太政大臣

堀めぐみ


夜、まだ見ぬ旅先の風景を
思い浮かべてみる。

太政大臣がやってきて僕の風景を奪っていく。
机上の切片が蒼い灰皿をクラッキングする。
センスのない邦題が粘性を帯びて陶器のプロムナードに吸着する。

ありがとう。
本当にありがとう。
ずっと行きたかったけど、やっと行く気になったよ。


うろこシティアンソロジー 作品篇 No.1 目次前のページ次のページ
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