うろこ新聞 2003年7月10日号(ぺこ特派員の植物写真・Daturaの花)
ヨウシュチョウセンアサガオ=ダツラです。
明日から増えそうです。今日は雨なのでフラッシュ。去年より一日遅い開花。
【薀蓄】
インド、中近東、中南米を原産とするナス科の花。毒性は強くアルカロイドを多くふくむ。
日本では江戸時代、最初の乳がん治療の際、全身麻酔として使われた。蘭学者、花岡青洲(1760〜1835)の妻である。この花は村上龍のコインロッカーベイビーズにもでてきたし、澁澤龍彦にも、カルロス・カスタネダにもでてくる。猛毒とはいえ、おどろおどろしく描かれることが多いが、毒のある植物は案外身近にあったりするのだ。カルロス・カスタネダではドンファンというインディオが呪術的な(修練を積んだあと)儀式に使う話がでてくる。また最近話題になった、ニューカレドニアの女子大生殺しの犯人も使っていたという報道があった。過去にも中毒事件があるが、盛岡の高校生が種を食し、何人かが救急入院になったことが強い記憶だ。勿論、馬鹿め! と思ったのだが山菜、きのこの中毒は東北に結構あるものの、この植物は南のものだから意外だったのだ。園芸種として売られてるものもあるからわからない。別名、マンダラゲ。キチガイナス。トランペットフラワー
※最近サラダなどで花を食べることが流行り、中毒者が増えたらしい。
マンドラゴラ mandragora officinarum. 英名 マンドレイクMandrake, Loveapple. ドイツ語アルラウネ
日本では、マンダラゲ(曼陀羅華)。絞首台の下に滴り落ちた死刑囚の精液から生えるという。神秘的な効能があると信じられていたことから、子宝祈願、無病息災、あるいは財宝を発見するためのお守りとしても使われた。
地面から生える植物で、紫の花とオレンジ色の実がついているが、根はどう見ても裸の人間の姿をしている。雌雄の区別があり、それぞれの特徴をそなえている。
この根には毒が含まれるが、うまく使えば、貴重な薬となる。麻薬、麻酔、睡眠薬、媚薬など、その効果も幅広い。聖書の中では不妊症を治したという記述もある。また、黒魔術の材料として使われたり、魔除けの護符としての効果もあった。マンドラゴラは採取の際に危険が伴う。マンドラゴラの表面には猛毒があり、触れればたちどころに死んでしまう。さらに、引き抜くときに、マンドラゴラは恐ろしい悲鳴を上げる。これを聞いた者は死んでしまうか、発狂してしまう。 そのため、魔術師の間では、自分は耳栓をつけ、犬にこの植物を抜かせるという方法が取られたという。または、引きぬく者がマンドラゴラの回りに三重の輪を剣で書き、西の方を眺めるだけで良いとされることもある。……澁澤龍彦「毒薬の手帳」から

名前からして、毒草の響きがありますね。(鱗造)
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