苔桃yoyo
大いなるアルプス山系
山麓のとあるロッジ
偶然か必然かあなたと出遭い
薄雲がかかる山頂に
二人の歩調は不揃で
年少の私が先をゆき
僅かに息の合ったとき
濃緑あふれる山道で
そっと手をとりあう
遠ざかってゆく裾野の風景
立ち塞がる分かれ道
あなたは左へ 私は右へ
同じ頂上に着くことを
胸のうち 密かに願い
一歩ずつ 歩んでく
高山の道程
一歩ずつ 歩んでく
ほのかな香りに誘われ
薄桃色の苔桃の実
一粒摘んで
あの霧の彼方
きっとあなたは立っている
頬は実の色に染まり
心は甘酸っぱい未来に沁みて
|