ポフウェル氏は、
中古車につぶされた笑い声にふるいをかけられた雨垂れのために踊るリスに爆破された新年に乾かされた洗濯物のにおいのするサンドウィッチをつくる軍隊にいたクラゲに食べられたオランダに住むわがままな時計であふれた庭の気の狂った将来について案じている。
ポフウェル氏は、
町をバッグに詰めて旅に出るキリンにほっぺたを投げつけて遊ぶ胸像を美容整形するかまいたちの五体満足な姿を世界で初めて撮影したカメラマンの夢枕に毎晩立つ物言わぬ赤ピーマンが照らしだす過去の記憶にうっかりと足を踏み入れたお地蔵さんを現世につれもどす。
ポフウェル氏は、
過労死した高層ビルと親しくしていた夕焼け空に突撃インタビューを試みて追い返された白ウサギと知恵くらべをしようと来日した国王を心配してついてきた書斎の過保護ぶりにあきれかえるタンチョウヅル夫婦に舞踏の手ほどきをうける。
ポフウェル氏は、
カタカナを撃ちこまれた大根畑からしたたる午後の太陽をすくい上げるおたまじゃくしの頬を伝ううわさ話を味見する骸骨のおしゃれ心をくすぐるそよ風の悩ましいポーズを掲載した写真集へ飛び込み自殺するビタミンCのかつての恋人を社交界にデビューさせる。
ポフウェル氏は、
便せんにしみこんだ眼球と酒をくみ交わす年頃の娘の胸の谷間から聞こえるホラ貝の寝息を鳥かごに誘いこむ手品師に弟子入りしようと亡命する夜空を鼻からすするマンボウの心の揺れを記録する折れ線グラフがバカンスに訪れる南の島でサングラスを売り歩く。
ポフウェル氏は、
夫に先立たれたホットケーキの悲しみを全国に伝える送電線に肩こりを命中させるガンマンをつけ狙う松ぼっくりの背中から生えてきた秒針についた寝癖にじゃれつくてんとう虫のくしゃみが呼び起こした興奮を映し出す影絵を各家庭に配布する。
ポフウェル氏は、
ねこの微笑みが通過するトンネルで偶然見つけた三日月を舌先で溶かすカメレオンの快楽をコレクションする好事家の目にこびりついた水玉模様の出生の秘密を埋葬した森に繁殖するコンセントにくちばしをつっこんだ鶏のとさかの怪しい輝きに理性を失う。
ポフウェル氏は、
秋を殺したおじさんの頭でスキーを楽しむキリギリスに見離されたひとりぼっちのにきびを吸いむストローの向こう側から押し寄せる移民を入国許可する手旗信号のふるさとにまつわることわざでいっぱいのバンガローから漂うお世辞のにおいのするバターに包まれて眠っている。
ポフウェル氏は、
ブレーキの利かないトビウオをキャッチする雲のはじっこを切り取る帽子屋の指先にとまるト音記号の初恋をテーマにつくられたチョコレートケーキに群がる女子高生の就職先を手配する異性人のすすり泣きを一口で飲みこむ平行四辺形の気まぐれに翻弄される。
ポフウェル氏は、
プリンの崖淵で結婚の選択を迫られたアリのとまどいを詠んだ短歌の枕詞をリサイクルする薬品工場から匂ってくる民族の記憶を真空パックにして文化の日に売りさばくマフィアの銀行口座に振り込まれた一年分のみかんのすじをとる仕事を老後のアルバイトにしようと考える。
ポフウェル氏は、
五線譜にからまるねこの救助にかけつけたザリガニのさびついたはさみを黙々と研ぐ砥石の穏やかな性格を見込んで娘を嫁にやるピラニアの親分の先祖が眠る墓場で毎晩ソウル・ミュージックショーを開催するアイルランド産の妖精の瞳を借りて世の趨勢を見守る。
ポフウェル氏は、
バナナのたたき売り国際大会で高い芸術点を獲得したオペラ歌手のベッドルームにただよう香りを地球の裏側へ運ぶ伝書鳩の輸送ルートを攻撃する水鉄砲ののどの乾きをいやす麦茶から検出された筋肉増強剤を捕獲しようと虫取りあみをふりまわす。
ポフウェル氏は、
さそり座を駆除した天体で爆発するかき氷をあびながらエベレスト山頂で演奏するバイオリニストの音色に理性を奪われた高気圧のたどる道を予測しきれず全財産を失ったばくちうちの目じりに刻まれたしわをモチーフに教会のステンドグラスをデザインする芸術家を支援する。
ポフウェル氏は、
とうもろこしのなわばり争いで荒らされた農場の後始末を買って出た春風を背中から押してあげるオラウータンの怪力に恐れをなす弱虫な三日月の額をなでて気分を落ちつかせる指圧師の指先にこびりついたパイプオルガンの音色を短冊切りにしてカメレオンの耳に移植する。
ポフウェル氏は、
