虚空と弧

はやかわあやね



輪郭と輪廻の
浮き沈みする風景の中で
その一旦を担うあなたの過去は
決して私のものでも
その端境を埋めるものでもなく
あなた自身のその虚ろな目の中の
静寂に隠された陰鬱な迂路

反故にされた約束と
その嘲りの風景は
今も私の目の中に焼き付いて
忘れ去ろうにも
忘れることなど出来はしない


彷徨い続けた夜は
もう何処にも存在していないはずなのに
その釈明と
焔獄の中で
幽かな軌跡を呼び起こし
浮遊された冷笑を
呼び起こすのは何故でしょう

もう何も見たくなどないのです
疲れ果てた朝の暗闇は
この目を遮り
見えるものまで
見えなくしてしまう


朝はもう入らないから
夏が欲しいのかもしれません
息も絶え絶えに
喘ぎ続け
その太陽の暑さに焼き焦げて
跡形もなく消え去りたい


こぼれおちてきた光りの屑を
私は悪し様に殴りつけて
そうしてまた
何ごともなかったかのようにたゆたい続ける

そう
それはまるであなたにそっくりで
忌み嫌われては素知らぬ顔で
今日もまたひとつ
この手に嘘を塗り固めてゆくのです








うろこシティアンソロジー 作品篇 No.1 目次前のページ次のページ
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