うろこ新聞 2001年月日
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うろこ新聞 2001年9月22日号



 地下鉄でうっかり急行に乗っているのに、乗り換えないで二子玉川駅まで行ってしまうことがある。そうすると、ふいに多摩川を間近に見ることになる。写真を撮る機会が向こうからやってくる。秋がはじまった多摩川の景色はいくぶん寂しげだ。


 ベルは、寒がりでちょっと寒くなるとテレビの上に乗る。暖かいのだろう。ソファのクッションなどでも真ん中に丸くなっている。


【倉田良成の解酲子飲食 31】

水について  其ノ一

 水のうまい・まずいは飲み食いの問題よりも人間にとってもっと基本的なもののような気がするのは、例えば知らない土地に行くと水が変わっただけでいままでなんともなかった歯が痛み出すことがある、という歯医者の話を聞いても分かる。帝釈天で産湯をつかい、というあれだ。ましてやこれが飲み食いに影響を与えないわけはなく、以前に数週間逗留した大阪ではその水のまずさに閉口した経験があるが、ホテルの蛇口をひねると出てくる水の臭いは、朝飯の饂飩にも昼に食うシューマイにも夜のヘレカツ定食にも、飲んだ後の屋台のラーメンにも染みていて、十日目くらいから横浜の水がしんそこ恋しくなった。あれは取水する淀川の水がわるいのだと思うが、当の大阪人が何と感じているのかはぜひ聞いてみたいところだ。あんがいここ以外の水はまずくて飲めないなんて思っているのかもしれない。横浜の水がいくらうまい、優秀だと力説してみたところで、それもまた土地っ子の一見解にすぎない。それでこのことが外国に行ったらどんな事態になるのだろうかと考えるが、それほどひどい目に遭わないのは、あっちではだいいち蛇口の水を直接飲むなんてことは土地っ子でも絶対しないからで、よほどのことがない限り、水は決して安くはないなにがしかの銭を払って買って飲むものなのだ。ローマにいた一週間、アックア・ノン・ガッサータ(炭酸抜きのミネラル水)は大阪の水よりもはるかに甘露だった。

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