うろこ新聞 2003年8月7日号(新島への旅 その3-植生)
うろこ新聞 目次前頁(うろこ新聞 2003年8月11日号(新島への旅 その4-トピックス))次頁(うろこ新聞 2003年8月6日号(新島への旅 その2-露天風呂))
Shimirin's HomePageUrokocitySiteMap


うろこ新聞 2003年8月7日号(新島への旅 その3-植生)



 新島の植生は、ごく簡単にいってしまえば、上の照葉樹林帯のなかにある海岸砂丘地植物から海岸林、さらに山地の植物に至る垂直分布を考えればいい。
 それもかなり狭い範囲である。今回、山地には行かなかったが裾野までは行った。
 沼田眞『図説 日本の植生』(講談社学術文庫)によると、
《照葉樹林を構成するのは、ブナ科のシイ類(スダジイ、コジイ)・カシ類(アラカシ・シラカシ・ツクバネガシ・アカガシ・ウラジロガシなど)・クスノキ科のクスノキ・タブノキ・ヤブニッケイ・シロダモ、ツバキ科のツバキ、マンサク科のイスノキなどである。
 (略)植物社会学上からはこの植生帯はヤブツバキクラス域と呼ばれる。》
 とある。
 スダジイはドングリの細いような実が成るもので、食べられるので子どものころ食べたことがある。一般的にシイといえば、この木のようだ。新島でも見て、食ったことがあるなどと話していた。上の図は前掲書のものを改変した。
 丈が小さくで、枝が曲がったような海岸の木々が「塩風」の反対側に曲がっていて、これは芽が「塩風」にやられるかららしい。「潮風」でなく文字どおり「塩風」で塩分にやられるらしい。



 この丈の低い林は海岸線から100メートルほどのところで撮ったもの。満潮のみぎわを汀線としてそこから距離は測るらしい。こぢんまりとしたこの低い林は、どこか懐かしい。たぶん幼いころから、さあ泳いで遊ぼうというときに海に走るとき、こんな林を必ず通りぬけたからだろう。



 羽伏浦のまさに海岸砂丘地から丈の低い海岸林になろうとするところ。
「(海浜)-海岸砂丘地植物群落-小低木群落-低木林-混交林-林」というのが、東西の狭い島の海岸から垂直的に分布しているわけである。



 これは浜木綿をまとめて移植したのだろうが、ネムノキが際にかぶっている。
 クロマツなどの一般的な木々でなく、ホルトの木、ビャクシンなどがそこここに見られる。ホルトの木はクマゼミが好み、鳴いているところの背中を指でさすったら、気がつかないでそのまま鳴いていた。本州のクマゼミがこんなふうに恐れないのを見たことがない。
 木で興味を引くのはたぶん、南から海を辿ってきたホルトの木などの日本の照葉樹林帯にあまり見られない木々がのんびりと育っていることだろう。気温による等温線でいえば極端に伊豆などと違いがあるわけではないのに、たとえば2泊目に泊まった吉田屋の入口にはブーゲンビレアの花が咲き、片側には花は咲いていなかったがハイビスカスが植えてあった。2つとも屋根ぐらいの高さまで育っていた。



うろこ新聞 目次前頁(うろこ新聞 2003年8月11日号(新島への旅 その4-トピックス))次頁(うろこ新聞 2003年8月6日号(新島への旅 その2-露天風呂))

Shimirin's HomePageUrokocitySiteMap