女の子の名前で塗られた壁から生えてきたヘビに言いよられたハイヒールのかかとに踏みつけられる枯れ葉の下に埋もれた皮肉への愛慕を絶ち切れない天女の来月のスケジュールを立てる役員秘書の嗅覚にひいらぎを飾るてんとう虫の水玉模様が舞い上がる町からすべてのひげを盗みだす。
ポフウェル氏は、
ピラミッドの失踪に肝を冷やした観光ガイドが一夜漬けで作った砂山を特別文化財に指定した森のふくろうの亡き妻が埋められている墓地から聞こえてくるサメの歯ぎしりにインスピレーションを受けたチューリップのつぼみが見せる思わせぶりな開花に鼻血をふく。
ポフウェル氏は、
グランドキャニオンから立ち退きを要求された夕暮れの手を引いて地下鉄に乗車する小羊に突然ジャンケンで勝負を挑むアザラシが仲間内で利用する携帯電話にのりうつったレモン汁の香りを形よく整える美容師の爪先から破れ出る蝶の生命を盛りつけた皿を芝生においてみる。
ポフウェル氏は、
ご利益を出し渋る仏様のごきげんをとる実業家にまるめこまれたおまんじゅうが抱く容姿コンプレックスをやわらげる指圧師のもとに通う津波の腰つきに悩殺されたサクランボの照れ笑いを山の向こうに投げ飛ばす力士の髷にとまる手のり文鳥をリモコンで操作する。
ポフウェル氏は、
わき腹に突き刺さった夏の日差しを引き抜こうとするやっとこの額を伝う汗を北極点まで奪い去る竜巻の子供らが水浴する湖の底に眠るコンタクトレンズをすくい上げる釣り針のジャンプ力に嫉妬するカンガルーを放し飼いにする高速道路の片隅で未亡人の目線を商う。
ポフウェル氏は、
駄々をこねる二等辺三角形を一口で飲みこんだワニの胃袋で産声を上げた新しいタイプの時間の取り扱いをめぐって審議する有識者グループの発言をぴかぴかにみがいて陳列する骨董屋の店先に置き去られた一通の招待状に記された化学式のルーツをたどってシルクロードを旅する。
ポフウェル氏は、
雨ににじんだシマウマ模様の夢に毎晩襲われる羊飼いの道しるべを食い散らかすイナゴのげっぷと正面衝突して気を失ったジェット機の意識の中に閉じ込められたポップコーンの孤独感を手術台にのせる主婦のメスさばきに頭が下がる外科医の顔から家出した眼鏡に気だるい水曜日を出前する。
ポフウェル氏は、
浮き袋を虚脱感に陥らせた相撲取りに切手を貼って郵送するミッキーマウスの老後を支える月極駐車場ではかりごとをめぐらすCIAの子供会員がポケットから落としていった口笛を交番に届けるスズメが毎朝水浴びする和式便所の水流とセッションする琵琶法師が身にまとうタキシードのほころびを夜更けにつくろう。
ポフウェル氏は、
ドライアイスの煙を交通整理する指揮者のそで口に産み落とされたタコのきゅうばんをスパルタ教育するステージママのかさついた唇ではぜるポップコーンの集団にとりかこまれて恐喝された海王星を抱きしめるざぶとんを昼寝にいざなう大正ロマンの香りに降り積もる雪にアイロンをかける。
ポフウェル氏は、
梅の木に実る瞳孔を摘みとった火星人でごった返す貸し切りバスを扇ぐカエデに透かし彫りされたピラニアの肖像から抜歯するペンチの闇討ちに失敗した白菜の両親をかくまう郵便ポストにスカートをはかせて鑑賞する退役軍人の勲章をオークションで競り落とす。
ポフウェル氏は、
ししゃもからカルシウムを賃借りする牛乳が入浴する洗濯機に個性をむしり取られたストッキングの声なき怒りを盛りこんだオムレツを食べて昇天した男の幸福な寝顔を守り神にする村で引退を決意する仁王像のしなびた心臓の鼓動にあわせて水道管をマーチする。
ポフウェル氏は、
列車に見はなされた駅で待ちあわせをするてんとう虫の心配ごとにからみつく胸毛の自堕落な生活ぶりにあこがれる潮風を七三に分けるくしにむかって怒りをぶちまける新聞紙の求人広告のなかで楽しげに泳ぐバンドウイルカの群を望遠鏡で観察する創造主の押入から裏ビデオを押収する。
ポフウェル氏は、
裏表兼用の坂道で座礁した漁船に乗りくんでいたちょうちんブルマーの望郷の想いを混入した液体を注射する看護婦を波打ち際までおびきよせる手口を指南する黄体ホルモンがたむろするボーリング場で卒業式を執り行う水虫の臭みを消すレモン汁を今風に改造する。
ポフウェル氏は、
