落日
希代セツ
新しい朝は
古よりの始まりに
美しきに飢えてはいるが
縁の祖母は恍惚に
音もなし
悲しいかな
昨日と呼べる日は
苦悩を呼び
戯論のうちに黄昏行く
混沌
残桜を思い
師走の空に少し笑う
寸劇の近隣
忙しなくも蠢く命の流れを憐れむ
卆寿の白き瞳孔
確かに
疇昔は薄れ逝けども
追悼の涙は未だ落ちず
掌の皺とは違い
吐露し尽くせず
何をか為さん
人情の大河に流され
抜き差しならずば
念ずるに如かず
荷前の使い
儚くも
人の歩みを
俯瞰して
辺境に見出す
本編のフィルム
真綿の香りと手触りと
実り朽ちた
無数の木々が
芽吹く
森を想う
痩せた脳に
揺らぐからだ
欲望
落日の花を
リビングに添えて
縷々と語る昔日の恩
霊性の
老境が
私を観ん
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