うろこ新聞 2001年月日
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うろこ新聞 2001年8月29日号



 ようやく仕事の区切り目がつきそうで、夜、カオスと散歩したときに撮った夜の花の写真をフラッシュメモリからハードディスクへ。蒸し暑い。


【倉田良成の解酲子飲食 16】

関西幻想

 旅の続きは和歌山から奈良を経て京都まで足を延ばした。奈良の友達のところで一晩お世話になったが、そこで出された合鴨と葱の塩焼きに山椒をふりかけたものは、これはうちでも使えるなと勉強になった。翌日は快晴の若草山で友達夫妻と遊び、近鉄電車で京都へ。かの地ではかねてから決めていた「わらじや」に、う雑炊を食いに女房と入った。この、味があるかなきかの料理には職人の手業を感じたが、鰻をここまで品のある食い物にするところに、(う雑炊の考案はそんなに古いものではないそうだが)千年という時間の分厚さがもたらす執念のようなものを思う。ホテルでは、職場のKさんに頼まれていた大徳寺納豆の店を聞いて、紫野大徳寺門前で購入。Kさんはこれをなんと麻婆豆腐に入れるそうだが、この、東アジアの発酵食品の原点みたいな納豆のちょっと八丁味噌を彷彿させる濃やかな味は、左利きのわれわれ夫婦にとっては最も手軽に入手できる京都のアテである。最後に、新幹線に乗るまえにちょっぴり覗いてみようということで壬生寺に寄ってみたら、思いもかけず狂言奉納の何日目かで、炮烙割りと紅葉狩を人垣のあいだから見ることができたが、洛中洛外の春を送るガンデンの響きに、生まれる以前からそれを聴いて育ってきたような不思議な懐かしさを感じた。奈良にて吟。
 花過ぎてなほ降るものや大甍        解酲子

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