オオカミのためらいをドリップしたコーヒーの酸味をもみほぐすマッサージ師の踵につまづいた朝日の耳たぶに食らいつく歴代大統領の鼻の穴から外出する練り歯みがきに浄められた象牙に刻まれた名言の裏の意味をつつく畳針を求人する貿易会社が密かに営業するトマト製ミサイルを設計する。
ポフウェル氏は、
鳩時計の鳴き声とともにポストに配達された不幸の手紙に漂う影絵から差出人の心理状態を言い当てるカブトムシを題材に詠んだ短歌の一字一句を分解する言語学者の大脳から噴出する採れたて野菜サラダ内の派閥闘争から逃げ出した水分の終焉の地に記念碑を建てる。
ポフウェル氏は、
産地直送の祭りを親戚じゅうに分け与えるタクシー運転手のまつ毛についての第一印象を五十字以内で記せと命じる公務員試験の開始時間に揺さぶりをかける関東ローム層と寝食を共にする排気ガスの突然のむせび泣きに時代の推移を感じとる水晶玉に込められた霊気をついばむムクドリの影に怯える。
ポフウェル氏は、
入道雲の形状を規格化するエコロジストの保護から独り立ちして間もない木漏れ日が集う温泉宿の地底で煮えたぎる義侠心から発射される虹の横行に歯止めをかける交通渋滞があぶり出しされる年賀状の決まり文句に感化されてクーデターを起こした雪だるまの一人一人の個性を生かして無声映画を製作する。
ポフウェル氏は、
身に覚えのない脳を頭に抱えた新聞記者の内ポケットから財布を抜き取るひまわりの成長記録に点在する矛盾同士をリング上で闘わせて賭け事をする西部の男の鼻の頭にひとつぶ実る野いちごに謎かけをするスフィンクスが毎晩服用する大文字のBに愛情をほのめかす空きっ腹の打ち明け話に聞き耳を立てる。
ポフウェル氏は、
名誉を汚されたこんにゃくの悶絶を目の当たりにした漫画家の描く吹き出しに自然発生する水中花に救いの手を差し伸べる釣り針の憎めない性格を手術台に載せる専業主婦のメスさばきに脱帽する外科医が提出した退職願に紛れ込んだ擬態語の反乱を鎮圧する兵士が着用するユニフォームをデザインする。
ポフウェル氏は、
スカートのなかで繰り広げられる会話に忍び込もうとするつむじ風に立ちはだかる年齢制限の壁に尿をかける子犬が生まれてはじめて確保したなわばりの隅にござを敷いて寝泊まりするマッチ棒の炎の大きさで日々の運勢を判断する占い師の薬指にはまるかぎかっこの解体作業を命じられる。
ポフウェル氏は、
洗い立ての腕時計が干してある柿の木に巣作りするいわし雲をすりおろす下ろし金の受け皿にたまった涙の引き取り手を捜して家々のドアをたたく助産婦の目尻でジョギングする陽イオンの国外脱出計画を未然にかぎつける警察犬の無断欠勤に頭を悩ます人事部長のふところに土足で上がりこむじんましんに人づきあいのマナーを教える。
ポフウェル氏は、
シマリスのほお袋の内側に描かれた壁画を公衆の面前にさらすサーチライトが毎晩風呂あがりに腰を下ろす電気いすの武者震いを和らげる催眠術の機能を備えた電話機でマンションを売り込む不動産屋の魂を教会のてっぺんに飾って街を蘇らせるハゲタカの背中にのしかかる飛行機雲の先端から聞こえてくるラジオの嗚咽に幸せの兆候を感じとる。
ポフウェル氏は、 複雑骨折したチェロを恐る恐る弾くガリバーの股下でひびが入る国境にとりついた物の怪を久々の日光浴に誘うモンシロチョウの鱗粉を頭から振りかけてパーティーに向かう赤カブをモデルにした裸体画が飾られる会議室で密談をする重役ののどから伸びる隠しカメラが捉えたほうき星の軌道を地球からそらすためのリモコンを開発する。
ポフウェル氏は、
モップの怒りが頂点に達する午前3時に茹であがるキャベツのなかから角を出すサラリーマンのふやけた視力のなかでうごめく卵の黄身をぴたりと射るキューピッドの人材不足を解消すべくヨーロッパで募集活動を行う老夫婦の小指にぬられたおそろいのマニキュアを毎夜なめにくるカメレオンの外出を規制する。
ポフウェル氏は、
電子銃に打ち落とされた雨の亡骸を埋葬する千手観音の指にできたペンだこ見たさに海を渡るハリケーンが置き去りにしていった息子たちの動揺を望遠鏡で覗く自由の女神のスカートをめくったオラウータンの含み笑いに墨を塗って半紙に写す。
ポフウェル氏は、
キャベツをシュレッダーにかける幼稚園児の目尻からこぼれる生クリームをすくうブラジャーを背にのせて走るスケートボードの退社時間を狙って従業員通用門に殺到する花売り娘の個人情報を買い占めたダイレクトメール業者の倉庫に眠る宛名ラベルをはがして自分の T シャツに貼る。
