うろこ新聞 2001年月日
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うろこ新聞 2001年10月26日号



 今年は蘭を植え替えたら、生育がよくカトレヤは夏から2輪目が咲きかかっている。
 シンビジュームなど、何かの時にいただいて枯らしてしまうことがよくあった。世田谷・目黒農協(この辺にも農協がある)の売店でミズゴケを買ってきて、株分けしただけである。


【倉田良成の解酲子飲食 46】

果物の味

 それが香り高くても甘い味のする果物というものをあまり食する習慣を持たないが、渇望という点でそれに相当するのが私にとっては酒なのではないかとこの頃思う。あまり食さないといっても林檎やバナナの匂いには執着があって、ある種の日本酒やワイン、ある種のウイスキーや焼酎にはその香りが高く、断酒でもしていないかぎり、渇望を癒すには事欠かない。ずっと昔の話になるが、友達の家族が毎年夏に西伊豆に行っていて、一週間ばかりお世話になったことがあるが、西伊豆のいかにも田舎にあるような酒屋で珍しくモーゼルワインがあったので買って飲んだところ、鼻腔いっぱいに白葡萄独特のやわらかな林檎香が満ちたので驚いた。毎日せっせとその酒屋に通い、一週間たつ頃には酒屋のそのワインの在庫が底をついてしまった。いまでもなぜあんな鄙びたところにかくも良質のモーゼルワインがあったのかと不思議に思う。そういえばこれはもっと昔、中学生のとき、ヘルマン・ヘッセの「ペーター・カーメンツィント」という小説を読んでいて最後のほう、主人公のペーターが父親と毎晩居酒屋に通いつめるのだが、そこでさまざまな南西ドイツ産ワインの(つまりは地酒の)講釈があって、ぴんと香り立つやつだの、濃厚なやつだの、注ぐと星形の泡ができる発泡ワインだのがいかにもうまそうに描かれていて、中学生ながらいつか大人になったらこういういい目に合えるのではないかと思った。この頃はまだ飲み物といったらサイダーかコーラで、とりわけサイダーのラベルに印刷してあった「シャンペンサイダー」のシャンペンって何だろうかとわくわくした。

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