うろこ新聞 2003年4月30日号(しゃがの花)
日曜日に御苑散歩をして、歳時記から「しゃが」の項目をコピーしたりしてもっていったら、桐田さんが庭にあるしゃがの花の写真をメールで送ってくれた。近所にも見つけてあってちょうどよく咲いている。
しゃがは本当に親しい植物である。ちょうどその日に買った曲亭馬琴の『増補 俳諧歳時記栞草』(岩波文庫)に項目がある。
胡蝶花(しゃが)[和漢三才図会]烏扇、是今云、胡蝶花なり。四月、花をひらく。状(かたち)、鳶尾(いちはつ)の花に似て小し。灰白色、黄の紋あり。実を結ばず。一種小著が(くさかんむりに我)あり、小にして長さ六七寸、石菖の葉の輩(るゐ)のごとし。花もまた小し。浅紫、略(ちと)菖蒲の花に似て小く美し。愛すべし。
欄外に、
打出でて矢の根拾はんしやがの花 支考(継尾集)
とある。「矢の根」とは鏃(やじり)のことらしい。
どちらかというと、山の北側の湿った斜面という場所に生えているような気がする。
くらがりに来てこまやかに降る著が(くさかんむりに我)の雨 山上樹実雄
ちょっと動きのなかなら、
谷を出てゆかんと著がの咲きのぼる 山口誓子
その花の軸が出る茎に特徴がある。角張っているのである。

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