ポフウェル氏は、
イワシの腹の照り返しで目をくらまされたシェフの不覚を教訓に修行する剣豪が支払う国民年金を着服する係員の弁当箱につめられたおかず同士の打ち解けない雰囲気をなごませる木枯らしの尻尾にかみつくコブラの体につやを出すヘアジェルの腹違いの弟を養子にする。
ポフウェル氏は、
婚姻届の枚数で権力を競い合う各国首脳に就職先を世話してもらう腕時計の針にかき混ぜられたミルクセーキの泡立ちに舞い降りる落下傘部隊を回収しに来た乳母車に4の字固めをかけるウサギの耳に押された実印の隠し場所を知っているシャボン玉の体内を解剖する。
ポフウェル氏は、
図書館から心臓を借りるヤギのひげから検出された発ガン性物質が身を隠すスリッパが考案したサルサダンスのステップの騒音に睡眠時間を削られるシダの葉を外巻きにするホットカーラーで暖をとるてんとう虫の星をきれいにはがす爪と交わした約束を賽銭箱に投げ入れる。
ポフウェル氏は、
りんごの芯からあふれる正義感とともにかけおちするタイヤの跡を照らすちょうちんアンコウにお灸をすえる手袋にほおずりする霧を爆撃するシャンパンが時々覚える脱力感を散布されたゴルフ場のど真ん中に建てられた国会議事堂の窓ガラスをおすそ分けしてくれる隣人と立ち話する。
ポフウェル氏は、
熱帯雨林の飛び出す絵本に足を踏み入れた酔っ払いを包んだカプセルを処方する薬剤師を鼓舞する手拍子が鳴るたびに作動する扇風機で涼むやじろべえにプラチナの足を売りこむツバメの翼をこする黒板消しの生誕百年を記念して詠まれる短歌の字余りを財布に入れる。
ポフウェル氏は、
バスタオルが羽ばたく曇り空を人々の記憶から消し去る落雷から飛び出してバージンロードを歩く花嫁のドレスの裾にまとわりつく静電気を剪定する庭師が毎年書き直す遺言書を筆で清書するだるまの背中のファスナーのすき間に配達される朝刊の連載小説の主人公になりすます。
ポフウェル氏は、
煙突から流れる煙に口紅を引く渡り鳥の首にぶら下がる羅針盤を時々襲う金縛りを完治させる秘薬の成分を読み上げる句会で絶叫する保険勧誘員の売上目標をとろけさせるハチミツを自宅軟禁する破戒僧ご一行が乗車するジェットコースターを海の向こうに渡す延長工事で指揮をとる。
ポフウェル氏は、
ロバの耳から流れ出る街道をデモ行進するからくり人形がかわすほほえみを新鮮に包むサランラップの寿命を縮ませる直射日光が募らせる結婚願望を題材にオペラを作曲する
掃除婦が愛用するモップの疲労回復を助ける井戸水の恬淡とした態度にいらだちを隠せないピストルの流れ弾をハエたたきで落とす。
ポフウェル氏は、
宇宙規模のラインダンスを企画するウサギ舞踊団のスケジュール管理を一手に引き受ける秘書のたるんだ週末に焼かれるアップルパイの内側に仕込まれた鍵だけが開けることのできる宝石箱を抱いて眠るマネキン人形のまつげを万引きし続けるバイオリニストの美学に心酔する苦学生が街頭で配るティッシュペーパーで鼻をかむ。
ポフウェル氏は、
バレリーナの生活を刻むメトロノームの求愛行動に思わずとろける桃の果汁をすすりながらサッカーを観戦する戦没者に毎週末ギアチェンジされる華厳の滝に大量投棄されたコンマをえさに肥満するイワナの魚拓を敷きつめた畳の上でクロールする前衛芸術家を扇動する活火山にふとんを掛けて子守唄を聴かせる。
ポフウェル氏は、
競走馬のひづめに内蔵されたポップコーンの瞬発力に感染した砂時計に生活のペースを乱される羊飼いの殺し文句に我を忘れる女王バチを手を鳴らして呼び寄せるゴリラが明け方に神隠しにあう森でキャンプファイヤーを囲む小学生に読書感想文の代筆を持ちかけるゴーストライターが使う四文字熟語を切り刻む。
ポフウェル氏は、
ネアンデルタール人の頭蓋骨に巻かれた毛糸をたぐりよせてセーターを編む生娘がタンスに仕舞った見合い写真で福笑いに興じる正月の一家の主人が生きているうちから購入した棺に我が物顔で寝泊りするサンショウウオが抱く進化への野望を環境庁に密告するすきま風のにおいをかいでいるうちに眠りにつく。
ポフウェル氏は、
リアス式海岸をかじるネズミが食糧を貯蔵しておくスピーカーから流れる尺八の音色が半世紀ぶりに訪れる南北戦争の跡地でお土産を売る女学生のへらず口が巻き起こす隣人どうしの不和が漂う街の空気にふれて絶命するトマトの断末魔の叫びを通報された交番をシャベルで掘り返す。
