夕餉
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夕餉



萌木碧水



燈の灯る 夕餉の時は
ひとりが良い

幾つもの
当たり前を
ひとつひとつ
辿る時間が
贅沢なのだ

団欒を
知っているから
とても
近しいものだから
ひとりの夕餉の贅沢を
山盛り
こころを澄ませて
いるのだろう

明日への風を身に矯めて
大きく舵を切る

夕餉という言葉とは
少し不似合いな
ピッツァ カプリチョーザを
頬張りながら

ちょっと
ツナが多めかな

タバスコを
マラカスのように振って
振り掛けて

自分の速さの
夕餉の時を
楽しんでいる

暖炉の薪は
今日も威勢良く
燃え上がる
明日を啓示する
自然の占い種だ


             2003.01.07

初出誌 グループわれもこう(代表 蜂須賀和子)「海嶺」第12号 2003.2.4刊



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