躊躇い

ユー




思考するDNA 赤で
頼りなく吼えるのはスケリグ・ヴィヒール精霊の島のサイレーン
小石が降り注ぐ
生き埋めにされた あたしに

それは無期限の死の延期
器官なく死体は喰らうもの
絶壁は真っ黒な海の渦へと誘いざなう


夜になって剥奪するDNA 白で
除草者の鎌があたしの首を刈りとった

点滅してく 明滅してく 脳のシナプス ただ胴体から花は生えない
緑の大地 昏すぎる石畳 砂利の山
記憶の中での殺戮 何度も 
死者は休まらない 墓にクローバーの重しを乗せて


塑型で漂うDNA 青で
ただ棺は海へと流される
残酷さと純粋さと 円錐形の鏡たち

Bon appétit召し上がれ 心の空洞に 痛いほどの空洞に
Χορα空間は代表の代表性そのものとして
深まって


沈黙するDNA 黒で
砂漠の隣で無意味な自我が崩壊していた
既に錆びつき朽ち果てた海中都市

中世にそれは栄光を迎え しかし誰にも知られず滅びていくティルナノグ常世の国
静寂の中でとてつもない静寂の中で


月はハッティヴァティットにょろにょろと共に笑う
そう、月は笑っていたんだ
ハッティヴァティットと共に





うろこシティアンソロジー 作品篇 No.1 目次前のページ次のページ
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