うろこ新聞 2002年4月4日号(ぐにゃぐにゃスプーン)
朝、台所にいたらこんなものがある。それでテーブルの上にのせて、「たぶんお湯がかかって歪んだんだろう」など思いつついじっていた。
妻に言わせるとこれは「餌」だという。「やっぱりひっかかったわね、こういうの好きだからね」というわけである。
台所ではときどき不思議なことが起こる。秋の話だが、栗がたくさん入った袋が置いてあった。茹でてあったら食べようと思って、「これ茹でてある?」と聞くと「茹でてない」。そのうち茹でたものがボウルかなんかに入れてあるだろう、と期待する。翌日帰ってくると栗などどこにもない。あれほどあった栗が。
男がいる台所の典型的な風景は、夜中に冷蔵庫を開けて牛乳などを飲んでいるところ、インスタントものを作っているところ、などだろう。ぼくの場合は、蕎麦を茹でているところ、灰皿を洗っているところ、など。

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