母音の領分
桐田真輔
A
あなたはやま
あららかなやま
あなたはかわ
あまやかなかわ
あなたはばら
あざやかなばら
あなたははか
あたたかなはか
I
にしにいりひ
いしににしき
しきりにちり
きりぎしにしぎ
きひにみいりし
きみしりしひ
U
ぬるむすーぷ
すするふうふ
すずつるすふゆ
つゆふくむゆず
つつむゆううつ
うつむくくぐつ
E
てれて
へべれけ
せめて
ねせてね
O
このごろのこと
どのこともよそごと
おっともほとほと
そもそもとこごと
ぼろぼろのこころ
おとこのところ
註)この言葉遊びは、関富士子さんの「影をさがす」(関さんの個人詩誌「raintree no25」所収)、藤井貞和さんの「《anatawa-akahadaka》メール」の1の部分(詩集『ことばのつえ、ことばのつえ』(思潮社)所収)といった興味深い試みに触発されてつくってみたものです。なお、「I」のなかの「きひ」という言葉は海埜今日子さんの詩集『季碑』(思潮社)のタイトルのつもりです(やや苦しい言い訳(^^;)。
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