人間発電所

yoyo





奇怪な人物の噂はびらをまかれ
街角に不穏な影を落としておりました
事実この街には発電所はなく
隣の都市から電力はひいておりました
幽閉された小屋は毎夜軋む音をたてて
この小屋の持ち主は今だ謎でありました
寂れた異質感のバラック群は
工場地帯から僅かに離れてありました


この街では若い男が行方をくらます


人手の足らなくなった農民は女子どもを使いました
しかし、男どもはもどってこないのです
ある日夫や息子を失踪した婦人たちが
町内会で自警団を結成しました
むろん明智小五郎や金田一耕助は金がかかり頼むことができず
小林少年に捜査を依頼しました
小林少年はあの小屋の屋根裏に侵入し、
天井裏に穴をあけその光景をみたのです


男たちは人力モーターの上を転げまわり
肉体から迸る液体は静電気のようないかづちを
発しているではありませんか
支配していたのはやはりあの人物でした
そう、無精ひげの猫背で歩くあの男でした
謎は解けたように思いましたしかし・・・
なぜあの男は電力を必要としていたのでしょう


謎は謎を呼び小林少年はあの男に捕まり
今もなおあの人間発電所で液体をつくりだしています



うろこシティアンソロジー 作品篇 No.1 目次前のページ次のページ
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