上流へ
箱
漕いで
握りしめるほどに込める
背を向けた漂流の力に届けと
歌う
かつての足枷を
流れのなかに沈めるため
上流へゆけ 若者よ
魚の動きに 目を向けて
森林のざわめきに 耳を傾けて
ここには何もない
上流へゆけ
上流へゆけよ
深い痕跡が残された
ジャングル
雨に濡れたままで見つめる
マングローブ
項垂れる葉茎
引き締まる度の筋肉に滲む
汗には行きどころもなく
木々の呼気ばかりが覆う
ルンロア
ルンロア
息を切らす手前の躍動
そしてまた
漕いで
握りしめるほどに込める
◆
うろこシティアンソロジー 作品篇 No.1 目次
◆
前のページ
◆
次のページ
■
Urokocity
■
Shimirin's HomePage
■
SiteMap
■