永遠(アルチュール・ランボー/中原中也 訳)------作品の引用と鑑賞

清水鱗造


また見付かつた
何がだ? 永遠。
去(い)つてしまった海のことさあ
太陽もろとも去つてしまつた。

見張番の魂よ、
白状しようぜ
空無な夜(よ)に就き
燃ゆる日に就き。

人間共の配慮から、
世間共通(ならし)の逆上(のぼせ)から、
おまへはさつさと手を切つて
飛んでゆくべし……

もとより希望があるものか、
願ひの条(すじ)があるものか
黙つて黙つて勘(ママ)忍して……
苦痛なんざあ覚悟の前。

繻子(しゆす)の肌した深紅の燠(おき)よ、
それそのおまへと燃えてゐれあ
義務(つとめ)はすむといふものだ
やれやれといふ暇もなく。

また見付かつた
何がだ? 永遠。
去(い)つてしまった海のことさあ
太陽もろとも去つてしまつた。

(原文サイト)
http://www.imaginet.fr/rimbaud/ARsommaire.html

 このへんで、10代20代前半の方も投稿されているので、かなり気まぐれですいませんが引用と鑑賞という感じで、作品を載せてみます。
 ぼくはフランス語はあまりわからないのですが最初と最後の連の原文は、次です。

Elle est retrouvée.
Quoi ? - L'Eternité.
C'est la mer allée
Avec le soleil.

 堀口大学訳によると、
「もう一度探し出したぞ。
 何を? 永遠を。
 それは、太陽と番った
 海だ」

 alléeはgoneでしょうか。決まった言い回しなのかな。「太陽とともに運行する海」というふうじゃだめなのかな。
 というようなむずかしい話は別にして、太陽と海をそのまま歌った詩としてはすごいですよね。
 上のサイトには母音がランボーの詩のとおりに色をつけてあります。
 とりあえず、150年ほど前のランボーと中原中也の言葉のぶつかりあい。原文では韻を踏んでいるので朗読されるとまたフランス語の美しさが増すでしょうね。


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