ポフウェル氏は、
ひわいな風船の集団飛行を毎晩見守る自衛官の不眠症の症状をプロレスラーの背中に入れ墨する精神科医のポーカーフェイスに前ぶれもなく落ちる月の転がり先を予想してマンションの購入場所を決めるミステリー作家が考案する未完成交響曲の結末に残されたサギの足跡を赤いスカーフでぬぐう。
ポフウェル氏は、
ノアの箱舟にただ乗りするスパイダーマンが小学校の卒業式で合唱した歌のサビの部分を聞くたびに飛びはねる白血球のつぶやきを印字する感熱紙の余白ににじり寄るろうそくの火をおいしそうになめるイモリが目をつぶっている間にまっぷたつに割れるユーラシア大陸のひびをこしあんでつなぎ世界を甘くしようとする。
ポフウェル氏は、
月に着陸した華族の宴会を盛り立てるオリオン座の裸踊りに赤面するうぐいす嬢の高音が響きわたるアパラチア山脈出身のシンクロナイズドスイマーを模ったコルク抜きにほおずりするロバが引くラーメン屋の屋台にポスターを貼らせてくれと頼みこむ小劇団の座長が腰につけた万歩計の数字を勝手に引き算する。
ポフウェル氏は、
ゴーストタウンを巡回する選挙カーがまき散らす公約を拾い集めて法律を制定するバイキングの末裔がたどった道に沿って地下鉄を走らせる超大国の計画に口をはさむ阿弥陀如来を老人ホームに住まわせるインテリアデザイナーが設計した部屋で脱水症状に陥るサボテンを根気強く治療する。
ポフウェル氏は、
童顔のワニが出迎えるホストクラブの接客態度を手本に精進する柔道家の道場の床下から一世紀を経て発見された氷の彫刻をマッチの火でかざして精査する学芸員の耳元で大合唱するカエルの素肌を再現すると豪語するエステティシャンのサロンに足繁く通うコカコーラボトルのくびれた胴をかたずを飲んで見守る。
ポフウェル氏は、
消防士が経営するおでん屋のだし汁の取り方が漏洩しないよう見張るこま犬の頭にゆで卵を毎朝のせて立ち去る令嬢が履くパンプスのピンヒールに集団で上ってくるアリの心にふっとわく労働への疑問を一気に吹き飛ばす三毛猫のくしゃみを美談として放送する7時のニュースのテーマ音楽に歌詞を付ける。
ポフウェル氏は、
陽気な靴下に浮かびあがる毛細血管の流れを加速するトルコ行進曲の楽譜の余白に書きなぐられた買物リストを道端で見つけて人類の献立に強い嫉妬を覚える折鶴が産み落とした卵が孵化する瞬間に悪夢から覚める弁護士が法廷で読み上げる自作の時代小説のさわりの部分で裁判の成り行きを見極める。
ポフウェル氏は、
メリーゴーランドで演奏する流しのアコーディオン弾きに投げられるおひねりの雨あられに打たれながら昔の男を忘れようとする白雪姫の黒髪を一本抜いて自分の穴に通したいと夢想するボタンの息吹で満ちあふれるタンスを開けるたびに人間の服を着たがるテディベアが野生に戻る夏休みにそっけなく帰省する隣人の玄関に水をまく。
ポフウェル氏は、
エッフェル塔に胸を突き刺された青空を救急病院に運ぶレッカー車にふさわしい香水を選ぶインド象の鼻の上をすべる季節風のありとあらゆる種類を網羅した百科事典の索引のページに挟まる白髪をハチミツに漬けて窓に貼りつける祈祷師の服装の乱れについて討議する国会中継を見ながら腹式呼吸をする。
ポフウェル氏は、
臨死体験中の八時十五分前の時計針に温かい息を吹きかけるライオンのたてがみを三つ編みにする少女だけが知っている洞窟壁画に描かれた農婦のはげ落ちた目から流れる湧き水が一キロ先で合流する川の底で帝国を築く雛人形の間だけで通じる常識を道徳の時間に教える熱血教師に一服の茶をふるまう。
ポフウェル氏は、
星と星を線で結ぶ宇宙飛行士のライフワークに補助金を出す篤志家の財産の使い道に疑問を抱く清掃員が浄化する町の景観を一気に崩す地殻変動のどさくさに紛れてへそくりを地下に隠す主婦の心の隅々まで映写する映画館で次々と貧血を起こす修学旅行生の目前に迫る弱肉強食の世界に石炭の燃えさしを投げ入れる。
ポフウェル氏は、
一本一万円相当のワインの原料となる白ぶどうにパンチを食らわすボクサーのグローブから生まれた双子が浸かった産湯を吸って天に吐き出す噴水が初めて抱いた恋心の鮮度を色つやで判断する虫眼鏡の視線から逃げ惑うオーロラが一泊したホテルの鏡から差し出される花束を無邪気に受け取る新婚夫婦に回覧板を回す。
