うろこ新聞 2001年月日
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うろこ新聞 2001年8月15日号(ヤモリ号)



 先日、玄関の蛍光灯が切れたので、取り替えようとしたら、笠からヤモリの死骸が出てきた。この夏にも蛍光灯の近くの壁の溝に沿ってすばやく逃げるヤモリを見た。ヤモリは網戸の向こう側にいて、ひたすら羽虫が飛んでくるのを待っていたりする。それを見ているととても可愛いし、手触りもいい。字も「守宮」と書いてなにかしら縁起のいいものに感じる。(鱗造)



沖縄のヤモリ――若井弾丸

 電気の笠にヤモリの死骸があったというの、虫食いに熱中しすぎたのでしょうかね。
 沖縄ではヤモリは「やーどぅー」と呼んでます。最近は「やーるー」と言ってるみたいです。「キョエキョエキョエ」と、とてもけたたましく鳴きますが、姿形がすっぽんぽんみたいで、可愛げがありますね。
 ごきぶりホイホイをしかけたとき、そのヤモリがかかってしまい、狼狽したことがあります。彼はまだ生きているのだが、無理してはがすと手足や皮膚がちぎれてしまうし……。はさみで周りを切って、他所に放してやったが、吸盤が使えないので駄目だったでしょうね。最期を確認する勇気なし。ごきぶりホイホイは止めて、硼酸団子に切りかえた次第。


【倉田良成の解酲子飲食 4】

中華街

 横浜中華街にはいまの女房と恋人時代によく行った。その頃、彼女が友達と香港に旅行したことがあって、帰ってきた翌日に中華街で会ったのだが、会うなり「香港と同じにおいがする」と言ったものだ。横浜のほかの街にいてもよくは分からないのだけれど、確かに、中華街には言われてみれば独特のにおいがあるようで、それは例えば乾燥した丁子や肉桂や八角のかおりに大蒜や生薑や中国線香のにおいが混ざったもの等と、分析してみればそういうことになる。このにおいは、考えてみれば神戸の南京街にも立ち籠めていたはずであり、それどころかたぶん世界中にあるチャイナタウンに共通するものであるだろう。どこか粉っぽくて俗にして貴というそのにおいはわれわれ日本人とはなにか異質な肉食人種のものだと思うが、世界のどこに行ってもこのにおいのするエリアがあるということはなかなかにある種の郷愁を誘って、中国(特に福建)人のさすがのしたたかさを痛感させる。聘珍樓や重慶飯店などの大所はともかく、中小の店ではカード払いは不可にして常に現金掛値なしというのも中華街の一大傾向で、彼らの信仰する関帝廟の関羽がなぜか商売の神様ということになっているのだから、ここでは絶対にドメスティックな情実が利かない点も世界に共通する面白い特徴だ。もう行かなくなってだいぶになるが、新宿歌舞伎町から北へ広がるエリアでも、この頃は結構こうしたにおいが立ち籠めているのではないか。

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