うろこ新聞 2002年9月14日号(芝生の上で昼寝)
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うろこ新聞 2002年9月14日号(芝生の上で昼寝)



 昨日は珍しく朝から仕事で、午後時間が空いたのだがユニテで飲むことになっていたので、新宿で暇をつぶすことにした。あまり寝ていなかったので、新宿御苑で昼寝するか、ということで千駄ヶ谷で降りて、入園する。
 ほとんど人がいなくて気持ちいい。プラタナスがきれいに並び、芝生もちょうどふかふかになる時季である。缶コーヒーを飲みながら寝そべってしばらく空や木々を眺めていた。千切れた雨雲が動いていき、時折風に木の葉が鳴った。
 かばんを枕にして小一時間眠る。半睡眠状態になると、いくつかの意識がイメージを伴って流れていく。
 5時に開くユニテに向かって歩き、歌舞伎町のコンビニで100円ライターを買ったり、途中喫茶店に入ってエスプレッソを飲んだりした。ちょうど5時西口から青梅街道を歩いて、歩道橋通りという路地に入ると桐田さんと足立さんの姿が見えた。
 夜は築山さん、吉田さんが加わり、飲み会になる。前にユニテの場所が火の子という店だったころに比べると店の細かい部分までよく観察できる。そうだなあ、自分の家以外にのんびり集まっておしゃべりできる空間というのは、ずっとなかったなあ、と思っていた。


新編 倉田良成の解酲子飲食 3

直侍シノワズリ
 寒い夜にたぐるソバといったらおおかたは直侍の熱燗で掛けを連想するだろうが、その蕎麦ではなくって、中華ソバでこれをやったことがある。酷寒の夜、今晩は家に誰もいず、夕飯の始末をひとりでつけなければならないときに震え上がりながら中華屋に入って、メニューを見ていたらタンタン麺というのと紹興酒が目に飛び込んできたので、紹興酒を熱燗にしてもらって麺と同時に来るように注文した。麺と熱燗を交互にすすっていたら、芝麻醤の刺激と紹興酒の香り高いアルコールとで目と鼻がぐしゅぐしゅになったが、このときばかりは冬そのものを堪能した気分になった。直侍にしてはちょっと濃いめだが。いっぽう、神奈川県に在住していない多くの向きにはご存じあるまいが、横浜の特産にサンマー麺というのがある。サンマーにどういう字を宛てるのかは知らないが、まず、上に載っている具が広東麺の色のついていない、そしてやや豪華さを欠いたやつと考えればよろしい。寒いとき、とろみのついた麺はありがたいが、中華街かどこかの店主がこれを安価に提供できないものかと考案したものだそうだ。具はもやし、人参、青いもの少し、豚肉で、これを片栗でとじてある。先のタンタン麺と違って、夜というよりは寒風に吹かれて飛び込んだ昼の安直な食堂のイメージだが、貧乏くさいと敬遠していたこの一杯は、しかし食べつけるようになると週に何回かは必ずすすりたくなる魔性をひめている。ちなみにこいつには、一合の小瓶に入れて売っているみじめな清酒の熱燗がやけによく似合う。

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