南川優子 詩のページ

りんご

幾多の男と交尾したが
一度も子供を授かれなかった
ある夏の日 家の庭で
わたしは眠りに落ちた
目が覚めると シャツもズボンも
裂かれていたが
肌には傷ひとつなく
爪先をカラスが ついばんでいた

翌朝 窓枠の埃をはらっていると
お腹に鋭い痛みが走った
わたしはもがき 床に横たわり
一分後
りんごが膣から飛び出した
食べようか? それはできない
わたしは市場で売ることにした
どこかのお母さんが 買って食べて
わたしの子を身ごもるだろう