死に至る病
旅蔵
青い季節は過ぎて
眺める景色は澱んで見えて
知り過ぎるが故の苦悩は果てしなく
黄昏の鐘が盲目の瞼に響き
静寂の中で終幕の時を告げる
残され人は過去に生きて
美しさとは儚いものと知り
絶望の渦は苦しみを伴わず
むしろ何もない無力感で浮遊し
体が生きる事を嫌悪するのです
孤独と契りを交わして
ただ立ち尽す日々が
ただ顔を伏せる日々が
生きる衝動を蝕んで
意思を持たない体を手に入れた時
病は語り出すだろう
その名は 死に至る病
◆
うろこシティアンソロジー 作品篇 No.1 目次
◆
前のページ
◆
次のページ
■
Urokocity
■
Shimirin's HomePage
■
SiteMap
■