ハミング

T.T


『ハミング』


洗い立ては 吸ったんだろう太陽を
シミ一つなく白くて気持ちいいわ
そんな敷布を 被して
転がした 梱包をしようと おもう
宛先はどこにしよう
白いビニール
の紐で 縛り そうだ実家だな 
返品と云う事で そうね不良品ですものね 私
と 観念している妻は 歌を唱ってる
自作だが まだ詞が ない 題名は決まってるの
なんだよ おしえない
さよならの歌だな 段ボールを取り出し
抱え入れる 動くなよ ガムテープが何処にもない
ねえ 君 何処やった と聴いてみたが
ハミングを続ける
あれほど 動くなよ と云ったのに 
戻 ると
シーツ姿で 料理をしてる
手だけ出しちゃった と 蒼いものを刻んでる
いいよ 弁当買って来たから そう
手を引っ込め 箱の中へ帰ってくれた
製造元には電話しとくよ 
そう
印鑑用意しといてくれって
そう
そういえば君の父上は去年の夏に死んだっけね
そう
そういえば俺も参列したよな 
おいおい君が泣くもんだから
つられて俺もないたよな
そう
空気穴を 開けとくよ
そう
第二の人生が ある のだから
そう 
たくさん あけといてください ね
と 妻は 云うと また
ハミングを
始めた

自作だが まだ詞が ない
明るい歌だ 鳥も鳴いている


うろこシティアンソロジー 作品篇 No.1 目次前のページ次のページ
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