stolen child

ユー




ママなんて要らないと言ったよね
深緑のどこまでも続くエーテルの 領域侵犯を犯した僕ら
ぎざぎざで真っ黒の機雷がぽっかぽっかりと浮かんでる


約束したよね 後悔しないって 
真緑のこの身体 脳性麻痺のvisual信号で生きている
赤い血なんて流れない もう真っ赤に揺れる夕陽も見ない
残骸の下には 干からびた少女のメルヘン

       好きだったんだろ?


腐海に剛鉄の魚群が泳いでく
キラキラと鱗の破片が光るだろ
青の蒼さに眩暈がするかい?
真っ青の嬰児が真緑の液体に浸けられて じっと育っている
海は全く夢など観ない胎児の涙
僕らもあそこから来たね
一つ目しかない僕らの目に この世界はぼやけて映るだけ
他の子と違うなんて思わなかったよね

       C'est originaire. C'est originaire.

腐海に漂い浮かぶ機械塔 ずっとずっと誰かが叫んでた
真緑の液体はじっと僕らを包んでた


僕らはみんな同じ顔 no.で呼び合っていたね
いつしかそれもわからなくなって 僕らは単に僕らになった
世界は僕らを「一つ目族」と呼んでいた

深い深い真緑の海の底 ゆっくりゆっくり進軍してく
立ち止まってそのまま眠る奴もいたっけね
祈り方も知らず ただ僕らは
地上に出て殴り殺された奴らもいたっけね
そう言えば 言えば・・・ 僕らは祈り方も知らず


異常なスピードで歳をとる どこかからさらわれてきた子供
変なごてごての器械を頭に被って
僕らが容器から溶け出して無くなるまで
その器械は僕らと繋がれて 子供は再び若くなる


繰り返してく 繰り返してく 繰り返してく 繰り返してく

       C'est originaire. C'est originaire. C'est originaire. C'est originaire.


ママなんて要らないと言ったよね
後悔しないって言ったよね

僕らは時限ダイナマイトを一人一人身体に巻きつけて
機械塔を黙々とよじ登ってく

この中にはまだたくさんの僕らがいるね
決して決して僕らが望んだことじゃない
でなきゃ誰が終わらせるの?

波の音が穏やかに聴こえる
ねぇ 僕らは世界をただの一度もちゃんと見れはしなかったけど
足にくくられた鎖をじゃらじゃら引き摺って
一度は外に出たんだね 
祈り方を知ってれば・・・ もう時間だよ

       5、4、3、2、1−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−0




うろこシティアンソロジー 作品篇 No.1 目次前のページ次のページ
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