ポフウェル氏は、
太陽と同じ大きさの円を描き続けるコンパスの脚にまとわりつく朝顔のつるの進行方向を指図する小学生に牙をむく虎のアップリケのかがり糸を少しずつほどく明石原人の銀行口座の暗証番号を歩行者天国で叫びまくるスーパーモデルの奥歯に挟まったシーラカンスの小骨をお守りに忍ばせてジェット機に乗る。
ポフウェル氏は、
内なる情熱に突き動かされる冷蔵庫の激しい開閉に平常心を失う生卵にひたいをあてると体じゅうに伝わる今晩の雲の動きに野次を飛ばす聖歌隊のえくぼからこぼれる芥子粒をまぶした王冠をかぶると首筋の痛みが和らぐと顧客に告げる保険外交員の尻から生えるアンテナの受信妨害をして秋の夜長を過ごす。
ポフウェル氏は、
昼寝から目覚めて湖畔にたたずむ棒グラフの端っこをちぎって鼻をかむアルパカの毛で覆いつくされた金閣寺の入り口付近で客引きをする招き猫が生まれたときから抱きかかえている小判の価値を大暴落させた経済評論家が愛用する茶碗から立ち上る湯気がどこに行き着くのか知りたい気持ちを抑えながら落ち葉を拾う。
ポフウェル氏は、
乱れた飛行に生きがいを感じる赤とんぼが生息する川の底で永遠に回転する廃盤レコードの溝から絞り出されるうがいの音を聞くたびに尾を振る鯉のぼりが上げる水しぶきをかぶらないように傘をさして歩く眼科医が思春期の患者のまぶたにかけるおまじないの文面を国語の試験問題に出されて頭を掻く。
ポフウェル氏は、
ライオンの浮気現場を目撃した日から家族との連絡を絶った公認会計士が雨戸を閉め切って見つめるガスコンロの炎を背負って樹海を走るヒキガエルの口からこぼれる人間の笑い声をびしょぬれにするりんごジュースを温めて飲むパイロットが不時着したすごろくのあがりのコマに水仙の球根を植える。
ポフウェル氏は、
カレンダーからはがれ落ちる祝祭日をひとつ残らず吸い込む掃除機を星座のひとつに加えようと活動する天文学者の家の庭に群生するサイドミラーに時々映るローマ数字を闇に葬る牧師が弾くと果汁が滴るマンドリンの弦を張り替えるミツバチの共同作業を手本に書かれたユーザーズ・マニュアルを読みながら昔の恋人を思い浮かべる。
ポフウェル氏は、
浮かない顔のドブネズミを演芸場に連れて行く脱げたゴム手袋の中から死ぬまで出ないと言い放つ葛根湯が調合された日のことを懐かしい目で話す書店主が倉庫の暗がりで踊るフラメンコの体質を受け継いだ鯉の鱗がすべてはがれ落ちたときに許婚が現れると息子に語り継ぐ父親がさす将棋の駒に自分のサインをする。
ポフウェル氏は、
いつ湖に豹変しやしないかと村人に恐れられる水たまりで深夜にダイブする御神体に向かって子育ての難しさをラップにのせて愚痴る新米ママの家計簿を無断で公表するウェブサイトに貼られたリンクをクリックするたびに画面から羽ばたくカワセミのくちばしに調節されるステレオの音量が高くなるほど寝つきがよくなる。
ポフウェル氏は、
休憩時間の延長を勝ち取った横断歩道の手前で待ち続ける救急車にヒッチハイクするお遍路さんが弁当箱に詰めたいなり寿司をゴールにシュートするバスケットボール選手の写真を水槽に沈めて飼うピノキオの鼻に巻かれた平安絵巻物からこぼれ落ちる女官の抜け毛を拾い集めて拡大コピーする。
ポフウェル氏は、
十二支の仲間に加わりたいと願うウニの祈りが捧げられる星に光をせびる蛍光灯の下でしか美しく見えないハリウッド女優が悪評を書かれるたびに引きこもる竪穴式住居に似合う水玉のクッションを徹夜で縫うお針子さんと婚約直後に消息を絶った登山家が最後に飲んだビールの泡をブラシで整えながら歌っているうちに口の中が外国になる。
ポフウェル氏は、
人の形に切り抜かれた空が乗るエレベータの8階ボタンを押したとたんに店員すべてが入学式の思い出を話し出すデパートの紳士服売り場で腕組みをするスーツから這い出ようとする糸の自由と解放を支持するヘビが巻きつくラジオがしびれるたびに女性を傷つける発言をするDJの選ぶ曲と曲の間で腕立て伏せをせずには音楽鑑賞ができない。
ポフウェル氏は、
人間の言葉を覚えさせられた水仙と話をしているうちに頭が重くなる詐欺師が目に入れても痛くないダイヤモンドの採掘場で悟りを開く女スパイが中学時代に違反した校則に関する問題が出る司法試験の解答用紙に舌鼓を打つヤギのミルクで作ったチーズを乗せて走る犬ぞりの所有権を巡って言い争うシベリアンハスキーの耳掃除をする。
