上流へ


 

漕いで
握りしめるほどに込める
背を向けた漂流の力に届けと


歌う
かつての足枷を
流れのなかに沈めるため



 上流へゆけ 若者よ
 魚の動きに 目を向けて
 森林のざわめきに 耳を傾けて

 ここには何もない
 上流へゆけ
 上流へゆけよ



深い痕跡が残された
ジャングル
雨に濡れたままで見つめる
マングローブ
項垂れる葉茎
引き締まる度の筋肉に滲む
汗には行きどころもなく
木々の呼気ばかりが覆う


ルンロア
ルンロア
息を切らす手前の躍動
そしてまた
漕いで
握りしめるほどに込める
 

 


うろこシティアンソロジー 作品篇 No.1 目次前のページ次のページ
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