海星の
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石川為丸

どこへいったの?
死んだ人たちはどこへいったの?
しきりに尋ねている 
ここは沖縄、南の暗がりにうずくまる病犬の
疥癬ひろがる山河にて
つぶれた観光ホテルの暗がりには
シャボン玉を吹く悲しい老婆(おばあ)がいる
石門にみえかくれする南国の蝶を追いかけ
キッチャキクルビした
私の青
行くも帰るも 三里塚
それは一九七〇年の冬でした。母親が癌で入院したとき、私は組織の任務を優先して、見舞いにも行きませんでした。そしてあまりにも急な母の死でした。葬式だけは顔を出しましたが、五年ぶりに会った姉をはじめとして、親戚知人らに責められました。「母さんに謝れ!」と連れていかれて拝んだ母の寝顔の静かさがかなしく、私はそっと母の髪の毛を引っ張ってみました。子どもの頃、朝早くひとり目覚めたとき、かたわらで寝ているかあさんが死んだのではないかと不安になり、髪を引っ張ったことがあったのです。そのときは「うるさいね!」とひどくどつかれて安心したが、今はただ応えない口腔の脱脂綿だけがつらかった……。
ひからびた海星が転がっている
警官に頭を殴られ 彷徨った
砂糖黍うねる南部の道が続いている
あすこに置いてきたものを 
いつか引き取りに行こうと思ってきたが
白く乾いた一夏の 
それがなんだったのか
今ではどうしても思い出せないのだ


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