峠のむこう




ノームの山道を急いだ前が見えない
君が熱を出したカーブは続く
続くガードレールの反射板に救われながら峠にむかって
濃霧の山道を急いだ何時間も
急いだ
君のためにいつまでも
くねくね道をすごいスピードで
ほんとにすごいスピードで
ねえ君いつまで続くんだろう霧と
カーブと
君の熱はいったいいつまで
続くんだろう隣で君は黙ってみつめる光線の先

が咲いているんだねゆれる右へ
左へ
くねる
蛇が花に巻き付いてステアリングに巻き付いて
舌を出す悪意はない君が熱を出した
黙っているいつまでも
急いだ
たどり着くはずの峠のむこうへ




うろこシティアンソロジー 作品篇 No.1 目次前のページ次のページ
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