うろこ新聞 2001年月日
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うろこ新聞 2001年10月19日号



 台所に2、3本、サツマイモがあった。明日、新鮮なサツマイモが手に入るはずで、いよいよ秋の収穫の時期である。カオスとの散歩のコースを少し変えたら、サツマイモ畑があった。


【倉田良成の解酲子飲食 44】

ケーキ仄聞

 アンコ系の和菓子は、なかなかというかとてもというか頂く気にはなれないが、洋菓子のケーキのようなものならたまになら呼ばれたい心持ちになることがある。和菓子は、これは甘くないのよとか言われて食してみたら、私の守備範囲ではとんでもなく甘い部類に入って飛び上がる例が多々あるけれど、ケーキなら勧められてしぶしぶというシナを作りながらも「そうお、じゃあ」と手を延ばしたくなるのも(その結果、やはりあまり甘くないことが実感できるのも)、和菓子にはない奥深さが洋菓子の世界に存在するせいであるのかもしれない。そういえば、やれオレンジピールだの、チョコレートでもミントの味のするやつだの、ピスタチオをすりつぶした青い色のクリームだの、なんでそんなものを菓子につけて食うのやら判然としないサワークリームだの、私には未知の領域が私が菓子を嗜まなくなったここ三十年ほどのあいだにどんどん拡大してきているようで、考えてみれば何か損をしているような感じがしないでもない。だからといってその道に積極的に踏み込むことがためらわれるというのは、新宿二丁目あたりの夜の殷賑をこれなるかなと讃歎の眼で眺めるだけでその道に踏み込まないのと一緒で、そこにどんなに奥深い世界が広がっていようと、私に妻があり酒がある以上しょせん深い縁 はなかったと諦めるよりほかない。それにつけても思い起こされるのは名古屋の菓子の優秀さで、この酒飲みの私をしても認めざるをえないケーキの上品さはもちろん和菓子作りの伝統を背景としていて、二人静でも柿羊羹でもその甘さはほのかで、さすがに茶が盛んであった土地柄を思わせる。

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