信号待ち/春待ちの時間

山田三平


例えば

歩いている毎日の
ふとした隙間に
片足をはさまれて身動きが
取れなくなっている

交差点/ぼんやりと/昨日から
身動きが取れない

蝶が目の前を通り過ぎるのを
眺めている/確認する/そう言えば
身動きが取れない

繰り返す
そんな日常を繰り/返す・・・
日常を


いや

拒否する/拒否すれば/拒否する時/拒否したい
断固として拒否する

「確固」
たる意志は
そして意識は
そんな一方的な蝶の通行を許さない

男子たるもの
もっと直線的に飛行せよ/せよ


いや実際
蝶なんてどうでもいい

きっと
抜け出る/出す/したい
抜け出したいんだ
ここではない何処かへ

つまり否定
この場限りの否定
この場限りの論理からくる否定
この場限りの論理から来るポジティブではない否定

足がはさまっている
こんなところに放り込んだのは誰だ?

そう
放り込む/まれる/れた
きっと放り込まれているんだ

パラレルな世界とか
そんなものではなく
いつもの日常に放り込まれているんだ

電柱は犬に小便をかけられる為にあるわけではなく/ドミノ
は倒される為にあるわけではなく/愛は地球を救う為にある
わけではなく/日常は繰り返す為にあるわけではない

ループしているのは日常の方ではなく
自ら
そんな隙間にはまり込んでいるんだ
気が付かないうちに



何を望む/春は近い
今年の蝶は直線的に飛ぶのか




気が付けば
とうりゃんせ


うろこシティアンソロジー 作品篇 No.1 目次前のページ次のページ
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