ポフウェル氏は、
平城京の片隅でガソリンスタンドを営むわからずやのシャツの下に隠された肉体美に色目を使う盲導犬の退職後の過ごし方について相談にのる舞台監督にわたし達をミュージカル化してと懇願する桜並木の花びらの舞い方にいちいちケチをつける茶道の家元のひげそりあとをなでる鷹の羽が挟まれた日記の罫線が脈打つ時間内だけ隣人の隠し事を公開してよい町で不動産を探す。
ポフウェル氏は、
過熱するハンカチ落としから発展した世界紛争の勃発後にどの国の王子と婚約するか熟慮するシンデレラの枕元で寝返りを打つサイコロを混ぜるとふっくら炊けるご飯を噛みしめているうちに縁を切った友人と会いたくなるしゃれこうべの目の穴から投げ入れられたみかんの皮から作られた堆肥に蒔かれた種の発芽の数だけ恋をするわと宣言する女子大生の講義ノートを書き写す。
ポフウェル氏は、
自分たちの形をしたろうそくに火を灯す老夫婦が毎朝引きちぎる日めくりカレンダーに書かれた教訓どおりに人生が進まないとやけ酒をあおる新幹線の大群が暴走するサハラ砂漠で肝だめしをするウェイトレスに世にも希な種類のコーヒーを注文する神童が飼育する熱帯魚に触れると感電すると脅えている。
ポフウェル氏は、
独身を貫くスパゲティをゆでていると決まってドアのベルを押す訪問販売員が差し出すカタログに掲載されたシャネルの口紅の色に輝く信号機の下で旗を振る緑のおばさんに完膚なきまでに値切られたほうれん草の自慢の息子ににおいつけをする猫の無精ひげを大気圏にまで飛ばすうちわの風向きを測定する。
ポフウェル氏は、
満員電車のなかでしなびゆくネクタイにホースで水をかける少女のフクロウとの内緒話を盗聴するPTA会長が寝静まった後に夜泣きする電子ポットから注がれるナイアガラの滝を受けとめる湯飲み茶碗に口をつける仕草が世界一セクシーな男が芝生に置き忘れたテニスラケットに降り積もる雪をバックハンドで振り払う。
ポフウェル氏は、
体重計の上で眠る木の葉が枯れるまで家族の元を離れないと誓うマンモスの牙でできた印鑑を押さないと口座を開設できない銀行の振込用紙に金額を記入して笹の葉に吊るす七夕の夜に別れ話を切り出すボディービルダーのポケットでヨーデルの着信音が鳴るだけで発信者の顔かたちをピタリと言い当てる。
ポフウェル氏は、
赤い靴のつま先に逃げ隠れする酸素だけを吸って一ヶ月生き延びると一人前の男とみなされる村のど真ん中を突っ切る川に浮かぶ航空母艦から離着陸する紙飛行機の折り目をわざと間違える児童のランドセルの中で果物の味になる色鉛筆が描いた監獄で暮らす囚人の目の前でしか開花しないヒナギクに鼻をこすりつける。
ポフウェル氏は、
歯医者が口の中に建設する城壁をよじ登るごはんつぶの親戚一同が集う法事で盛り上がる昔話の中で神格化される水田の苗と苗の間を測る自分にうっとりする定規を冷凍庫に入れて鮮度を保つ建築家のリクエストに応えてシャンソンを歌うカナリアの義兄が経営するアパートで起きる騒音問題の解決に乗り出す。
ポフウェル氏は、
貴金属を吸って飢えをしのぐ掃除機 との子供を欲しがるセイウチのひれに夢中で貼りつく付箋紙に書かれた上司の命令の言葉を使ってクロスワードパズルを作成する新入社員のロッカーの中で回るミラーボールが疲れて止まるたびに頭痛が起きる北半球の人々のおへそからねじり出てくる虹の色をモノクロに変える。
ポフウェル氏は、
ギンガムチェックの船が行き交う港で密輸される日傘の下にいると過去の罪をすっかり忘れる脳に残された情報をそのままコピーされたハードディスクを抱いて暖をとるアナグマが掘った穴に落下する隕石から生えてくるシメジが初舞台を踏むフライパンが熱くなるにつれて自制心を失う禅僧が住む庵にロフトを取り付ける。
ポフウェル氏は、
しかめ面に垂らされた水飴の流れと速さを競う涙の士気を高めようと世界中に悲劇を増やす水泳コーチがピアノの全ての黒鍵を押した瞬間に沈黙を破るほくろだけが登場する紙芝居がクライマックスに達する頃始まる避難訓練の最中にいちゃつくカップルの髪の毛からグレープジュースを搾る。
ポフウェル氏は、
