飛ぶ地蔵
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飛ぶ地蔵


清水鱗造

窓から
明かりが少し
年年歳歳で
なんかねえ
切れ目なく人間のことを考えているのも
それも宙のヒモみたいに
すこやかな
ところということか
皺ができるというのか
にがいヒモだけど
かならずなぞっていく
彼らがいて
そのうちに
どこかの町や山で
つぶやくんだよね

地蔵の姿を高速度撮影すると
雲や空がしきりに変わり
もっと速くすると昼と夜が点滅し
さらに速くすると
ぼろぼろ石が風化する
それはかなりゆっくりと
石は削れてくる
光は汚れに屈折し
色がつく

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