1999.11.7



あまり風のない広い庭
いろんな傷が 集まったのかな
車座の上にひとしきり
天使が通る

西の空に消えたりできたりする雲
大きな木の下
薄い羽が通るときにも
僕たちは唇を動かさずに
果実と傷について
話している
(清水鱗造)




いつもことばだけが届いた
目をつむって受け取っていた
目をあけるとそこに
ことばよりも語りたがっている
からだがあって
ことばはそこから聞こえてきた
すべてを伝えたいもどかしさに
声はぐぐもったり高まったりして
とぎれた
その目にたたえられたことばを
読もうとして
わたしたちは沈黙した
(関富士子)


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