気管支炎に悩まされるトランペットの中を難なくくぐりぬけるストリッパーが土曜の夜に公演を行なうお化け屋敷の一隅を飾る地獄池で洗顔してからでないと商談に臨めない商社マンが所持する花柄のパスポートに押された査証の国々が革命を起こす昼下がりに酸っぱくなる牛乳に毛筆を浸す。
ポフウェル氏は、
天の川に放流されるカーネーションが地上に残してきた子孫を銀色に品種改良する無口な男を三つ指ついて迎えるビーバーが口ずさむ邪馬台国の国歌を聴きながら表彰台に上るピエロがかぶるかつら専用のシャンプーからみなぎる泡に負けじと膨らむサッカーボールがゴールに入りきれない大きさになったところで空気を抜く。
ポフウェル氏は、
満月を見ると四等分したくなるカマキリが座禅を組む寺の本堂に設置されたキャッシュディスペンサーから続々と引き出される偽札に印刷された偉人の口から吐かれる暴言に抵抗できず泣き寝入りするペンギンだけが招待される授業参観で沸き起こる掛け算九九の合唱がピアニッシモへと衰弱してゆく間の数字を使って方程式を創作する。
ポフウェル氏は、
たまには自分も撮られたいと思う一眼レフカメラのデスマスクを店先に置くケーキ屋の箱にかけられるリボンを集めて地引網を作る漁師になら捕獲されても悔いはないと思う深海魚と気持ちが通じ合っていると信じるバニーガールが応対する戸籍課の窓口で自分の生い立ちを切々と語る。
ポフウェル氏は、
市民税を課せられたぬいぐるみの耳に紐を掛けて吊るすクリスマスツリーの最後の一葉が落ちた晩に初登板するピッチャーの背番号と同じ番号の部屋に愛人を囲う通りすがりの男が打ち上げる花火に殺虫剤を噴霧する燈台守の手のひらの上で身持ちを崩すアイスクリームをゆりかごに入れてあやす。
ポフウェル氏は、
タップダンサーの足を床に接着する木工用ボンドが出回る闇市場の買い物情報を満載した女性誌の表紙を飾る雌牛が時々見せる苦笑いの理由を知りたくて牛乳を反芻するソムリエに毒味をさせる貴公子がお忍びで訪れるモデルルームの柱に刻まれた相合傘の下にヘビとマングースの名前を書き込む平和主義者に尾行される。
ポフウェル氏は、
鏡の中の自分によそよそしい態度を取られる猛者が握りしめるバナナに貼られたシールと同じ銘柄のバッグを持ってお見合いの席に現れる仲人の人脈の中に存在する無縁仏の名前を記入して投票箱に入れる有権者の本棚で日曜日に燃えさかる料理本にヒラメになりすまして掲載されたカレイの鮮度を確かめる。
ポフウェル氏は、
無重力状態で行なわれた茶会の参加者が夜明けに見る絞り染めの幻覚をすっぽり包む卵とじをつつく箸の上げ下ろしの振幅を次第に広げる催眠術師の冷蔵庫の中で正座するシュークリームが締めるベルトが帰りたくなる牧場の天気を太陽と相談もせずに決める雲の上に置き忘れられた靴を取りに行こうとコックピットに座る。
ポフウェル氏は、
郵便ポストに骨を入れるとほめられる犬の散歩道で軽く会釈するインフルエンザウィルスの引越し荷物から見つかったインク切れのボールペンが残した辞世の句に自分のことが書かれていると思い込む氷雨の中を歩く四分音符が病欠する日の演奏会で失神する聴衆を連れ去るベルトコンベアの最終目的地まで完走する。
ポフウェル氏は、
ブラックホールに自分の灰をまいてほしいと遺言した哲学者が真理を見つけるや否や甲羅を脱ぐ蟹の下積み時代を応援したチアガールの反抗期を乗り越えた母親たちの二の腕に印刷されたバーコードにたかったほこりをそっと掃うおじぎ草に頭が上がらない裁判官が通勤に利用するタイムマシンに油を注す。
ポフウェル氏は、
ダースベーダーの呼吸法でヨガをする柳に抱きしめられて以来神妙なしゃっくりを繰り返すヒッピーの弱みを握るカブトムシの嫁入り道具に忍ばせたバクテリアに分解された笑顔を復元する考古学者が桃源郷を散策中に着信する無言電話をかけるホトトギスが巣に置く目覚まし時計のベルの時間を一時間遅らせる。
ポフウェル氏は、
エベレスト幼稚園の滑り台を降りた勢いでマリアナ海溝小学校に入学してフォークダンスに熱中するも海底火山の爆発に導かれてサハラ砂漠中学に入学後オアシスを求めながらx軸とy軸のどちらに進んだらいいのか迷っているうちに万里の長城高校に合格して仮定法過去の世界ばかり夢想していたらエアーズロック大学のてっぺんで誰も知らない化学反応を実現させた過去を懐かしく思い出す。