くぐり抜けて行く

萌木碧水





               ひかりの泡を
               手のひらに受けて
               きらきらと
               さらさらと
               透き間から流れてゆく
               涼やかな風を
               見守りながら
 
                ミドリノ紗綾 ヲ
               
               たくしあげ
               くぐり抜けるように
               
               その綾羅のみちゆきの
               揺るやかな波立ちに
               ちょうちょ結びの
               めじるしつけて
               
               何が待つのか

               いまは 
               まだ、
               わからなくとも

               あなたと歩んできた
               あの
               ファンタジァを
               ふわりと纏っていたならば

               ひるがえるフレアの裾に
               瞬きを讃えたままに
               やがて
               鮮やかな朝日を迎える日が
               やって来るのだろう

               翳ある背中を
               忘れることもせず
               必要なほどの明るさを
               手放さないままに

               あの日の約束のままの
               変わらぬ形をこころに湛え
               同じひかりの下に

共に

               照らされているの
               だろう

               微笑んでいるのだろう







うろこシティアンソロジー 作品篇 No.1 目次前のページ次のページ
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