土の下

ノラスケ


この前までは
灌漑を作るための
少し壊れた鋤で
掘る穴

彼女は哀しげに
でも 手を休めずに
掘り続ける
ちょうど
子供が入るくらいの
穴を

空には
憎しみの鉄が
轟音を響かせ
彼女は少し身をすくめ
通り過ぎるのを
待っている
それでも 手は休めないで

土の下に
埋められたものが
さらに
深い深い地中のものによって
未来を奪われたことを
彼女は知らない

埋め終わった後
彼女は
花がない代わりに
せめて
涙を手向けようとしたが
砂と埃で
すぐに消えてしまった


うろこシティアンソロジー 作品篇 No.1 目次前のページ次のページ
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