南川優子 詩のページ
The Dipper by Kathleen Jamie  原文はこちら

カワガラス

それは冬だった わたしは凍えていた
モミの木の林を歩いていると
滝から ひとりぼっちの鳥が
飛び出した。

それは 湿った岩の上で光った。
そして 水が ばかみたいに流れたとき
それ自身の喉から なだらかで
せき止められない歌を 絞り出した。

それは わたしが捧げる歌ではない。
わたしは この鳥を わたしの手におびき寄せることはできない。
川の深さを知りながら
川の歌を陸の上で歌う この鳥を。