銀朱の月

まつおかずひろ(hiro)



夕べ、ガラスに映ったのは
かりそめの いろ?
今朝、陽がさすと
消えた
あなたは自分の形が見えるだろうか
穏やかな雲に乗るときは
まるいが
それでも端に秘密を残している
嵐ならば
飛ぶだろう

私は私、全てが私
それは確かにそうなのだが
見る者には
一つではない
近づく術は?

目を瞑って
慣れない空をおよぐ
まっ黒な なかを
およぐ
あなたがあることを
感じるのは
どうやら皮膚であるらしい

穏やかな波長に
ぼくは屹立する
あなたは寄ってくる

しかし、それが
あなた自身なのか
あなたの影なのか
分かりようもない
どちらにしろ
狂う


うろこシティアンソロジー 作品篇 No.1 目次前のページ次のページ
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