識別020428-3

徐 悠史郎







その海のうえを

一枚の白い紙が渡っていく



あなたの、ひらかれた

口。誰かに

遠くで、口ずさまれたままに



とき、

雲と空を背にして

ひらかれ――



その

白い紙のうえの時刻

海、

 (ゆっくり

  口、ひらいて  さ

  あ ……ここにいない人

 )

あなたの



もとへ 吹く風

花、南へ



白く、なにも書かれなかった(花)

、南へ わたし/あなた の

その手に渡される

白く孕んだ風 わたし

あなた の



ただひとつ 踏みしだかれた

語られない言葉のために
 
 
 
 
 
 


うろこシティアンソロジー 作品篇 No.1 目次前のページ次のページ
UrokocityShimirin's HomePageSiteMap