ホットドックエクスプレス

yoyo




ファ〜ンと音たてて
急行列車は出発する


商店街の線路脇
ちっぽけなホットドック屋
叔母のコネでバイトして


制服姿のあの人は
あの音の後やって来て
珈琲頼んで去っていく


交す言葉を探すけど
聞こえないふりして
CDのボリュームあげて
照れ隠しに踊ってる


うしろ姿を目で追って
うしろ姿は消えていく
雑踏の中に消えていく


ファ〜ンと音たてて
急行列車は出発する


どこに行くのですか
どこに住んでいますか
恋人はいますか


ある昼下がり
口げんかしながら
あの人は恋人連れて
店にきて
珈琲かけられ
逃げられて


ファ〜ンと音たてて
急行列車は到着する


布巾渡して
微笑んで
CDのボリュームあげて
小躍りして
苦笑いされて


ホットドックは夢みる
次の急行列車が
到着する時は
あの人に告白すると


ファ〜ンと音たてて
急行列車は出発した
冷めない珈琲を積んで





うろこシティアンソロジー 作品篇 No.1 目次前のページ次のページ
UrokocityShimirin's HomePageSiteMap