腸閉塞の夜yoyo
黄色い三日月がつるんと落ちていきました
長く細い夜道はくねくねととぐろを巻いて
それでもあなたのお屋敷へと足を運ぶのでありました
雨後の月明かりは眩しくてついぞ夜空を見上げては
不覚の前夜を思いおこし思い浮かべました
心中などとて鞄の中に偲ばせた包丁を
涙で磨いで研いてことを通りすがった初老の老人に語り
「あなたのような若者のおっしゃることではないですぞ」
とお叱りを受け俯いて塞ぎこんでいきました
歩けども歩けどもあなたのもとへと
辿りつくとままならずにおりました
何がわたくしを迷わせているのでしょうか
あの明るさが矢じりをわたくしの胸に撃ったからでしょうか
幼き日に決まった縁談が狂わせているのでしょうか
いいえ、それは悲しいほどわたくしはわたくしのままでありました
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