「あッ、待ってSクン」 振り向くといい匂いのするHさんの顔が息を切らしてそこにあった。
「こんな形でお別れするのイヤよ」。ねぇ、ねぇ、鱗造ちゃん
そうなって行こうよぉってば(^o^)。「あたし、運命ってあると
思うの」真剣な顔が僕の前に迫ってきた。目を逸らすと樹々の緑が
飛び込む。もうすっかり夏だった。ねぇってばサ。






フラフープ 投稿者:関ofuji
 投稿日:02月10日(木)21時00分53秒

>あ、博道さんでした。ごめんねーーーー。
ダッコちゃん、ブーメランだって。わたしと同年代。
>松崎さん。300とは売れていますね。短歌や俳句のほうが売れるかも。
詩はほんとうにどうしたらいいんでしょう。
とりあえずわたしの詩集のことだけど。
>萩原さん。わたしも庸介さんに快速treckerと名づけました。






アフリカ 投稿者:萩原健次郎
 投稿日:02月10日(木)17時53分33秒

で、「アフリカ」は、空前絶後に素晴らしい。
リーディングしたくなります。
筏丸さんの99年8月刊の詩集のタイトルが「パプリカ・ブリーカー」で
なんとなく、この「アフリカ」の世界にインスパイアされてんのかなあ、、、、
などと思ったりしました。「赤いパラソルをさしたフランケンシュタイン」もあるし
ま、偶然の感応かもしれませんが。






ちと、補足。 投稿者:萩原健次郎
 投稿日:02月10日(木)16時47分38秒

ぼくは、こういう書き込み、直書きしているので、
書いてるうちに、上の行が見えなくなる。

で、なにを言いたかったかというと
高速「ギャグ」ではなく、田中庸介さんの詩にとって
高速「ノンギャグ」への道が、もう、すぐに見えていると
そんなふうに、思えた。ということです。
いずれにしても、訳わからんことで。また、書きます。






高速ギャグ 投稿者:萩原健次郎
 投稿日:02月10日(木)16時40分04秒

田中庸介さま。
「山が見える日に、」読ませていただきました。
感謝いたします。
即座に「高速ギャグ」というキーワードを想起しました。
行=骨の脱臼現象、カクンカクンと。
明晰。冷徹。、、、、の帯は、まず正しい。
それよりも、像のハレーションによる、高速に過ぎ重なる
手際=感覚の鋭敏さに、惚れます。
でも、なにかどこかで、80年代末の気配を濃く感じてしまいます。
ぼくは、この時期「イエローブック」に
ジャズの阿部薫のことを書いた文で
「ノンギャグのハーモニカ演奏」と題しました。
その内容は、自分でも失念していますが、阿部の「なしくずしの死」の
演奏時に、「ハーモニカで演歌を演り、口から血を出していた」
というようなギャグ的逸話を、実は、ギャグではなくて
脱臼でもなくて、骨折・出血する、ノンギャグだと思ったことを
書いたように記憶していて、、、、、、
なにがいいたいのか、わからなくなってきました。
また、私信で感想書きます。
ごめんなさい。

松崎さん、きょう、梅田の紀ノ国屋で、「TILL」最新号拝見してきました。
ぼくは、松崎さんが、まだお若い頃(ぼくも)、お会いしています。
名刺をもっていました。おぼえておられますか。
確か、京都で、荒川・瀬尾・榊原淳子さんの会があった時だったと思います。
記憶違いかもしれません。

しみりんさん、
ぼくは、酒まあまあです。
まあまあ、よく泥酔します。はい。


http://web.kyoto-inet.or.jp/people/hag02041/





フーコーというブランドで詩歌句双書という 投稿者: 松崎義行
 投稿日:02月10日(木)10時59分01秒

シリーズをやっているんですが、書店で結構売れています。この数字には、
うれしい驚きです。
今のところ、俳句と短歌しか、ラインナップしていないのですが、
特別に売れたものをのぞいても、
300部程度は売れています。
しかも、著者の負担額は低く抑えてあって、発行者としては
可能性を感じているのです。
100万円問題というナイスなネーミングもあって、
この欄でとても盛り上がった議論は、
いい勉強になりました。
TILLという雑誌もやっているのですが、
枡野浩一さんの短歌メジャー化成功の秘密は、この欄での盛り上がりと、
無関係ではないと思います。
僕自身、詩のジャーナリズムというのをどうしたらいいのかよく分からなくて、
これからも、しょっちゅうのぞかせていただき、参考にしたいと思います。




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