うろこ新聞 2001年月日
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うろこ新聞 2001年9月20日号



 映画はこのところあまり見に行かない。妻のほうが新作をよく見ている。
 タルコフスキーや、キューブリック、黒澤明など好きなタイプのを学生時代さんざん見た。それからB級SFやB級アクションはテレビでやっていると途中から見てしまうこともある。
 ビデオもあまり借りていなくて、結局まめにレンタルショップなどに足を運ぶ暇もないということなのだが、仕事先の人に怪奇映画のビデオをよく吟味して集めている方がいて、上のは2回目に借りた数本である。『死霊の盆おどり』というまったく意味不明の映画が含まれている(半分見ただけだが)。ラベルにはハリウッド映画最悪のカルト映画、とある。なんのことはない、いまのところ(半分)までは、墓場でいろんな扮装をした女性がストリップするというものである。顔が写っている『イレイザーヘッド』(消しゴム頭)は、『エリファントマン』の監督作品でこれは前から見たいと思っていた。


【倉田良成の解酲子飲食 30】

南蛮渡来 其ノ三

 韓国、タイときてインド料理となると三題噺めくが、いずれ辛い料理ではこの国を避けては通れない。家庭の即席のでない本格的なカレー料理を最初に認識したのは、以前は九段に店があった「アジャンタ」である。つとに有名な店であるが、私が体験したのはそこで食べたということではなくて、その店から漂ってくる匂いを嗅いだということで、たいして自慢できる話ではない。もう三十年近くまえになるが、アジャンタの近くに運送物を搬入する場所があって、乗っていたトラックがよく着いたものだが、なぜだか搬入するのは決まって十一時とか十二時とかの昼時で、アジャンタのほうではその日のランチに使うカレーソースがちょうど出来上がる頃おいというのも、貧乏な若者にとっては罪作りな状況であった。そのソースの匂いはいままで嗅いだこともない深遠なカレーの味を思わせるもので、いつかそれを食いたいというよりは、自分の住む世界とは違うところから漂ってくる高貴な匂いという感じがしたのも事実だ。そこはそれっきりだったが、いくらか余裕が出来たその数年後、はっきりとカレー専門店に行くのだと思って入ったのがいまも渋谷百軒店にある「ムルギー」である。いちばん辛いカレーを食いながら友達と騒いでいたら、店主が辛すぎますかと尋ねてきたが、実はあまりの辛さをみんなで嬉しがっていたのだ。

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