陽の埋葬

陽の埋葬



田中宏輔

――羽根があれば天使になるの?

そうだよ。
でも、いまは、毀れてるんだ。

――その腕に抱えてるのが翼なんだね。

そう、抱いて、あたためてるんだよ。
つめたくなって、死にかけてるからね。

――でも、ぼく、そのままの、きみがいい。

そのままの、ぼくって?

――優し気な、ただの、少年だよ。

そして、天使は、腕をひろげて
もうひとりの、自分の姿を、抱きしめました。

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